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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
第三章、人々の暮らし
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和解





「貴様たちは何者だ? なぜ長のことを知っている」


「ん? 長が守護者なのか、俺はダンジョンマスター、田中仁だ」

「ダンジョンマスターだと……」


 ワーウルフは仁を訝しむ。


「ああ、始まりのダンジョンで、守護者のリッチから話を聞いた。 各地の守護者は、俺を待っていると」


「そうか、お前たちが神の使徒なのだな。 なるほど、我を斬ったあの剣士も、神の使徒と云うことか……」


「まあ、そういう事だな」


 仁は、ワーウルフの答えに同意した。


「我々ワーウルフの長、ルナ様は25階層にて待って居られる。 この先、24階層に我らの村がある、そこを使うがいい」


「24階層か、有難く使わせて貰おう。 だが、その前に治療をしないとな」

「ん? 時間は掛かるが治る。 治療はいらん」


「治るって、どれぐらいなんだ?」

「そうだな、半日ぐらいだな」


「マジでか、ワーウルフはヤバいな。 まあいい、とっとと治すぞ」


 仁は、ワーウルフの下半身を持ってきて、上半身の近くに置き生活魔法『クリーン』をかける。


「ふむ、エグいな」

「な、何を為る気だ?」


「ん? くっつくかと思ってな。 ちと待ってろ」


 仁は、ポーチから『エクスポーション』を取り出し、ワーウルフの傷口に振り掛けた。


「「「おお!」」」

「な、なんだと!? おお!? あっああああ……」


 ワーウルフの傷口から薄ら煙りが出ると、モリモリと肉が蠢きブクブクと泡を立てつつ、内蔵から繋がっていく。


「うわぁ…… キショッ」

「見ては為らんものを見てしまった」


 真っ二つだったワーウルフの胴体は完治したが、何ともいえない空気になった。


「成功だな」

「ウプッ………… す、すまん」


 仁を除く、全員がドン引きであった。



 ★ ☆ ★



「うーむ、これは凄いな。 完璧に治ったぞ」


 ワーウルフはストレッチのような動きで、躰のチェックをしている。


「もういいか? 話があるんだが」

「おお、そうだったな」



 仁は、先日までの出来事をワーウルフに伝える。



「そうか、お前たちを襲って返り討ちにあった。 そういう事だな」

「ああ、此方も被害が大きくてな、咄嗟のことだったが、俺の一撃が彼奴の命を奪った形になった。 済まなかった」


 仁はミケのことは話さずに、ワーウルフの同朋を殺めたことを謝罪した。


「彼奴をやったのはミケだニャ。 主は悪くないニャ!」


「ああ、構わんよ。 嘘ではないのだろう? 奴が襲い、返り討ちにあった。 それで十分だ。 我々ワーウルフの掟は、強さが肝要。 そして、誇りを忘れ弱者を襲い、返り討ちに遭うは万死に値する恥ずべきことだ。 それで死んだので在れば、捨て置いても構わんよ」


「なるほど、ワーウルフは高潔なのだな」

「ん? まあそうだな。 最近は、軟弱で無鉄砲な馬鹿が増えてしまったが、今回こうして相見(あいまみ)える切っ掛けとなった。 それで十分、という事だ」


 マルスに高潔と評されたが、ワーウルフはそうでもないと語った。

 そんな会話をしつつ、仁は疑問をワーウルフに問う。


「しかし、あのまま殺していたら、今の話もなかったんだが、どういたった訳で襲って来たんだ?」


「ああ、そうだったな。 うっかり忘れるところだったな。 いきなり襲って悪かった。 すまん。 お前たちから奴の血のニオイが為たもんで、狩られたと思ったんだ。 同朋の恥を(そそ)ぐのは我らの慣習だからな。 本当にすまない」


「なるほど、()()()か。 狼だし、当然そう判断するよな。 よし、分かった。 これでこの話は終わった。 互いに、不幸な出会いをしたという事だ。 我々も、すべてを水に流そう。 いいな?」


「「「ハイ」」」


「と言うことで、今後はよろしく頼むな」

「ああ、こちらこそ宜しく頼む」


 こうして、仁達とワーウルフの間での、わだかまりは無くなった。



 ◇ ◆ ◇



 ワーウルフ襲撃のリスクも無くなった事で、予定を少しだけ変更する。



「仮拠点はこれで良いだろう。 後日、ここを狩り場にして、改めて拠点を造ろう」


 仁は野営地を作り、その周りに防護柵を並べて、召喚魔方陣をひとつ設置した。


 オーガをLv30で50体と設定し、防衛のみを命じる。


「ほう、これが召喚魔法か」

「ああ、魔方陣に召喚魔法を組み込んで、戦力として配置するんだ」


 定期的に召喚されるオーガ達を見ながら、ワーウルフは感嘆する。


「主殿は、多才であるのだな」

「そうニャよ、主は最強ニャ」


 一瞬、ワーウルフの眼が仁に向いたが、すぐにミケに視線が戻った。


「そうか、最強であるか。 一度手合わせをしてみたいものだな」

「無理ニャよ、主は強すぎて相手をしてくれニャいくらい、差があるニャ。 自信を無くすのがオチニャ」


 ミケは仁との出会いを思い浮かべ、ワーウルフへ忠告する。


「それは残念だ」

「それより、ご飯ニャよ。 主のご飯も最強ニャ」


「そうか、飯の時間か」

「今日はなにかニャ~♪」


 何やら怪しげであったが、飯の時間だとミケが炊事場へと向かう。


「最強か、あの方の封印が解けると良いのだが……」


 ミケの後ろ姿を見ながら、ワーウルフは呟くのであった。




暑かったり寒かったりと、体がむず痒いです。

皆さんも体調に気を付けて、お過ごし下さい。



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