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明智光秀:歴史改変録 ~逆行転生した歴史オタク、三日天下を永遠の覇権へ~  作者: 天音天成
第6章(エピローグ):大日本帝国の夜明け

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第5話:副総理・徳川家康の深い感嘆と、二人の絆

「……本当に、信じられん光景だな。こうして毎日この部屋から眺めていても、いまだに極楽浄土で夢でも見ているかのような気分になる」


白亜の議事堂の最上階。最高級の分厚いペルシャ絨毯が敷き詰められた、大日本帝国内閣・総理執務室。

その壁一面にはめ込まれた、南蛮の製法と日本のガラス職人の技術が融合して造り上げられた巨大な透明の窓ガラス。そこから、活気に満ちて絶え間なく動き続ける帝都の街並みと、遠くで黒煙を上げて稼働する重工業の工場群を見下ろして、立派な口髭を蓄えた男が深い感嘆の息を漏らした。


『内閣副総理』――徳川家康(五十歳)である。


かつて三河の弱小な一国衆から身を起こし、幼少期は人質として織田や今川の間をたらい回しにされ、青年期以降は織田信長という底知れぬ魔王や、武田信玄という戦の化け物たちに怯えながら、常に死と隣り合わせの血みどろの戦場を駆け抜けてきた戦国武将。

腹に一物も二物も抱え、爪を噛みながら常に周囲を警戒していた「狸親父」としての殺気や泥臭さは、今の彼からはすっかり鳴りを潜めている。

五十路を迎え、政治家として知力も体力も充実しきった彼は、今や国全体の経済と地方行政を束ね、血気盛んな若きエリート官僚たちをその懐の深さでコントロールする、絶対的な貫禄と余裕を持つ大政治家の顔になっていた。


「わずか十年だぞ。たった十年で、あの血で血を洗っていた野蛮な日の本が、ここまで劇的に、そして根底から変わるとはな」

家康は懐かしそうに目を細め、窓ガラスに薄く映る自分の顔を見て苦笑した。


「思い返せば十年前……人払いをさせたあの密室の夜、貴方から『魔王を海の外へ逃がす』という恐るべき計画と、その後にこの国に築き上げる『内閣制』や『近代化』という、百年先の未来図を聞かされた時は……正直、この明智光秀という男は、ついに重圧で頭がおかしくなった狂人かと疑ったものだがな」


あの密約の夜。家康は光秀の知略に震え上がりながらも、武力ではなく法と経済で国を治めるという途方もない理想に共鳴し、歴史を裏で操る「共犯者」となる道を選んだのだ。

「……貴方は、本当にたったの十年で、その百年の進化を強制的に成し遂げてみせたのだ。まったく、恐ろしい男よ」


「すべては綿密な計算と、資本の集中による結果ですよ。徳川副総理」


俺は家康の隣に並び立ち、いつものように愛用の白檀の扇子を広げて優雅に微笑んだ。

俺の容姿も還暦を前にして年相応に歳を重ねたが、日々の鍛錬と現代的な健康管理のおかげで、背筋はピンと伸びている。白髪が混じり始めた髪は、むしろ国家の頂点に立つ元首としての威厳を醸し出していた。


「それに、私一人の力では、到底十年でここまで辿り着けませんでした。貴方がいたからこそです、家康殿」

俺は窓の外の平和な景色から、家康の顔へと視線を移した。


「私が『内閣制』や『廃刀令』、『身分制度の解体』といった、誰も理解できない新しいシステムを強引に推し進める中で……長宗我部や島津、毛利や上杉といった、血の気の多い地方の雄藩たちは、既得権益を奪われることに強い不満と反発を抱えていました。一歩間違えれば、再び全国規模の内乱が起きてもおかしくなかった」


俺の言葉に、家康は静かに頷く。

「彼らのその不満を、巧みな交渉術で吸収し、領地の安堵と議席の付与、そして近代技術の優先提供という絶妙な飴と鞭で宥め透かし、我慢強く内政に協力させたのは、他でもない貴方の圧倒的な政治的手腕です。私が劇薬だとすれば、貴方はこの強すぎる薬効から国を守り、まとめるための最高の中和剤だった」

「ふっ……言うではないか、総理殿」


家康は照れ隠しのように髭を撫で、再び窓の向こう――帝都の遥か南西、強大な『大日本帝国海軍』の巨大な軍港がある大坂湾の方角を見つめ、低い声で呟いた。


「それにしても、この国の力はどこまで膨れ上がるのやら」


その声には、痛快さと同時に、自国が手に入れた底知れぬ力に対する空恐ろしさのようなものが混じっていた。


「先日、大坂湾で行われた我が海軍の特別軍事演習……凄まじいものでしたな。分厚い鉄の装甲を巻いた巨大な『蒸気軍艦』が、風もないのに黒煙を上げて荒波を裂いて進む。そして、後装式の『最新型ライフル』を持った兵士たちと、艦に積まれた鋼鉄製の旋条砲(ライフル砲)が、火縄銃とは比較にならない百発百中の精度で、遥か彼方の的を木っ端微塵に粉砕する」


家康は、その時の光景を思い出し、身震いするように肩を揺らした。

「……視察に招かれていた明国(中国)や南蛮の特使たちの顔を見ましたか? 彼ら、あまりの絶望的な戦力差に完全に腰を抜かし、ガタガタと震え上がっておりましたぞ。かつて我々に旧式の鉄砲を高値で売りつけていた南蛮の商人どもが、まるで神を見るような目でひれ伏しておったわ」


家康が、たまらないといった様子で腹を抱えて笑う。

富国強兵。俺は内政や経済だけでなく、国防の要である軍事技術も、歴史オタクの【絶対記憶】とオーバーテクノロジーを駆使して、一気に世界最高水準――いや、一八〇〇年代後半の近代レベルにまで引き上げていた。


もはや、この大日本帝国を武力で脅かせる外敵は、地球上のどこにも存在しない。史実における幕末の黒船来航など、絶対に起こり得ない。なぜなら、日本自身が世界最強にして最大多数の黒船を保有しているからだ。

圧倒的な軍事力は、実際に他国を侵略するために使うのではなく、ただ見せつけることで、他国に「日本に手を出せば国が滅ぶ」と理解させる最強の外交の『抑止力』となる。それが平和を維持するための絶対条件なのだ。


「ええ。これで国内の憂いも、外からの理不尽な脅威も、完全になくなりました」


俺は窓から視線を外し、執務室の中央に鎮座する、艶やかに磨き上げられたマホガニー製のデスクへと歩み寄った。

そこには、綺麗に整理された各省庁の引継ぎ書類の山と、真っ白な封筒が一つ、静かに置かれている。


「……ですから。そろそろ俺は『引退』させてもらいますよ、家康殿」


俺がサラリと、まるで「今日の昼飯はうどんにしよう」とでも言うかのような軽い口調で告げると。

家康は驚愕に両目を見開き、口をパクパクとさせながら、勢いよく俺の方へと振り返った。

本日もご愛読ありがとうございます。


エピローグも5話まで進み、いよいよ最終回まで残り10話となりました。

光秀が命を懸けて切り拓いた「新しい日本」の物語。その結末を、ぜひ最後まで見届けていただければ幸いです。


ですが、物語にはまだ、誰も見たことのない「先」があります――。


本編完結の2日後より、番外編【世界進出編】の連載を開始します!

舞台は、秀吉の出航から始まる大航海時代。

光秀が設計した「高性能戦艦」に乗り、信長・秀吉・三成・官兵衛という日ノ本最強の布陣が、世界の大国を相手に大暴れします!

話数は本編と同程度の100話規模を予定。

光秀総理が国内を固め、最強の四人が海を渡る……。「戦国×大航海時代」の幕開けを、ぜひ楽しみにお待ちください!


【読者の皆様へお願い】「世界進出編も読みたい!」「応援してる!」と思ってくださった方は、ぜひページ下部の【星評価(☆☆☆☆☆)】や【ブックマーク】で応援をいただけると嬉しいです。

皆様の応援が、新章を書き抜く最大の原動力になります!

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