22/28
第22話 戻らないちんちん
一世一代の告白をしたというのに、
ちんちんは、返ってこなかった。
僕は、誰もいない教室で机に突っ伏していた。
グラウンドから、部活のかけ声が響く。
廊下からは先生のヒールの音が聞こえてくる。
「……田所も、こんな風に寝てたよな」
怪奇事件の新聞やら雑誌を広げて、眠っていた田所のことを思い出す。
まだ、今朝の出来事だった。
それなのに……。
どこか、遠い記憶に思える。
『彼、意外と繊細だよ』
奥田さんの言葉がよみがえる。
たしかに、田所は僕が思う何倍も繊細だったのかもしれない。
ぎり、と奥歯を噛み締める。
「……友だちだったのに」
何も知らなかった。
何も、言えなかった。
「友だちだって……思ってたのに」
田所にとっては、違ったんだ。
僕が奥田さんに向ける片思いと同じだったんだ。
嫌か、と言われたら分からない。
だけど、家に帰る気分にはなれなかった。
片思いしてた奥田さんには振られて、
男友達の田所に告白されて……。
僕は、これからどうすればいいんだろう。
ここまで読んでくださり、誠にありがとうございます!
評価や感想をいただけると大変励みになりますので、もし楽しんでいただけましたらよろしくお願いいたします!




