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ある朝、僕の“それ”が消えた。  作者: 花束 いと


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第25話 決着(?)

 階段から降りる。

 二人が、そろって僕を見ていた。



「気持ち悪くないよ、田所」



 噛みしめるように、言葉を紡ぐ。

 僕はそんなこと、一度だって思ってない。



「蒼井……」



 田所の瞳が揺れる。


 陽が傾いているとはいえ、まだ残っている夕日。

 その光のせいか――彼の顔は、ほんのり赤く染まっていた。



「奥田さん、ここからは二人で話してもいいかな」

「……聞いてもいい?」

「……うん、いいよ」



 奥田さんは、遠慮がちに僕を見やる。



「私、まだ蒼井くんの友だちでいてもいいのかな」



 眉を八の字に曲げて、スカートの裾を掴む。

 その手は、震えていた。



「まだ全然日が浅いけど、蒼井くんのこと大切な友だちだと思ってる。

 女子とか男子とかじゃなくて、

 ただの人間として、

 蒼井くんと友だちでいたいの」



 どこかで聞いたことがある言葉だった。


 ……ああ、そうか。

 僕にとって田所が友だちだったように、

 奥田さんにとっても、僕は友だちだったんだ。


 男だから、女だからどうこうじゃない。

 ただ、友だちでいたいんだ。



「友だちだよ。これからもずっと」

「ほんと……!?」

「でも、奥田さんのことはまだ好きなんだ」

「あ……そう、だよね」



 キラキラした瞳が、またかすんでしまう。


 好きな人を自分が苦しめている。

 胸が締めつけられて、今すぐにでも逃げだしたくなる。


 ……それでも、

 伝えなくてはいけない。



「でも、ここ最近は接点も増えて、友だちとしても好きになり始めてるんだ」

「……」

「僕の気持ちが整理できるまで待っててほしい。

 奥田さんのことを……友だちとして、きちんと好きになるまで」



 最後の言葉が、かすかに反響する。


 数秒間、奥田さんはなにも言わなかった。

 代わりに、ぽろぽろと真珠のような涙をこぼす。


 彼女は一度だけうなずくと、

 走ってその場から離れていった。





「……伝わったかな、僕の気持ちは」

「伝わったんじゃねぇの、あの様子なら」



 一連の流れを見ていた田所が、腰に手を当ててため息を吐く。



「で、次は俺か。

 俺にも『友だちとして好きでいたい』って言うんだろ」



 突拍子もない言葉に、思わず吹き出してしまう。

 田所からすると、僕はかなりまともな人間に見えていたらしい。


 きょとんとする田所。

 近くで見ると、やっぱり彼の頬は赤く染まっていた。


 その感情を――僕は、否定したくない。



「僕たち、付き合おう」



 田所の動きが止まる。

 瞬きすらしない、変な顔。

 その顔が、次第に崩れていく。



「はあああ!?!?!」



 田所のデカい声が、学校中に響き渡った。











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