第5話:三日天下(バッドエンド)は俺が書き換える
意識が現実の肉体へと戻る。
目を開けると、そこは相変わらず薄暗い、戦国時代の天井だった。
だが、今の俺は、数時間前まで絶望に打ちひしがれていた無力な赤ん坊ではない。
俺の脳内には、この乱世を完全にコントロールするための【絶対記憶】という究極の兵器が搭載されている。
「あー、あー」
声を出してみる。まだ言葉にはならないが、喉の奥から湧き上がるのは、恐怖ではなく闘志だった。
史実の明智光秀は、己の才覚と努力だけで信長の筆頭家老にまで上り詰めた、まごうことなき天才だ。
その天才の器に、未来の歴史知識と現代技術の【絶対記憶】が備わったらどうなる?
(本能寺の変? 三日天下? 笑わせるな)
俺は、小さなもみじのような手をぎゅっと握りしめた。
そんなバッドエンドは、絶対に迎えない。
秀吉の中国大返しでボコボコにされる? いいや、あいつが台頭する前に、俺がすべての手柄をかっ攫ってやる。
信長のブラック労働で過労死? ならば、俺が信長をコントロールして、最強のバディとして日本を支配してやる。
そのためには、まずこの「無力な赤ん坊の時期」を無駄にはできない。
俺のチートは「知識」だ。肉体が育つまでの間、俺は周囲の大人たちの会話から「戦国時代の言語(発音やイントネーション)」を完璧にマスターし、文字を習得することに専念する。
天才であることを隠しつつ、着実に牙を研ぐのだ。
(待っていろ、戦国の世。マムシの道三、魔王・信長、そして猿の秀吉)
お前たちが束になっても敵わないほどの、圧倒的な知略と盤面支配を見せてやる。
俺がこの知識で歴史を裏から操り、三日天下どころか、永遠の覇権をこの手に握ってみせる。
薄暗い部屋の中で、チート赤ん坊・明智光秀は、誰にも気づかれないようにニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
歴史オタクによる、命懸けの「超速歴史改変タイムアタック」が、今ここに幕を開けたのだった。
ここまで『新・第1話〜第5話』をお読みいただきありがとうございます!
歴史オタクの主人公が絶望から立ち上がり、チート能力【絶対記憶】に覚醒するまでのプロローグを深掘りしてお届けしました。
次回からは、成長した光秀の幼児期。史実の最愛の妻となる**「熙子」との運命的な出会いと、現代医学の知識を使った初めての無双劇(元の第2話相当の部分)を、全5話に分けてさらにドラマチックに描いていきます!




