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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
第三章、人々の暮らし
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ささやかな抵抗

やっと書けました。




 全員が着席したところで話の続きを始める。


「先ほども言ったが、今回の作戦には、アリア様にも参戦して貰います」

「はい、よろしくお願いします」


 仁の隣に座り直したアリアは、軽く頭を下げる。


「封印の間を包む結界を解除するんだが、問題が幾つかある。 まず、封印の間の結界を解除すれば、魔物たちが発生する可能性が大きい。 次に封印が解けかけて、それを防いでいる結界を張った守護者なんだが、生きている可能性が低い。 若しくは、結界解除時にもろとも消えてしまう可能性があること。 最後に、結界解除後に発生した魔物たちの排除、また守護者の生存確認と救助が終わり次第、封印を解除し再度封印を開始、その間の防衛戦を如何するかが問題だ」


 仁は色々な可能性を考え、作戦を立ているが、回避不能の問題点をあげた。


「ケロちゃんなら大丈夫。 必ず生きている筈だし、私が助けだすわ」


「そうか、ならば守護者の救助はルナに任せるとして、俺とアリア様で封印の準備をする。 その間の防衛戦はマルス達に任せるからな」


 ルナに守護者の救助を任せ、マルス、ミケ、レド、リウには防衛戦の要となって貰う。


「ん、引き受けよう」

「うちらも頑張るニャ」

「「おう」」


 最後に、封印を解除した時に現れる魔物たちの排除役に『始まりのダンジョン』より、ゴブリンキング率いるゴブリン軍、オークジェネラル(リーダーからの進化)率いるオーク軍から、総数約1万名を投入する予定である。


 最初は召喚魔法による戦力増強を考えたが、戦略会議の前にゴブリンキングやオークジェネラルからの進言により、参戦する事となった。


「作戦の決行日は明後日、それまでは各自で万全の体制で挑めるよう、準備を始めて欲しい、以上だ」



 作戦会議は解散となり、各々が明後日に向けて行動を開始する。


 そんな中で、仁はルナに捕まり詰問される。


「ちょっといいかしら」

「ん、何かな?」


「貴方、チーターなの?」

「は? チーターって……、まあ似たようなものか」


 仁は、ルナの言いたい事は分かったので、あえて否定はしなかった。


「認めるのね…… なら貴方は神様に会ったってことかしら?」

「ああ、そうだ。 俺は神々からの試練で、この世界へ送られて来たんだ」


「やっぱりそうなんだ…… 私とは違う世界の人なのね。 私はね、前の世界で死んでから、この世界に来たのよ。 一応、この世界の神様らしき声を聞いたけど、私の同意もなく一方的に、この世界へと転生させられたの……」


 予想はしてたが、ルナの証言により、多数の転生者(ひがいしゃ)が存在する可能性は高くなった。


「そうか、それは酷いな」

「それは良いのよ、私は前の世界が嫌いだったし、ここに来てからは結構楽しかったから」


「左様ですか……」

「でもさ、貴方。 この世界って、なーーんも無いのよ。 転生してからあちこち行ったけど、なんも無いしモンスターしか居ないのよ、信じられる? 人っ子一人いない世界で、ずっとモンスターと戦って来たのよ……」


 これはアカンやつだと思ったが、彼女はずっとモンスターと戦い、モンスターの仲間たちと長い時を過ごして来たのだと、仁は観念して話を聞いた。


 ルナの話では、この世界に転生して数年は、ずっとひとりで旅をしていたそうだ。


 生まれは犬耳の獣人だったらしく、魔物を避けて食べられそうな物を食べて暮らしていたそうだ。

 なんとも言えず、ただ苦労をして弱いモンスターを倒してレベルを上げたそうな。


 洞窟を見つけては探検したとか、最初のダンジョンで死にかけたとか、人を探す旅をしつつ色々な場所を彷徨ったらしい。

 結局、何処へ行っても強い魔物が蔓延っている世界で誰にも会えず、元の場所へと帰ってきたのだと……


「100年200年は数えていたけど、もうさどうでもよくなったわけ。 レベル上げて進化する度に若返ってね、ワーウルフになってからはまったく年取らなくなって、獣神変化覚えてからは、ずっとこうなわけ、いいっしょ」

「ルナさんは見た目と違って、ご苦労なさったのですね」



 なんだかんだと話し出してから、既に4時間たったが終わりの見えない会話が続く。

 途中から、アリアにルナの話を任せ、転移魔方陣を設置しつつルナのボヤキを聞かされる。


 途中、話疲れたのか会話が止むと、アリアが茶菓子を用意しつつお茶を飲んでいた。

 終わる気配どころか、お茶会に突入し、様子を見に来た女子たちが増えて、かえって話に花が咲いたのだった。


「えっと、作業も終わったので帰っていいですか?」

「「「えっ?」」」


 仁が終わらない話に嫌気がさして言った言葉に、全員が『何を言っているの?』という顔で仁を見ていた。


「あー、何でもないです。 ハイ」


 する事もなく、居場所のない仁はひとり黙々と菓子を作り、女子たちに提供し続けるのであった。


 後日、女子会を開こうとする彼女らは、仁に菓子の提供を頼むのだが、とある一言で考えを改める。


『最近ふっくらしてるよね』


 仁の術中に落ちた女子たちは、互いの体を見比べて苦笑いを浮かべて、イソイソとダイエットをし出すのであった。





ルナはやっと人らしい人と出会い、色々と溜まっているのだろうと思います。

数百年、千年単位のうっぷんとは如何に……

考えると怖いですね。



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