美味しいは正義
旨いものは……
23階層、6日目
ワーウルフが攻略部隊に組み込まれ、仁達は5つ目の空洞にたどり着く。
「流石だな、やはり狼の索敵範囲は広いよな」
「当然だ、我々の耳や鼻を誤魔化すなど、至難の業であろう」
狼の索敵能力により、予定より1日早く、5つ目の空洞に到達したのであった。
「フニュ…… ミケだって索敵出来るニャよ」
「そうだな。 ミケのは気配察知だがな」
「うむ、気配察知だな」
ワーウルフへの賞賛に、ミケの心に嫉妬の炎が燃え上がる。
「まあ、狼と猫では感覚器官が違うんだから、仕方ないだろ」
「あたしは負けニャい。 にゃんこパワーは、わんこに負けたりしないニャよ!」
「フッ、その挑戦受けて立とう」
仁は宥めてみたが、狼と猫の争いは避けられそうに無かった。
「はあ、競うのはいいが、ケンカはするなよ」
「分かってるニャ。 ミケの方が強いし、わんこに後れを取るわけにはいかないニャよ」
「我の耳と鼻をなめるなよ。 幾ら其方が強くとも、狼の索敵範囲には、猫では勝てないと思い知るだろう」
フシャーと威嚇するミケに、ワーウルフは不敵に嗤い、勝利宣言をするのであった。
◇ ◆ ◇
「ここの拠点は、こんな処だな」
出現するモンスターの脅威度が低くなり、簡易拠点を設置して終わる。
「うーん、何回見ても信じがたい早さだ……」
「フフフ、恐れいったかニャ」
「ミケに云われてもなぁ」
「うむ、ミケは何も為てないしな」
仁の作業速度に畏怖を感じるワーウルフに、ミケが得意となって語るが、マルスとリウは呆れてしまう。
「時間の余裕も出来たし、一度町に戻って報告してくる。 留守番を頼むぞ。 くれぐれも無茶はするな。 夕方には戻るから、後はよろしくな」
「「「ハイ」」」
仁は、カーラの町へと転移する。
◇ ◆ ◇
「ただいまー」
「お帰りなさい」
仁はカーラの店へと帰宅した。
「如何したの? なにか起きたとか?」
「特にはないが、守護者の情報が得られたくらいかな。 それより、良い肉が手に入ってな、少し販売しようかと持って来たんだ」
仁達は厨房へ移動して、『ワイルドボア』が入ったアイテムボックスを取り出し、冷蔵庫前に置いた。
「ふーん、お肉の為に帰って来たんだ。 美味しいの?」
「フフフ、これを食べればそんな口は叩けないぞ」
仁は作成で『ワイルドボア』の薄切り肉を、塩コショウのみの味付けでさっと焼いて皿に乗せる。
焼きたての肉が乗った皿はテーブルへと置かれ、その皿から立ち上る蒸気が、芳ばしい肉の甘い薫りを鼻へと運ぶ。
「スンスン…… うっ、いただきます……」
肉を頬張り、もぐもぐと咀嚼するサチコは、頬に手をあて次第にうっとりと肉の旨味を堪能しだした。
肉をゆっくりと飲み込み、皿の上を眺めてひと言呟く
「美味しい……」
「そうだろう。 だがこれだけじゃない、こんなのも手に入ってな……」
仁は別のアイテムボックスを取り出し、『キングサイズボア』の肉塊をテーブルへと置いた。
そして、その肉塊を切り分け、霜降り部分を薄切りにする。
その肉をそのまま、フライパンでピンクに染まる程度にさっと焼いて皿に盛った。
「えっ、これだけ? これって生じゃないの?」
「良いから、喰ってみろ」
「それじゃあ、いただきます……」
箸でそっと肉をつまみ上げ、ゴクリと唾を飲み込み、口へと運ぶ
肉が口へと入り、生の肉と脂の薫りが鼻へと抜ける。
「ん″ん″!? ムグムグムグ…… はぁ、美味しい」
サチコは肉の旨味に囚われ、薄らと涙を流している。
「どうだ、旨いだろう?」
「う、うん」
サチコは余りにも旨い肉に、生返事で応えてしまう。
「まあ、こっちは売れないが、最初のワイルドボアの肉を高級品として売ろうと思うんだ。 どうだ?」
「はあ…… 美味しかった。 でもこれってダンジョン産よね? 売ってもいいの?」
この時代でのダンジョン産の肉は、謂わば禁忌の肉と云ってもよい物である。
「構わんさ、ダンジョン産の肉とバレても、うちが卸せば大丈夫だろ? なら、ご褒美でちょっと良い肉があっても、今のこの町なら売れるはずさ。 それにこの肉を食って育てば、自然とステータスも上がり易くなるしな」
「なるほどね。 それならいいけど、どれ位あるの?」
仁は詰め込ん時を思いだし、大凡の数字でこたえる。
「とりあえず、100頭分ぐらい持って来たから、半分は置いていくつもりだ」
「100…… ま、毎日食べられそうね」
「…………、やめとけ、太りたいなら別だが」
「アハハ…… そ、そうね。 週1回なら食べたいかな?」
涎が出て来そうな顔のサチコを、仁は諭すように忠告すると、サチコは正気に戻った。
「そうだな、それぐらいなら大丈夫かな。 それじゃあ、肉の部位ごとに分けて、保管庫に入れて置くからよろしくな」
「はーい」
その後、仁は王都へと向かい
王城にも『ワイルドボア』と『キングサイズボア』のお肉を、お裾分けするのであった。
昨日はすみません。
うっかりして、お休みの報告をいれて居ませんでした。




