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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
第三章、人々の暮らし
123/206

達成

奴が来ます。

それだけです……





 ジュリアに、封印の再生手順を説明したのち、仁は結界の解除に取り掛かる。



「結界を解除後、君はルナと一度撤退して欲しい。 ルナにはエリクサーを渡してあるから、完全回復するまでは待機して欲しい」


「エリクサー…… ゲームと同じエリクサーなのかしら?」


 ジュリアはエリクサーを知っていたようで、知識のすり合わせをしてくる。


 仁の作ったエリクサーは、仁の知識が基準となっているが、効果はこの世界での効果となっているので、ルナやジュリアが知っているものとは違う、仕様となっているのである。


「効果は同じだが、完全回復するのに時間が必要なんだ。 だから、余り無茶はするなよ。 一応、ここは現実の世界でもあるから、回復した後の躰の負担もでるはずだ。 ならし程度なら動けるだろうが、しっかり休んで、戦闘は俺たちに任せとけ。 いいな」


 仁の忠告を聞き、ジュリアはニッコリと微笑み承諾した。


「はーい。 貴方って良い人みたいね、安心したわ。 でも、戦力的にキツかったら、私もでるからね」


「まあ、こっちにも切り札は何枚かあるし、君と同じくケルベロスのジェットが居るから、たぶん出番はないと思うぞ」


 今回の作戦には連れてきてはいないが、いざとなれば召喚で呼べるので問題はない。


「あら、そうなの? ならお任せしましょうか。 頑張ってね」


「ああ、頑張るさ。 こっちもたまには本気を出さないと、部下たちに示しがつかないからな」


 ジュリアとの話しも終わり、結界の解除に取り掛かる。


「では始めるからな、結界が無くなれば無防備となるが、直ぐさまルナが回収にくるから安心してくれ。 また後で会おう」


「はい。 また後でね」


 ジュリアは疲れたのか眼を閉じ、眠りにはいったようだ。



「よし、気張りますか」


 仁は再び瞑想にはいり、結界の解除にはいった。



 ── ── ──



 仁が守護者に寄り添い、瞑想に入ってから数分後、結界が揺らぎ始める。


 守護者と巫女たちの魔力のリンクも途切れ、守護者の躰が揺らいだ。


「貴女たちは撤退を開始、あとは私がケロちゃんを回収するから、村に受け入れの準備を始めさせて。 いいわね」

「「「はい!」」」


 巫女たちが、ルナの指示で撤退を開始。

 その直後に、守護者が倒れ仁の周りからマナが溢れだした。


 仁から溢れだしたマナは守護者を包み、足下にある魔方陣が明滅を始める。


「ルナさん、準備を! もう直ぐ結界が消えます!」

「はい!」


 アリアの言葉で、ルナは身構え守護者の回収に集中しだす。


 魔方陣の明滅が早く繰り返すこと数秒、突然それは起こった。


 ビキキ、ピキキという音と共に空間にヒビが入り始め、空間が揺らめき『ビシッ!!』と大きな音が鳴ったと同時に、空間に裂け目が現れた。


 そのひき裂かれた空間から、何者かの手が出て来て、裂け目を無理矢理こじ開けようとする何者かの影が見え隠れする。


 突然起きた不測の事態にルナやマルス、アリアでさえ呆気にとられていた。


 次の瞬間、バリバリバリと再び大きく空間が裂けて、何者かの上半身が現れる。


「ハーハッハッハ! やっと出られたぞ! ん? なんだここは?」


 驚きと焦りに動きが止まり、空間の隙間に挟まり、動けなく為っている正体不明の何者かが暴れだす。


「ふぬっ、ぐぬぬ! なんだこれは!? 出れぬではないか!」


 空間に挟まった、正体不明の何者かが暴れている姿を見入るルナとマルスだったが、アリアは微かな声を拾った。


 その声の主、仁の声を聞き取ったのである。


『マルス、そいつを斬れ』


 微かではあったが、アリアにはそう聞こえたのだった。


「マルスさん! アレを斬りなさい!」

「えっ? アレをってアイツですか?」


「いいから、早く!」

「分かりました……」


 いつになく命令口調のアリアに困惑したが、マルスは直ぐさま思考を切り替え『明鏡止水』を発動して、裂け目に挟まる正体不明の何者かに飛び掛かった。



「なっ!? なんだその(つるぎ)は!?」


 正体不明の何者かが見たものは、光りを纏った聖剣とは違う輝きを放つ、()()を帯びた剣であった。


 驚き叫ぶ正体不明の何者かが次の瞬間に見たものは、鬼神の如き荒ぶる神の姿が見えた。


『あっ、またか』


 そう呟いた正体不明の何者かの声は、誰の耳にも届かない程の小さな声であった。



「ふぅ…… アリア様、これでいいですか?」


「はい、おめでとうございます。 マルス()()

「はい?」


 アリアの命で斬った後、マルスの頭の中で声が鳴り響く。


『汝、魔を退けし者よ。 其方に祝福を授けよう』


『称号:魔を退けし者を獲得しました』


「えっ!? マジでか……」




念願の称号を獲得したマルス君でありました。

正体不明の何者かは、皆様におまかせします。

ええ、出落ちといえば……



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