表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある朝、僕の“それ”が消えた。  作者: 花束 いと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/22

第13話 あんま思い詰めんなよ

 机につっ伏している田所。

 その顔は、僕の方へ向けられている。


 だから、異変にはすぐ気づいた。



「……なんで」



 閉じたまぶたの下には、濃いくまが出来ていた。


 彼の腕から、なにかがチラリと覗いている。

 よく見てみると、それらは怪奇事件の新聞や雑誌だった。


 昨日、田所が何をしていたのか――。

 それを想像するのに、さほど苦労はしなかった。



「んぉ、蒼井」



 じっと見つめていたからか、僕の気配を察知した田所が目を覚ます。


 まだ寝ぼけているらしい。

 口元がだらしなく緩んでいる。



「もう怒ってねぇの?」

「あ……あれは、僕が悪かったんだ。

 ごめん」



 田所は大きなあくびをすると、ぐぐっと背筋を伸ばして言った。



「……考えたんだけどよ」

「うん」

「ちんちんって、ないとダメか?」

「え……?」



 呆気にとられて、開いた口が塞がらない。

 そりゃあ、ないとダメだろ。



「男でもちんちんない奴がいるんだと。

 ニューハーフとか、手術してとってるとか」

「……それは、性別に悩みがあるからだろ。

 僕は男のままがいいよ」

「ちんちんがない男でいいだろ。

 俺の目には、蒼井は普段となんも変わんねぇのに……なんでちんちんにこだわるんだよ」

「それは……」



 言いかけて、詰まった。

 改めて考えてみると、漠然とした衝動のように思える。


 ふと、奥田さんのことが脳裏をよぎった。


 僕は、彼女に胸を張れる男でいたい。

 そのためには、ちんちんがないといけない気がした。


 なんで?



「……ちんちんがないと、セックスできないから?」

「んなことねぇだろ」



 ぷは、と田所が笑う。

 つられて、僕も小さく笑った。



「あんま思い詰めんなよ」

「うん。……田所も」



 視線を新聞や雑誌に移す。

 それに気づいた田所が、慌てて机の上に覆いかぶさった。



「わ、わざわざ言うな! 恥ずいだろ!」



 顔を赤くする田所を見て、笑いが堪えきれなくなっていく。



「笑うんじゃねぇー!!」



 田所の情けない声が、教室中に響いた。



 ところで……



 ――ちんちんがないと、セックスができないから?

 ――んなことねぇだろ。



 雰囲気で笑ってしまったけど、

 ちんちんがないセックスって、なんだったんだろう。

ここまで読んでくださり、誠にありがとうございます!

評価や感想をいただけると大変励みになりますので、もし楽しんでいただけましたらよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ