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ある朝、僕の“それ”が消えた。  作者: 花束 いと


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第12話 仲直りの一歩

 告白するより先に、僕には試練があった。



 教室に向かう足が重い。

 背中に大きな石を背負っているみたいな感覚で、自然と背筋が丸まっていく。


 田所。

 そして、奥田さん。


 二人は、まだ僕を嫌わないでいてくれるだろうか。



 ガララッと教室の扉を開ける。

 一瞬、周囲からの視線を集めてどきりとしたが――すぐに解放された。


 田所も奥田さんも、もう教室にいた。

 息を呑んで、慎重に歩を進める。



「奥田さん」

「あ、蒼井くん……おはよう」



 一瞬だけ視線がぶつかる。

 でも、奥田さんはすぐに目を逸らした。


 ぎこちない距離感に、思わず胸がちくりと痛む。

 全部、僕のせいだ。



「昨日は、ごめん」



 腰を折る。

 できるだけ、深く、深く頭を下げた。


 その様子に驚いた奥田さんが、慌てて両手を振る。



「だ、大丈夫だよ……!

 私の方こそ、無神経なこと言っちゃって……ごめんね」

「奥田さんは悪くないよ」

「でも」

「僕が悪い」

「あ、蒼井くんは悪くないから……!」



 悪い、悪くないの問答を繰り返して――はたと見つめ合う。


 少しの沈黙。

 そのあと、どちらからともなく吹きだした。



「私より、田所のこと気にしてあげて」



 メガネを持ち上げて、目尻に浮かんだ涙を拭いながら奥田さんは言った。



「田所、昨日のこと結構気にしてたみたいだから」

「あの田所が?」

「彼、意外と繊細だよ」



 そんなに仲良くなったんだ。


 また、心の奥にモヤが立ち込める。

 僕がいないところで楽しそうに話す二人を想像すると、奥歯に力が入った。


 ――いや、ダメだ。


 今は田所のことに集中しないと。

 僕にとって田所は、たった一人の友だちなんだから。



「ありがとう、奥田さん。

 田所にもちゃんと謝ってくるよ」

「うん。頑張ってね」



 奥田さんに手を振って、自分の席へと向かう。

 そして、田所がいる隣の席に視線を向けた。



「……え、田所?」

ここまで読んでくださり、誠にありがとうございます!

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