第8話 ちんちんを探せ
奥田さんの言葉に、僕はしばらく何も言えなかった。
――ちんちんは、本当に消えたのか。
考えてもみなかった。
だって、実際にちんちんは無くなってるんだから。
「消えてなかったら、どうなってるんだ……?」
「たとえば、透明になってるとか」
「なる、ほど」
思わず股間に手を添える。
……だが、やっぱりちんちんの感触はない。
「それか外れちゃったとか」
「確かに。家に落ちてねぇの?」
「探してないな……」
「マジかよ!」
バンッと田所が机を叩いて立ち上がる。
「よし、俺たちで探そうぜ!」
「え……俺たちって、もしかして奥田さんも?」
こくこくと頷く奥田さん。
その目は、キラキラと輝いている。
「部屋、散らかってるんだけど」
「大丈夫だよ、気にしないから」
「ちょっとは気にして!?」
もしかして異性としてすら見られてない!?
「そんな恥ずいか? エロ本でも隠してんの?」
「ないよ、このご時世でアナログなんて……」
「デジタルならあるの?」
「ないからッ!!!
奥田さん、変なこと言わない!」
しゅん、と凹む奥田さん。
しまった。
ついうっかり、田所にするみたいなツッコミをしてしまった。
「でもよ」
先ほどまでヘラヘラと笑っていた田所が、腕を組む。
「一人より三人の方が確実だろ。
ずっとこのままってわけにもいかねぇし……蒼井はもっと、この状況を深刻に考えた方がいいんじゃねぇの?」
「う……」
思わず、言葉に詰まる。
まさか田所にこんなことを言われる日が来るなんて。
僕が何も言えないでいると、田所がニカッと笑顔を浮かべた。
「よし!
作戦も決まったし、蒼井の家に行くぞー!」
「おー!」
田所と奥田さんが腕を突き上げる。
確かに、二人が乗り気でいてくれてるうちに手伝ってもらった方がいいのかもしれない。
なにより……一人だと心細くなりそうだし。
「……おー」
少し遅れて、僕も腕を突き上げた。
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