第6話 ちんちんが無いということ
「触りたい、だめ?」
「……それは、ちょっと」
一歩、後ずさる。
女子に――それも、好きな女子に触らせるのは、さすがに抵抗があった。
僕には掟がある。
それは、姉貴に知られて怒られそうなことは、女子にはしない――というものだ。
この行為は多分、それに該当する。
「委員長、男心くらい察してやろうぜ?」
やれやれ、といった風に肩をすくめる田所。
彼にしては珍しく、僕に助け舟を出してくれるらしい。
奥田さんは、意味がよく分かっていないようだ。
可愛らしい眉をぐぐっと寄せて、怪訝そうな表情を浮かべている。
僕が「ごめんね」と改めて断ろうとしたところで、田所がさらに言葉を重ねた。
「勃つもんがなきゃ、女に触られたって苦しいだけだろ?」
「ちがっ、田所……!」
「苦しい……? どこかつらいの?」
奥田さんが小首を傾げる。
その瞳には、心配の色が滲んでいた。
僕はぶんぶんと大袈裟に両手を振る。
「大丈夫、まだなってないから!!
ぜーんぜん苦しくない! 元気!」
存在しない力こぶを作りながら、ニカッと笑顔を見せる。
その瞬間、胸がチクリと痛んだ。
……僕はほんとに元気なのか?
ちんちんがないのに。
思わず肩を落とす。
すると、その肩を田所が強く叩いた。
「まぁ元気だせって!
そのうちおっぱいが出来るかもだしな!」
それ励ましになってないんですけど……。
ここにきて、僕は初めて泣きそうになった。
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