溢れる悪意
累計PV3万回ユニーク数5500人を超えていました。
いつも、ありがとうございます。
少しの間確認していなかったので、嬉しい驚きでした。
3日目の戦いより2日が経ち、5日目の深夜に異変が発生する。
5日目の戦いも一段落した頃、封印の間の奥より闇の力が溢れ始めたのである。
闇の力が増して、産まれ落ちるモンスターをより凶悪なものへと変貌させた。
「「「グオオーーン!!」」」
封印を解いてあいた空間の奥から産声をあげ、大型のモンスターたちが這い出してくる。
「なんだ? 何が起きている?」
「フニュ~、何だかヤバいのが来てるみたいニャよ。 全身の毛がワシャワシャして気持ち悪いニャ」
ミケを見ると、文字通りの身の毛もよだつ状態が痛ましく思えた。
「うわっ、なんだそれは? どうなっているんだ?」
「うー、ぎもぢ悪いニャよ…… こんなの初めてニャ」
ミケの顔は歪み全身の毛をピリピリと震わせ、細かく蠢いている体毛を見て、仁にもゾワリと鳥肌が立った。
そして、違和感を感じとった仁は周りを見渡し、ダンジョン内のマナの質が変わってきた異常にも気付き始める。
「総員戦闘体制に移行しろ! 今、すぐにだ!」
仁の叫び声が辺り響きわたり、怯えていた周りの者達も我を取り戻し、命令を伝えに走りだす。
「「「緊急事態発生! 戦闘体制に移行! 各分隊へ信号弾を放て! これは主からの命令である!」」」
四方に走りだした配下達は、各隊に戻りつつ主の命を伝播させて行く。
仁の命令は、赤色の信号弾となって、四方に散らばる分隊へと飛ばされた。
赤色の信号弾は、戦闘体制に移行したという証であり、各隊に敵襲に備えろという意味でもあった。
◇ ◆ ◇
「ゴブリン、オーク部隊はさがれ! さがるんだ! 殿はオーガ部隊に任せて、ゴブリンとオーク部隊はさがれ!! オーガ部隊は防衛戦に移行! 召喚オーガ、召喚ワーウルフ部隊を投入する。 リザートマン、ワーウルフ部隊は奴らの足止めに専念し、魔術師たちは支援魔法にとどめ、撤退の時間を稼げ!」
仁は前線に立ち、戦線を維持する為の指示をだし叫んだ。
ミノタウロス Lv10
HP、20000/20000
モンスターの中のモンスターといえる存在であり、通常ステータスとは思えない程に異常な強化をされており、ドス黒いオーラを放っている。
そんなミノタウロスたちの相手を、最前線にいるキングやジェネラルらが率いるゴブリンやオーク軍の部隊であったが、15分の戦闘で損耗率3割に達して、撤退戦を余儀なく為れた。
撤退戦に移行する戦線の殿にオーガたちが配置され、仁は召喚魔方陣を使い、増援の召喚オーガ部隊を投入する。
その召喚オーガ部隊ですら、防御に徹しないと重い一撃に耐えられず倒されていく。
殿のオーガ部隊に増援を投入後、魔法を得意とするウィザードやウィッチ、回復や支援魔法を得意とするモンクや呪術師などの魔術師たちの支援を受けて、やっと戦えるといったレベルであった。
それでも、前衛のオーガの召喚レベルが50を超え、高レベル帯のエリート達と一緒でなかったら、この戦線の維持も難しいと、仁は気を引き締める。
「今のうちに、負傷者を救出し回復させろ。 部隊を再編成して出直しだ」
「「「はっ!」」」
こうして、召喚魔方陣を犠牲にして、仁達は撤退戦を完了させる。
◇ ◆ ◇
「くそっ、何なんだあの強さは!?」
「まだ、毛が治まらニャいニャ……」
「うーむ、一体一体は強くはないが、あの数とパワーは侮れないな」
「そうか? 俺には雑魚でしかなかったぞ」
「「「マルスのくせに生意気だ!」」ニャ!」
ミノタウロス戦に駆り出された主力メンバーは、ミノタウロスに決定打を出せず苛立って居たのだが、唯一マルスだけは神剣の特攻効果で、バッサバッサと斬り伏せていたのであった。
「その剣が強すぎニャ!」
「そうだぞ! あれはどう見ても斬れすぎだぞ!」
「ん、チートという奴だな」
ミケやレド、リウの不満はマルスへと向かうが、それはお門違いである。
「まあ、マルスの神剣であれば、魔神の闇の力は無力化出来るからな、ミケたちには不利な相手だ」
「どういうことニャ? ミケたちは弱くはないニャよ」
「うむ、あんなにタフな相手でなければ楽勝だな」
ミケ達の攻撃はかなりのダメージを与えてはいたが、魔神の闇の力で強化されたステータスには遠く及ばないものであった。
「それは、奴等のHPが2万もあるからだよ。 それを一撃で削り切るなど、流石に不可能さ」
「「「な、なんだと……」」」
◇ ◆ ◇
ミノタウロスたちは、召喚魔方陣から出てくるオーガとワーウルフ達に翻弄されて、中々前に進めず雄叫びをあげては暴れ狂い、同士討ちを始めていた。
その合間に兵の再編成を進め、ミノタウロス討伐隊を組織する。
1班を20名とし、前衛10名、遊撃10名で組み、それを6班揃えて1分隊とし、分隊を5つ組織する。
残る兵員は交代要員として、何時でも交代出来る場所へと配置した。
最後に、分隊の後方に支援部隊を配置する事で、再戦の準備を終えた。
「よし、リベンジだな」
「ん、このツメで切り裂いてやるニャ」
「フッフッフ、この槍であれば奴らの命運もこれまでだ」
マルスの神剣に触発されたミケ達に、仁はそれぞれの武器に聖属性の付与を施した。
ミケたちは己の武器に不敵な笑みを浮かべ、妖しげなオーラを放つ。
「「「フフフ……」」」
そして、仁は切り札を一枚きる。
「出でよジェット!」
ボフン、と召喚されたジェットが現れると同時に奴らもやって来た。
「あら、これから出陣かしら?」
「稼ぎ時なら、参戦するわよ」
「ウォフッ!」
ジェットがジュリアに挨拶をすると、ミケ達も正気を取り戻しルナ達の存在に気付いた。
「ジュリアとルナに、ジェットちゃんニャ!」
「ん、これはこれは……」
「フフフ、これで勝ったな」
ジェットとジュリア、ルナとミケはそれぞれの相手にライバル心を燃やすと、レドとリウが相槌を打った。
「今回の相手はHP2万のミノタウロスだが、いいのか?」
「えっ? 何それ?」
「構わないわ。 どうせ暇だし、美味しい物の為ならやるわ」
ルナは顔をしかめたが、ジュリアは即答で引き受けた。
「ケロちゃんもやる気なのね。 仕方ないな、あたしも参戦するわ」
「それは有難いが、嫌なら出なくても良いぞ?」
「なんでよ!? あたしも美味しい物が食べたいのよ!」
「ニャハハハ! ルナは食いしん坊ニャね」
仁をポカポカと叩き抗議するルナを見て、ジュリアをはじめ何時ものメンバーが笑い始める。
「よし、出陣だ! 鬨の声をあげろー!」
「「「オオーー!!」」」
仁の声を合図に、周りの者達も鬨の声を上げ始め、全軍へと伝播させていった。
フラグはまだ……
まだまだ続きます。




