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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
第三章、人々の暮らし
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ワイルドハント

何時もの如くマルス回。

そして……





 ワーキャット達のレベリングは、レベルを3上げて終了した。


 しばらくは毎夜レベリングをするとして、翌日は前進する事にした。



「さて、今日こそ進まないとな」

「ん、王都の方も気になるし、出来るだけ急がないとな」


「何か在れば連絡はくるから、焦らずに行こう」


 今の仁とマルスには、余り時間の余裕はない。


 理由は、マリエルの寿命とマルスの仕事に在るのだが、今はダンジョン攻略を優先しているから仕方がない。


 王都にはアリアが王城に、サチコはカーラの町で店番を任せている。


 何か在れば連絡が取れるようにと、通信用のアイテム『念話の耳飾り』を渡してあるので連絡は来るだろう。



 ◇ ◆ ◇



 今日の目標は通路を抜けた先、二つ目の空洞に防衛用の拠点を造る事だ。


 理由は、造った先の防衛拠点にワーウルフが現れるならばそこで防ぎ、ひとつ目の空洞でワーウルフが現れるならば、全体の戦力を上げねば為らないからである。



 拠点から出発してから2時間で、そいつは現れた。


 仁達の前方50m先に、大きな影が見えている。



 おそらく向こうも感知して、此方を認識して居るはずなのだが、動きがない。



「主、如何しますか? やりますか?」

「ん、そうだな。 トドメを刺すのも情けだしな。 ミケ、奴の首をとってもいいぞ」


 ミケは、動かない奴を睨み付けてはいたが、まさか主を差し置いて、手を出していいものかと聞き返す。


「ンニャッ!? いいのキャ?」

「ああ、もう死にかけているからな、早く行ったほうがいいぞ」

「なるほど、動けないのか」


「了解ニャ。 兄妹たちの仇、討たせてもらうニャ」


 スルスルとミケはワーウルフに近寄っていき、おそるおそると確認後、その首に手を掛け爪でひき裂いた。



「やったニャ。 兄妹たちよ、仇はとったニャ!」


 ワーウルフの首を手に、ミケは戻って来たが、その顔は微妙であった。


「如何した、微妙な顔をして」

「んー、達成感がないニャ。 この手で倒したかったニャ」


「そうだな。 だが、何でこんな処で死にかけて居たんだ?」

「ふむ、もっと強い奴が居るのか?」

「ニャニュ!?」


「まてまて、あれは俺のせいだ。 奴が逃げだす前に、俺が奴の腹に蹴りを入れていただろ。 その時、魔石がやられてしまい、再生出来なく為ったんだろうよ。 でなければ、こんな処で行き倒れる訳がない」


 モンスターには何処かに急所があり、大概はそこに核となるものもある。

 特に、ワーウルフクラスになると魔石となり、特殊能力の源となるのである。


「い、痛そうニャ……」

「そりゃ災難だな」


「ハハ、再生が徒となり、ここで苦しんで居たのだな」

「まあ、そんな処だろう。 でなければ、とっくにくたばって居たはずだな」



 その後、通路を抜けて二つ目の空洞へとたどり着く。



 ◇ ◆ ◇



 ワーウルフは死んだが、ボスでもなさそうなので、通路の出口に防衛拠点を造る。


 通路を背にして、半円状に防護柵を展開し、通路を拠点で塞ぐ。


 通行人が居るなら、すぐにクレームが入る形ではあるが、モンスターを通さずに壁を造るには、これ以上の防壁は無いのである。



「これでワーウルフが後方に出現するなら、プランを変えなければいけないと云うことだな」


「流石は主だな、抜け目が無いな」

「フッフッフ、ミケには分かっていたニャよ」

「本当か?」


 ワーウルフ対策をとる仁の考えを感心するリウと、最初から分かっていると宣言するミケは、マルスに問われ一瞬焦ってしまう。


「当然だろ」

「そ、そうニャよ。 当然ニャ……」

「おい、尻尾が丸まったぞ。 嘘だったな」


 リウは正直に言い放つが、ミケは動揺して感情が尻尾に出てしまう。


「ち、違うニャ! こりは緊張して……」

「へぇ、猫のしっぽでそんな事も分かるのか…… なるほど、参考にしよう」


 マルスがミケの嘘を看破すると、ミケの動揺が仁に伝わり、ますますミケは焦るのであった。



 ★ ☆ ★



 仮の防衛拠点ではあるが、召喚魔方陣で戦力を整える。


 まずオーガをLv40で20体、次にサーベルタイガーをLv30で20頭、最後にオークをLv30で100体を召喚すべく、通路に召喚魔方陣を設置していく。


 攻防に優れたオーガ、攻撃力の高いサーベルタイガー、数での防衛戦で優るオークと云った感じである。


 1日に召喚魔方陣は二つと決めているので、最後のオークは翌日に設置する事にした。



 ★ ☆ ★



 召喚魔方陣二つを設置して、残った時間を利用して、周辺の狩りへと充てる事になった。


 狙いはワイルドボアだが、二つ目の空洞に出現すると確定はしてないので、そこは臨機応変にとなる。


 ワイルドボアで在れば肉と毛皮、牙などが町で売れるので、出来れば狩りたい処である。


 そして、案の定であるがワイルドボアが、大量に運ばれてくるのであった。


「はあ、如何すんだこれ?」

「ん、とりあえず解体するべ」

「カツ煮、カツ煮~♪」


「イノシシでカツ煮は無理だぞ、同じ味になるか分からん。 何にしろ味見しないと分からんな」

「主の作るものなら、何でも頂きます」

「ん、あたしも何でもいいニャ」


「なら味見の後でメニューを決めるか。 ところでマルスは何処だ?」


 すると、遠くからデカい物体が、ゆっくりと迫ってくるのが見えた。


「なんだあれは?」

「デッカいニャ!」


 近づくにつれて、そのデカいイノシシを引きずるマルスが見えて来た。

 すると、向こうからも見えてか、何やら叫び声が聞こえる。


「誰か手伝ってくれ!!」


 聞こえるやいなや、ミケが走りだし、リウは仲間たちを連れてイノシシを回収に向かう。



「はあ、疲れた……」

「ん、お疲れさん。 だが、あれは如何したんだ?」


「うん、まあ偶々な……」

「言いにくいなら聞かんが、これはこれで如何すれば良いんだ?」


 推定15m、重さ数十トンはあろうイノシシに、ミケが上に乗ってダンスを踊り、その下では配下の者達が笑っている。


「しょうがない、解体は無理だし分解するか」

「ん、よろしく頼む」



 こうして『キングサイズボア』と命名されたこのイノシシは、仁の分解で解体為れたのである。



 これは余談だが、この『キングサイズボア』のお肉は非常に美味であり、長い年月を仁のアイテムボックスで保存され、祝い事の度に振る舞われる事となったのである。


 そのことが配下達に伝わり、その日以降の狩り場は、必ずここの空洞で『キングサイズボア』を探すことが恒例となるのであった。


 因みに、ここで獲れたワイルドボアのお肉も非常に美味しく、町では高級品として流通しました。




ワーウルフは倒されましたが、一体とは限りません。

ダンジョンと、そこに在る魅力が書けたらなあと思うこの頃です。



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