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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
第三章、人々の暮らし
121/206

作戦決行前日、3

書ける時は書けるものですね。





「さて、今夜はなにをつくるかな」


 仁は、皆を集めて夕食のメニューを決めようと、わざとらしく呟いた。


「あいあい! ほっけの一夜干しニャ!」

「ん、俺もほっけの一夜干しで」


 間髪入れずに、ミケとリウはリクエストを入れる。


「俺らは何でもいいぞ」

「うむ」


 マルスとレドは特にリクエストはなく、ルナやサチコ達は話しあっている。


「ルナは何にする? なにがいい?」

「えっと、そのぉ…… 決められなくて、如何したらいいの?」


 何やら食べたいものがあり過ぎて、決め(あぐ)ねているようだ。


「いいから言ってみろ。 作れるものなら、少量ずつ作れば食べられるだろ?」

「えっ? 出来るの? ならハンバーグにすき焼き、お寿司にピザ……」


「ちょっ!? マジか、全部ジャンルバラバラだな」

「えぇー、だってずっと食べれなかったんだし、我慢出来なーいー!」


 ルナは地団駄を踏みながら抗議しだす。


「分かった、だが寿司は難しいから作成からだな、それでいいか?」

「やった! お寿司が食べられるなら何でもいいわ! お願いします」


「お寿司ってなあに?」

「ん? そうだな作った事が無かったな。 えっと、生の魚の切り身、刺し身と言うんだが、それを『お酢』で味付けしたご飯『酢飯』を握ったものに乗せたり、『海苔』で酢飯と具材を巻き込んだりして食べるものだ。 要するに、生魚と一緒に食べるご飯って感じかな」


「ん? 生魚のご飯ニャ? 食べてみたいニャ!」

「おお、美味そうだな」


 魚というワードに惹かれたミケとリウが、寿司を食べてみたいと涎を垂らし始める。


「そうか、なら最初は寿司を作るか、人数もいるし色々と作ってみるか」


「やった! 私、『えんがわ』が好きなの作って!」

「えんがわ? それ美味いのニャ?」


 ミケはルナの注文した『えんがわ』という響きに惹かれたようだった。


「そりゃ美味しいわよ、淡泊な味なのにぷにっとした食感と淡い甘さがあって、それが酢飯とあわさって何ともいえない味わいなのよ」

「フンフン、分からニャいけど美味そうニャ!」


 ルナとミケは興奮して、寿司談義を始めた。


「とりあえず、俺が知ってるネタで適当に作るからな。 欲しいものがあればその時に言ってくれ」


 仁がテーブルに移動し、握り寿司を一通り作り始める。


「わっ、わっ、わっ、懐かしいー! これよ、これ! じゃ、いただきまーす!」

「ニャ! おしゃかニャたくしゃんあるニャ! こりもおしゃかニャかニャ?」

「ん? それはホタテだな。 貝柱を薄切りにしたものだな」


「貝柱? うミャいの?」

「食ってみろ。 美味いぞ」


 ルナがひょいひょいと寿司をつまみ食いしている側で、ミケがホタテの握り寿司を、おそるおそる口の中へと運ぶ。


「んーっ! うミャいニャ! ングング……」


「ちょっ!? なくなるぞ! 俺らも食わねば!」


 ルナとミケで寿司の取り合いとなり、握り寿司の寿司桶から寿司がどんどん消えゆき、呆気に取られていた連中も競って食べ始めた。


 そして、見る間に無くなる寿司桶の寿司を見て、仁は寿司を追加し始める。


「お前達! もっと味わって食え! 食べたいだけ食わしてやっから、焦るんじゃない!」

「「「ん″ん″ー!」」」


 ルナとミケはともかく、リウやレド、マルスやサチコまでも口をパンパンにして、夢中で寿司を頬張っていた。


「お寿司ですか、おひとつ頂いても良いですか?」


 アリアが珍しく、仁に寿司をリクエストしてくる。


「いいですよ、一人前でいいですか?」

「はい、お願いします」


 仁はアリアの前に、握り寿司一人前を作成する。


「まあ、これはおにぎりと違って、ご飯の上に具材が乗っているのですね。 では、頂きます」


 アリアは両手をあわせて、一礼してから箸を取った。

 仁は小皿と醤油をだして、アリアの前へ置いた。


「好みで、醤油を垂らして食べると美味いですよ」

「ありがとうございます。 では頂きます」


 アリアは最初に、まぐろの赤身から箸をつけ、小皿に移してから醤油を垂らした。


「あら、綺麗な色……」


 まぐろの赤身に醤油が光り、よりいっそう赤身が映える。

 箸をまぐろのにぎりにそえるように挟み、それを口元へと運ぶ。


「…… ああ、これは素晴らしいですわ。 ほろほろとご飯がほどけて、ほんのり良い香りがします。 赤いお魚の身と刺激的な味も程よく、お醤油の味と相まって味が一段とはえますね。 これは何というお魚ですか?」

「それは、まぐろといって大型の魚です。 背中の赤身や腹身のトロとかが良く寿司に使われます。 好みによって様々な調理方法があって、捨てるところが少ない魚でもあります」


 仁はアリアにマグロ料理を幾つか出して見せる。


「赤身の醤油づけに、煮物に佃煮。

各部の刺し身と兜焼き、こっちはあぶり焼きに、マグロのカツです」

「まあ、こんなにあるのですか? これは研究のしがいが、ありそうですね」


 アリアに作ったまぐろ料理を試食していると、寿司に夢中であったミケとリウがやってくる。


「なんか美味そうな匂いがするニャ」

「うむ、これは魚の頭か? デカいな」


 ミケはまぐろ料理の匂いをスンスンと嗅ぎ、リウは兜焼きを繁々と観察しだす。


「これも食べていいかニャ?」

「是非、ご相伴になりたいのだが……」


 見たこともない魚料理に、他の者達も興味津々であった。


「ああ、いいぞ」

「どうぞ、私はもう一通り味見もしましたし、皆さんで食べて下さい」


「やったニャ! あたしはこの煮物がいいニャ」

「なら、俺はこの美味そうな頭を食べて見たいぞ」

「こっちの切り身は、寿司に乗ってたやつだよな……」


 それぞれが興味をもった料理に箸を付けだした。


「「「これは、うまい!」」」

「あっ! お刺身ちょうだい!」


 ミケやリウの魚好きだけでなく、レドやマルスもまぐろ料理を堪能しだし、ルナは久しぶりの寿司や魚料理を美味そうに食べている。


 仁とアリアの二人は、嬉しそうに食べる仲間たちの食事風景を眺めている。


「やはり美味いものには、人間もモンスターも関係ないよな」

「ええ、こんな世の中も良いものですね」


「ん″ん″!! あのぉ、私も居るんですけど……」

「「!!」」


「因みに、某も居ますぞ」

「「「!!!」」」


 仲良く二人でいた仁とアリアだったが、サチコに目撃され、そのサチコの背後には報告にきたリッチが立って居たのであった。





次回はイベントバトルに突入です。



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