第二章-2不吉な知らせ
不吉な知らせが届いたのは、その夜だった。
地方へ向かう山道で、大規模な崖崩れが起きた。
王の馬車と近衛騎士、同行していた貴族たちが巻き込まれたという報せが届いた。
城内は瞬く間に騒然となり、悲鳴と混乱が交錯した。
駆け込んできた伝令の青ざめた顔を見た瞬間、胸の奥が冷え切る。
嫌な予感が、現実になろうとしていた。
――王は、帰らなかった。
翌日、ケイネスの亡骸は帰ってきた。
王城へと戻ってきた近衛騎士十数名、同行していた貴族たちと共に。
その中に、ルーク・アリスターがいた。
ヴァンがアリーシャへとケイネスの最後を伝える。
「陛下が乗っておられた馬車に落石が当たり…衝撃で崖下へと転落されました」
「私とそこのアリスター卿が馬で崖下へ駆けつけた時には多量に出血されており、応急処置は行いましたが…
ケイネス王は……最期まで、気丈でした」
報告を受け取ると、アリーシャはおぼつかない足取りで棺のケイネスに会った。
遺体は簡素な棺に納められているが、多量についた血痕が損傷の深刻さを表していた。
堰を切ったようにアリーシャの目からは大粒の涙が溢れ出て来た。
――きっとどんなに恐かっただろう。
痛かっただろう。
なぜ、兄様が死ななければならなかったの。
山道での大規模な崖崩れ。
視察の行程は事前に決められていた。
山道を通るルートも、危険がないか事前に下調べがなされていたはずなのに。
なぜ、崖崩れが起きたのか。
自然発生したもの、予測困難であると理解はできる。
それでも――
王城に残された上位貴族たちは、疑念を隠さなかった。
――今回の視察は、単なる事故なのか。
アリーシャもまた、混乱の渦中にいた。
兄の死。
国の行く末。
そして……




