ワーウルフ再び
マルスの前に奴が来ます。
23階層、4日目
朝方、オークの召喚魔方陣を設置して、出発の準備を始める。
「今日の予定は次の通路を抜けて、その先の空洞に仮拠点を置く事だ」
「ん? するとこの空洞は小さいのか?」
「小さくはない、北西側に大きく広がっているんだ。 通路はその反対側、北東に在るんだ」
「なるほど、するとその先の24階の階段迄は、どれぐらい在るんだ?」
「そうだな…… 3つの空洞が在るから、4~5日かな。 間をあけて行けば2~3日だな」
「そうか、なら無理せず5日でもいいか」
「ん、間をあければそれだけ危険が増すからな。 急いではいるが、危険を冒す必要はない」
「そうだニャ。 危険をおかしゅひちゅようはないニャ」
「ミケよ、言えてないぞ」
ミケは仁をマネて言い放つが、上手く発音が出来てないと、リウに指摘された。
「ハハハ、ミケは猫口だからな、俺は好きだぞ、面白いしな」
「フニュ、面白いとか……」
「アリア様も、可愛いミケが好きなんだし、気にすんな」
ミケはまだ若い猫又で、未だに猫の姿で寝ていたりする。
そのせいか、たまに『さ行』『た行』『な行』『は行』『ら行』の一部の発音がうまく繋がらない時に、舌が上手くまわらず『しゃしゅしょ』等の拗音に為ってしまうのだ。
「さて、そろそろ行くか」
「「「ハイ」」」
◇ ◆ ◇
仁達は、空洞を北東へ進み通路へと入った。
「意外と近かったな」
「そうだな。 だが次の空洞まで10kmはある、油断はするなよ。 何時も通り後方は俺が警戒するから、前方は任せる」
「前方はミケに任せるニャ!」
「ん、頑張れ」
「俺も行こう」
前列にマルスとミケ、その後にリウが仲間たちを引き連れていく。
ミケの索敵範囲は広くはないが、猫又は鋭敏な気配察知を有している。
特に緊急回避に優れ、まず初撃を喰らわない。
初撃さえ躱せば、マルスが敵を捌く故に、ほぼ前衛を張っている。
通路も後半となり、一旦休憩をとる。
水分補給は勿論、トイレや諸々の雑用を済ませ、装備の確認をする。
いざ空洞にたどり着き、通路をでた途端襲われても良いようにと、準備を整える。
「あと3kmで通路を抜ける。 通路の出口付近での注意は怠るなよ」
「「「了解」」ニャ」
◆ ◇ ◆
ミケとマルスが通路の出口に差し掛かり、後方の仁へと報告があがる。
そして、ミケとマルスが空洞へと、足を踏み入れた時に奴が現れた。
ワーウルフ Lv42
HP:1260/1260
ミケは空洞へと歩を進め、マルスがその後へ続く形で、不意打ちを受けたのである。
「フッフッフ、このミケさまに不意打ちなど、通用しないニャよ!」
ワーウルフの完璧な不意打ちを、ミケはあっさりと躱した。
そして、苦々しくミケを睨むワーウルフだったが、もう1人の襲撃を受けた人物が行動にでる。
ワーウルフの強襲を後方に飛び退き、体をバク転させ前屈みで着地する。
そのまま着地と同時に地を蹴り、ワーウルフへと飛びかかった。
ワーウルフはミケの挑発にのり、マルスのことを失念している。
「うらあ!!」
マルスの攻撃が放たれ、ワーウルフはそのままマルスの攻撃をモロに受けた。
ワーウルフは、ミケを無視して振り返ると、攻撃を仕掛けたマルスを見つけ、何やらニヤニヤと嗤いだす。
「なんだ人間か、お前の攻撃など効かんわ」
「ん? 効かないのか? これお前のだろ?」
すると、マルスの手にはワーウルフの、大きく立派な銀色の尻尾が握られていた。
「なに!? 貴様どうやって斬った!?」
「ん、知りたいのか」
ワーウルフはマルスを睨み付けていたが、一瞬で接近される。
「な!?」
驚愕と共に飛び退いたワーウルフだったが、何やら体が軽かった。
「ガハッ…… バ、バカな、こんな事があってたまるか」
「ニャハハハ、真っ二つニャ。 偉そうに言っといて、ざまあないニャ」
ミケは見ていた、マルスが移動と同時に、ワーウルフの胴体を斬るところを
「グルルル、貴様ら! 赦さん、赦さんぞー!」
「ほうほう、赦さんなら、如何するんだ?」
激昂し吠えるワーウルフだが、マルスの後方から、仁が現れる。
「我々ワーウルフの誇りを、お前ら如き人間に穢されるなど、在ってはならんのだ!」
「ふーん、やっぱり他にも居るのか、人間を知ってるてことは、外から来たんだよな」
すると、ミケやリウが話に割り込んでくる。
「ん? うちらと一緒なのかニャ」
「そうみたいだな」
「なんだと、なんの話だ? 我々ワーウルフはずっとこのダンジョンに住んでいるんだ。 お前らのようなぽっと出の弱者と一緒にするな!」
ミケとリウに反発するワーウルフの言葉に、仁はふと閃いた。
「おい、お前たちは守護者なのか?」
仁の問い掛けに、ワーウルフは押し黙った。
仁の閃きを採用して見ました。
(いやぁ、守護者をどうしようかと思って居たので……)
モフモフが増えて行きますぞ




