波乱の球技大会
「初めて会った時から、いつかこんな日が来ると思ってたよ」
「そ、そうなの?」
綾坂が勢いよく回転しながら放ったボールは、バットを構えている私のお腹に直撃した。
「ぐぇっ!?」
綾坂が投げたボール、私のお腹に当たりがち。
蹲って悶絶していると、次のバッターの詩織さんが飛び出して来た。
「そこは私のモノです!許しません!」
「おもしれー!今日こそ決着を付けてやる!」
取っ組み合いになった二人の様子を見たクラスメイト達も飛び出して来てそれに加わった為、グラウンドは大混乱になる。
誰か私の心配もしてくれないかな?
「まったく……女子高の球技大会で乱闘なんて聞いたことないわ」
「先生にも史上初だって言われましたヨー」
「自慢げにするな。反省なさい」
放課後の部室で麗奈先輩に呆れられた。
結局、乱闘事件のせいで私と綾坂のクラスは失格になってしまったから残りはずっと見学してた。
それは別に良いんだけど、不満そうなのが一人居る。
「なんで汗かいてないんですかー!?楽しみにしてたのに!」
「そんなの楽しみにしないでよ」
「奈凪センパイ、今から校庭10周!」
「後輩がそんな命令すんな!」
不貞腐れながら、私を嗅いでいるみうを宥める為に褒めてみることにした。
「みうの活躍見てたよ。レシーブ上手かった」
「じゃあご褒美下さい」
「何して欲しいの?」
「校庭20周!」
「それは私への罰なんよ……さっきより増えてるし」
私がみうを褒めたから、そういう流れになったのか愛花先輩も麗奈先輩を褒める。
「麗奈も凄かったね。すっごく遠くまで飛ばしてて驚いたよ」
「たまたま振ったら当たっただけよ」
たまたまじゃないでしょ
ほぼ全打席ホームラン打ってたじゃん
女子高生が確信ホームラン打ってたの初めて見たよ
「そういえば、試合終わった後に外人さんが麗奈に話しかけてたけど、あれなんだったの?」
「英語だったから分からなかったわ」
「金髪なのに分かんないノー?」
「うっさいわね。綾坂さん校庭30週」
「えー!?」
それ多分、メジャーのスカウトだよ
球技大会にスカウトが来るって物凄い逸材じゃん
進学するより、海渡って大谷翔平とチームメートになった方が良いと思う
英語は喋れないけど通訳として雇って下さいと言う前に部室の扉が開いて詩織さんが入ってきたので、反射的に立ち上がるが、彼女は綾坂の方にずんずんと向かって来た。
え、まだ怒ってんの?
第二ラウンド?
ボランティア部で殴り合うのも多分史上初だよ
詩織さんを止めようとしたが、それは杞憂だった。
彼女は綾坂に深々と頭を下げた。
「先程は大変申し訳ございませんでした」
「うぇっ!?わ、私こそごめん」
綾坂も頭を下げる。
どうやら仲直り出来たらしくてほっとする。
「綾坂さんが謝る必要はありません。いくら私のモノが傷付けられたとはいえ、あれはやり過ぎでした」
「私はナギっちのモノなんだから、私を傷付けたらナギっちを傷付けることになるんだから気をつけてよネー」
「……綾坂さんは奈凪さんのモノではありません」
「ナギっちは詩織のモノじゃないから」
あれ?
仲直り出来てなくない?
それなら一肌脱いでやるか
「やめてぇぇっ!私を取り合わないでぇぇっ!!」
「「黙れ」」
場を和ませる為に冗談っぽく言ったのに二人に一喝された。
私のモノがどうとかで争ってたのに私に冷たいのおかしくない?
「きゃっ!?」
「すっごく好みの匂いがします!奈凪センパイと甲乙付け難いです!」
「な、なんなんですかこの不埒者は!?」
いつの間にかみうに抱きつかれていた詩織さんは必死に抵抗したが、彼女は離れない
それを見た綾坂は鼻で笑った。
「ハッ、お似合いジャン!」
お似合いなのかなぁ?
最終的に綾坂も星七先輩と付き合って私独りになったらそれはちょっと寂しいな
「奈凪センパイと一緒で10年に一人の逸材です!」
「それは10年に二人なんよ」
「ボジョレーヌーボか!の方が良いと思うなぁ」
愛花先輩につっこみのダメ出しをされてしまった。
ボケキャラに言われるの屈辱なんですけど




