ルナvs仁 前編
長くなりそうだったので、前編後編としました。
「ごちそうさまでした。 はあ、美味しかった~♪」
ルナは両手をあわせて、食べ終えた皿に感謝を念を込めた。
食べに食べた後の皿は山のようにそびえ立ち、後片付けも大変なことに為るだろう。
まあ、仁であれば『クリーン』で問題はなくなるので、片付けようとする村人を制止しているのだった。
「ところであんた達って、本当に神の使徒なの?」
「ん、あたしは違うニャ。 使徒様は主とマルスだけニャよ」
ルナの質問にミケは、仁とマルスを指し示した。
「あら、人間? 人間も居るんだ」
「あのぉ、ルナさま? 封印は大丈夫なのですか?」
村長の一言で、ルナの表情が一変して青くなった。
「ごめんなさい、焼き魚のニオイですっかり忘れてたわ。 申し訳ないけど、話の続きはまた今度にしましょう。 では~」
というと、ルナは慌てて一目散に村から去っていった。
「はっや…… もう見えないニャ」
☆ ★ ☆
ルナが去って、仁達はゆっくり休む事にした。
「なんか残念なやつだったな。 大丈夫なのか?」
「なんの話だ?」
「ルナは残念なのニャ?」
封印をほったらかして、魚を食いに来るのだからお察しである。
「俺と同じように、異世界から来たみたいだからな」
「主と同じなら使徒様ニャの?」
「そこは分からん、鑑定してないしな。 守護者と絡んでいるから、可能性はあるかな」
「ふむ、そうかそれは楽しみだな」
マルスは、仁と同じく強ければ手合わせしたいと思っているようだ。
「とりあえず、今日は休んでおかないとな」
「「「ハイ」」」
25階層へ行くために、しっかりと休息をとって、明日に備えようと思う仁であった。
◇ ◆ ◇
翌日の早朝、仁達は25階層へと向かう。
最後の村から南へ3km程いくと、25階層へと続く階段が見えてくる。
「ここを下りれば封印の間へと続く空洞がある。 危険はないらしいが、念の為転移の魔方陣を設置して、万が一の事態に備える。 封印を護る結界だけには触るなよ。 触れば、モンスターであるお前たちは消滅為かねないから気をつけろ。 いいな」
「「「ハイ!」」」
一通りの注意事項を説明してから、仁達は25階層へと下りていった。
◇ ◆ ◇
25階層に降り立つと、異変が起きた。
「ん、なんニャこれ!?」
「くっ、ち、力が抜ける」
「「「ぐぬぬ……」」」
25階層全体に、聖なる力が満ちている。
「なるほど、封印を聖なる力で包んでいるのか…… 仕方ないが、お前たちは村へ戻れ。 いいな」
「ぐぬぬ、これしき……」
「ダ、ダメだニャ。 力が抜けていくニャ」
「無理をするな、戻って待機していろ」
仁の命令で配下の者達は、階段を上り村へと引き返して行った。
「彼奴が言っていた『入れない』とは、こういう事だったか」
「そうだな、だがあのルナという少女はここで活動出来ているという事は……」
「間違いなく神の使徒だな」
仁とマルスは、封印の間へと向かった。
◇ ◆ ◇
仁達が封印の間へたどり着くと、扉が開き始める。
ゴゴゴと重量感のある音と、扉と地面が擦れて震動が伝わってくる。
扉が開き、封印の間の中から聖なる波動が漏れ始め、それが肌へと纏わり付く。
「ほう、凄いマナだな」
「ああ、これだと魔物すら消し飛ぶな」
仁達が扉をくぐり封印の間へと入ると、聖なる力が満ち始めた。
「いらっしゃい。 へぇ、神の使徒って云うのは本当なのね」
「どういう事だ?」
ルナは手を顎にあてて感心している。
「この封印の間は、私とケルベロス、守護者と一緒に造った結界なの。 この中で行動出来るのは、私が認めた子達と聖職者か、神の眷族だけなのよ」
「なるほど、だから配下の連中は近寄れもしないのか」
「あら、ごめんなさい。 先に許可を出して置けば良かったわね」
ルナはニヤニヤしながら、仁を値踏みし始める。
「貴方、日本人よね」
「ああ、別世界の日本から来たがお前も日本人だよな」
「あら、よく分かったわね」
「まあ、建物の作りとか、料理を見れば分かる事だな。 焼き魚を泣きながら食べるとか、日本人じゃなきゃ、何処の人間というんだ?」
ルナは仁の言いぐさに、少し苛立ち反論する。
「むう、あれはマジで辛抱出来なかったわ。 私の嗅覚がどれ程か分かるわよね」
「フッ、ミケが爆笑する程度であれば分かるぞ」
「なっ!? なんですって!」
「ああ、すまん。 俺は女の扱いが分からんのだ。 気に障ったら、謝るから許して欲しい」
仁は素直に頭を下げたが、ルナにとってはどうでもいい事であって、逆にいい口実となった。
「…………。 まあいいわ、ミケに免じて許してあげる。 その変わり貴方の力を確かめさせて貰うわ。 あっさり死なないでね」
そう言い終わると同時に、ルナは仁に向かって殺気を放ちつつ、仁の眉間に正拳突きを打ち込んだ。
「なっ、何をする!?」
仁はモロに喰らって後方に吹き飛び、マルスは叫んだ。
「あら、避けもしないのね」
「なに?」
ルナの言葉で、マルスは殴り飛ばされた仁を再確認する。
「はあ、やっぱり脳筋ファイタータイプか、もう少しは手加減すると思ったんだが……」
仁はぼやきながら、瓦礫を押しのけ立ち上がる。
「へぇ、ダメージが無さそうね。 死んでも構わないぐらいに殴ったんだけど」
「流石にダメージは入ったよ。 HPの1割は減ったんじゃないか?」
仁は首に手を当て、首を鳴らしながら調子を整える。
「仁殿、大丈夫か?」
「ああ、もう回復したから問題はない」
マルスは仁に駆け寄り声を掛けたが、問題ないと制止される。
「で、どうかな? 俺は合格か?」
「フッ、ぜんぜんダメね。 女の扱いも下手なら、遣られ方もダメダメね」
ルナは仁の評価を2段階下げた。
「そうか、なら如何したら認める?」
「なあに、その言いぐさ。 益々、気に入らないわ。 その根性叩き直してあげる」
すると、ルナの毛並みが変わり、肉体が大きく変化していく。
「私は口だけの男は嫌いなの、覚悟しなさい」
ルナの躰がみるみると成長を遂げ、身長や筋肉量も2倍程に達し、やがて人型から獣へと変わる。
その姿は金色の狼、ジェットと同じく最上位のモンスターへと到達した。
「おお! マジかあ。 マルスは手を出すな、俺が相手をする」
「分かった、死ぬなよ」
仁は云うと同時に、封印の間を飛び出した。
後編は、書き終わり次第投稿します。




