妹の妹
「あの……そろそろ起きた方が」
「ふぇっ?」
揺り起こしてきた相手の姿を見るとブレザーちゃんだったので驚愕する。
なんかやらかした!?
「な、なんでここに居んの?」
「ひっ!?登校しててすみません!」
辺りを見回すと私の家じゃなくて学校の教室だったので安堵した。
授業の合間にちょっとだけ仮眠を取ろうとしたら本格的に寝てしまったらしい
「ごめん。家で寝てる夢見てたから混乱してた」
「寝てる夢見てたんですか……」
「うん。二倍寝れた感覚になるからオススメだよ」
そう言ってまた机に突っ伏すと、またブレザーちゃんに揺さぶられる。
「先生来たら起きるからもうちょっと寝かせて」
「次は選択科目なので先生来ませんよ」
「えっ?」
ガバっと頭を上げると確かに教室には私とブレザーちゃん以外、誰も居ない
移動教室だからみんなそっちに行ったようで、詩織さんの姿もない
私の奈凪さんとか言ってるクセにそういうところは薄情だな!
慌てて立ち上がるが、それが悪かったのか、立ち眩みをしてしまってちょっとフラっとすると、ブレザーちゃんが支えてくれた。
「だ、大丈夫ですか!?具合が悪いなら保健室に連れて行きます」
「大丈夫だよ。ただの寝不足だから」
寝不足というのは本当だ
昨日買った新作ゲームのやめ時が分からなくて夜通しやってしまった。
私の愚かな行いの所為でブレザーちゃんまで叱られるのは忍びないから先に行くように促すと、心配そうにしながらも言う通りにしてくれた。
ブレザーちゃんが去った後に、緩慢な動作で選択科目で使う書道道具をロッカーから取り出す。
もう遅刻確定だからゆっくり歩いて行こっと
「んっ?」
階段の踊り場で、見覚えのある顔を見つける。
この子は……
「ペスマスちゃん!」
「な、奈凪殿!?」
小さなあんよで一生懸命歩いていたペストマスクちゃんを思いっきり抱きしめる。
普段は流石にマスクをしていないようだ
「お姉ちゃんって呼んでって言ったよね!」
「奈凪ちゃんはお姉ちゃんじゃないよぉ」
「お姉ちゃんなの!」
「授業に遅れちゃうから離してぇ〜」
ペストマスクちゃんを抱きしめたら私のHPが全回復どころか2倍になった。
癒され過ぎるんですけど!
100年に一人の逸材だよ!
もっと癒されたくなった私はペストマスクちゃんをヒョイっと持ち上げる。
かっる!ぬいぐるみかな?
「降ろしてぇ〜」
「お姉ちゃんが部室でもっと可愛がってあげるね」
「奈凪ちゃんは出禁になってるよ〜」
「オカルト部じゃなくて、ボランティア部の部室だよ。フカフカのソファで姉妹仲を深めようね」
「だからお姉ちゃんじゃないってぇ」
ジタバタしているペストマスクちゃんを抱えながら部室に向かって一歩踏み出したが、そこで足が止まる。
良心が働いたのではない、ソファは麗奈先輩のスマホで監視されてるから妹を連れ込むとバレると思ったからだ
例の空き教室にする?
でも選択授業がある書道教室の前を通るからクラスメイトに目撃される恐れがあるな
「奈凪ちゃん?」
階段の上から声がしたので、そっちを向くと、そこには青い顔をした姉が口を抑えながら立っていた。
「あ、お姉ちゃん」
「……その子だれ?」
「私の妹だよ!」
「し、知らないよ」
まさか誘拐現場を姉に目撃されるとはな
生徒会長が授業サボるなよ
ん……生徒会長?
「この子、愛でたいから生徒会室貸して!」
「だ、駄目だよ」
「可愛い妹二人が頼んでるんだから聞き入れてよ」
「私は頼んでないよぉ〜」
「……奈凪ちゃんはこういう小さい子がタイプなのかな?」
姉の目つきが鋭くなった。
この表情は前にも見た時がある。
文化祭で詩織さんのメイドコスプレを見ていた時もこんな表情をしていた。
もしかして小さい子の格好をするつもりじゃなかろうな?
ピチピチのアニメ柄Tシャツを着ている姉を想像をしてしまったので、思わずペストマスクちゃんの拘束を解いてしまい、その隙に彼女は一目散に逃げて行ってしまった。
「幼女コスプレなんてしたら家出するからね?」
「……じゃあしない」
じゃあってなんだよ
ホントにするつもりだったのかよ
姉のそんな格好見たらHP1になるわ




