ミケ、相棒を得る
食事も終わり、今度こそダンジョンをクリアする為の話を再開する。
「聞いた話では、封印が解けかかり、守護者が依り代となり再封印をしたと聞いた。 あってるかな?」
「そうね、だけど再封印というよりは、あれは時を遅らせる結界なのよ」
仁は封印の間を思い出し、結界を張る為の条件を考える。
「時空間魔法か? うーん、やっぱり一度解除しないと何が起きるか分からんな」
「なんで解除すんのよ」
ルナは、守護者と張った結界と封印の解除には反対であった。
「封印の間を、時空間魔法で止めておくには膨大なマナと、それを維持する依り代、謂わば核が必要なんだ。 今、その核となって居るのが守護者なんだが、その核となる守護者のマナが尽きかけているんだろう。 だから、一度結界を解除し、封印も解いてもう一度封印をし直すしか、道がないんだ」
「…………。 要するに結界を消して、封印を新しく掛け直すのよね」
「ああ、そういう事だ」
守護者を助けだすのなら未だしも、封印を解いて魔獣たちと戦うつもりのないルナは、当時の惨状を思いだす。
封印の一部分が解けて、漏れ出た魔物たちの数は、今でもぞっとする程であった。
必死に戦い、封印の間にたどり着き、なおもそこから結界を張りつつ、魔物たちを排除した時の仲間たちの犠牲を、忘れていないからこその反応であった。
「んー、だけどそんなこと出来んの? 実際に……」
「まあ、出来ないだろうな。 出来たとしても、もっと戦力を集めて多大な犠牲を払ってなら出来るが、今の戦力では無理だ」
「はあ? なにそれ、結局口だけなの?」
「いや、やらないと言う選択肢は無いのだろう? 見たところ、もう結界の維持は出来そうにないし、守護者自体が消えかけているからこそ不安定なんだ。 このままでいれば、もう直ぐ結界は守護者もろとも消滅するだろう。 だから我々が生き残る為にも、結局やるしかないんだよ」
「しょ、消滅ってどういう事? ケロちゃんが消えるって何よそれ!?」
「守護者の存在を賭けての時空間魔法なのだから、ここまでもったんだ。 既にマナは尽きて、生命力や精神力、肉体や魂さえも注ぎ込んでいるんだ、その全てを消費為れば、消えて居なくなるのは当然の結果だ。 分かるだろ?」
「そんなぁ、ケロちゃんが消えちゃうなんて…… 絶対助ける! 如何したらいいの? 教えて!」
守護者の救助は早急でなければ為らないのは分かるが、問題はいつ消滅するのかすらも分からないのだ。
明日であるのか、今であるのか、はたまた数日後なのかは、守護者次第である。
「まあ待て、こんな状況だからこそ助っ人を用意した。 この作戦を実行する為にはやはり女神の力が必要と思って……」
「ふぇ!? 女神ってわたし? 言っとくけど、私はそんなんじゃないわよ。 美しく可愛い上に強いのは認めるけど……」
仁はミケを手招きで呼びつけ、大型ハリセンを渡す。
それを受け取ったミケは一瞬躊躇したが、仁のジェスチャーで全てを覚り行動に移った。
女神という言葉を自身の事と受け取り、クネクネと恥じらうルナの背後に廻ったミケは目を輝かせ、大型ハリセンを振りかぶり、ルナの後頭部目掛けて振り切った。
ゴォー! と唸る大型ハリセンはルナの後頭部へと吸い込まれ、スパーーン!! と気持ちの良い音を部屋中へ伝える。
「いったぁー…… な、何すんのぉ?」
「おめえじゃねえよ! 女神と云うのはこのアリア様の事だ」
「ニャハハハッ、気持ちいいニャ。 よし、あたしのスペシャルウェポンの仲間入りニャ」
以後、ルナのボケには欠かせない、ミケの相棒『ミナギル君1号』の誕生であった。
「まったく、守護者の命運が掛かっているのにやる気なくすわ。 なに普通にボケてんだよ。 やっぱり残念なやつだったよ、こいつ」
「ハハ、ごめんなさい……」
「まあまあ、この辺で許してあげて下さい。 こんなに可愛いのですよ。 ちょっとぐらいなら構いませんよ私は、ウフフ」
アリアはルナの頭を引き寄せ、その毛並みを楽しむ。
「ありがとうございます。 以後気を付けますので、お許しを」
「あ、ズルいニャ。 そこはあたしの席ニャ」
アリアに可愛がられるルナを見て、ミケも猫化してアリアへ飛び付いた。
「あらあら、ミケも可愛いわよ。 よしよし」
右手にルナ、左手にミケを抱っこしたアリアはうっとりしだした。
「ちょっと、今は大事な話の最中でしょうが。 モフモフは後にして下さい」
「「「はーい」」」
仁の注意を受けた3名は着席する。
仲良く座る女子たちに、仁はとある疑念を持つ。
(これって、ハーレムじゃないよな…… モフモフ好き百合系女子だよな。 うん、間違いない)
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