ワーウルフ、巨犬と出会う
マルスのお話は何処へ行くのか……
何時もすみません。
白のダンジョンへと戻った仁は、戦力の調整をすべく、各拠点を廻り配下達の配置換えを行う。
始まりのダンジョンから連れてきた者達も、幾分減ってはいたものの、レベルも上がり全体の戦力も上がっている。
各所の魔方陣を調整をしつつ、レベルの上がった者達を激戦区へと移動させていく。
◇ ◆ ◇
そんなこんなで、22階層のジェットやレドの居る拠点へとやって来た。
「よう、お疲れさん」
「おお、お疲れさまです」
「ウォフッ!」
レドは武具の手入れをしていて、ジェットは何処からともなく現れる。
「お! 元気そうだな、ジェット」
「ん、ジェット殿は毎日周辺を走りまわっておるよ」
ここに来るまでの途中の拠点で、ジェット達シルバーウルフの斥候部隊の活躍ぶりを、仁は聞いていたので褒めることにした。
「そうか、良くやった。 お前たちの頑張りで、かなりの成果が上がっているぞ」
「ワフッ」
ジェットを褒めると、仁の前に座りそのまま見つめている。
「なんだ、ん? ああ、これか……」
仁はアイテムボックスを取り出し、ワイルドボアの骨付き肉を取り出した。
「ウォフッ!」
ひと鳴きすると、全力で尻尾を振り出した。
「ハッハッハ、やはりジェットの鼻はごまかせないか。 ん、いいぞ」
「ワフッ」
仁が許可をだすと、ジェットは骨付き肉を前足でおさえ齧り付いた。
「おお、旨そうな肉だな。 良かったなジェット殿」
「レド、少しいいか? 話があるんだ」
「ん、構わんよ。 なにかあるのか?」
「まあな、そろそろ最下層に行けそうなんだ。 それでお前とジェットを連れていこうかと思ってな」
「分かった。 同道するとしよう」
「ありがとう。 ジェットもよろしくな」
「ワフッ」
仁の要請にレドは即答し、ジェットは骨を齧るのを中断して、同意といった鳴き声をあげる。
その後、残った戦力を再編成して、レドとジェットを連れて23階層へと向かった。
◇ ◆ ◇
23階層へと入り、各拠点に立ち寄り補充を行う。
「うん、やはりジェットが居ると、移動は早いな」
「ん、同感だがいいのか?」
「何がだ?」
「此奴らも連れてきて」
仁はジェットに乗っており、レドはシルバーウルフに乗って移動している。
「大丈夫だろ。 ジェットに仕込まれたんだ、奴らだけでもやっていけるさ。 なあ、ジェット」
「ウォフッ!」
仁はジェットに仕込まれた、数頭のシルバーウルフを一緒に連れて来たのである。
「そろそろ到着だぞ、そこで皆と合流だ」
「了解!」
22階層からここまで、大凡3時間というから驚きのスピードである。
ほぼ全力で走れる程の広さと、シルバーウルフクラスの脚力は、徒歩での移動と比べることもなく、その道のりはあっという間の出来事であった。
数日間かけて敵を間引き、拠点間を巡回する配下が居てこそのスピードでもある。
◇ ◆ ◇
「よし、到着だ。 ジェット、お疲れさま。 もう自由にしていいぞ」
仁がジェットから騎乗用の帯やハーネスを外していると、レド達も到着した。
「いやあ、ジェット殿の全速力は早すぎて、シルバーウルフでも追いつけんよ」
「ハハハ、お疲れさん。 まあジェットは最上位種だしな。 トップスピードは俺より早いからな」
「…………。 マジかよ」
そんな会話をしていると、ミケやリウ達が出迎えにやってくる。
「お帰りニャさい」
「お疲れさまです」
「ん、ただいま」
「レド? 如何したニャ?」
「ん、何でもない……」
「変なの、それより久しぶりだニャ、元気ニャ?」
── 3分前 ──
「主、遅いニャー」
「そろそろ帰ってくるだろう。 それより、少しは武具の手入れをしろ。 背中のハーネスがズレてるぞ」
リウの指摘に、ミケは背中を見ようとしたがすぐに諦める。
「ん、後で直すニャ」
「まったく……」
リウは呆れて立ち上がると、そこへワーウルフが飛び込んできた。
「オイ! 何かが近づいて来るぞ! しかも、速い!」
ワーウルフが、何者かの急接近を警告する。
◆ ◇ ◆
ワーウルフの警告を聞き、ミケたちは物見櫓へと走った。
ミケはするすると櫓の上へ登り、ワーウルフの云った何かを探しだす。
櫓の上で、仁から貰った双眼鏡を覗くと、遠くから土煙をあげで向かってくる黒い影が見える。
「んー…… んニャ!? ジェットちゃんニャ! 主もいるニャよ、帰ってきたニャー」
櫓の上で、仁達の帰還をミケは叫んだ。
「なるほど、ジェット殿なら納得だ。 主の迎えに行かんとな」
「よっ、あたしが一番乗りニャよ」
櫓から飛び降りてきたミケは、われ先に出迎えにいくぞと走りだした。
「ワーウルフ殿、我らも行くぞ」
「ん、分かった……」
リウに促され、いまいち納得しきれないワーウルフであったが従うことにした。
── 前記へ ──
「変なの、それより久しぶりだニャ、元気ニャ?」
「ん? ああ……」
「んー、レド? 本当に如何したニャ?」
そんな会話をしている後ろでは、ワーウルフが仁とその側に座っている、巨犬に目が釘付けに為っていた。
「ま、まさか…… ケ、ケルベロス様なのか…… いや、有り得ん…… だがシルバーウルフも居るぞ、どうなって居るのだ?」
ワーウルフは仁達の前で呟きながら、ぶつぶつと小声で語りだした。
「漆黒の毛並み、大きくしなやかな躰に長い尾、首が三つ…… やはり違う、だがこの存在感は…… そして……」
ぶつぶつと呟くワーウルフは、仁達の視線に気付かず、未だ心ここに在らずであった。
何時も、ありがとうございます。
今月も、月別PV最多記録みたいです。
これからも頑張ります。




