第23話 恋
肩で息をしながら、昇降口に入る。
上履きを履く時間すらもったいない。
俺は、靴下のままバタバタと廊下を駆けだす。
公園にはもちろん、家にもいなかった。
いつも通る帰り道にもいない。
学校が、最後の望みだった。
ここに居なかったら、今日はもう会えない。
頼む、学校に居てくれ。
心の中で願いながら、教室にたどり着く。
「……いた」
陽が傾いて、暗くなり始めた教室に――
蒼井はいた。
たったひとりで、机に突っ伏している。
その姿を見て、胸が締めつけられる。
丸まった背中が、まるでうずくまっているように見えたのだ。
(なんで、こんなところで……)
思わず扉に手をかける。
――でも、力が入らなかった。
(俺のせいで、蒼井はあんなに追い詰められてるのか……?)
告白した瞬間の、蒼井の顔を思い出す。
心底ショックを受けたような――裏切られたような、ひどい顔を。
蒼井は優しい。
だから多分、
俺の気持ちを否定することはない。
でも、蒼井は本当にそれを望んでるのか?
手が、扉から離れる。
好きな奴に負担をかけてまで伝えたい好意って、なんだよ……?
「田所」
名前を呼ばれて、脈が飛んだ。
振り返ると、そこには委員長がいた。
委員長は、やけに真剣な顔つきで俺に言う。
「今、いいかな」
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