教育係!
みうが入部して一週間が経った。
今日も私は教育係としてみうをソファの上で抱いている。
「……もうちょっと自然に嗅げない?」
「自然にしてるつもりなんですけどね」
「もっと頑張ってよ」
「じゃあもっと奈凪センパイの匂いを嗅がせて下さい。そしたら頑張れるんで」
みうが目を閉じて嗅ぐのに集中したので、そのままやらせておく
幸せそうにしてる彼女を眺めていると、なんだか母猫に抱かれている仔猫に見えてきたので思わず髪を撫でてしまった。
「……どうしました?」
「な、なんとなく」
「……なんか先輩、優しくなりましたね」
「そう?」
「そーです。今の先輩も好きっすよ」
そう呟いてからみうはまた私の胸に顔を埋めて匂い嗅ぎに戻った。
気持ちよさそうだな
人の匂い嗅ぐのってそんなに良いものなのかな?
私もやってみよ
「……なにしてるんですか?」
「みうの匂い嗅いでるだけ」
「奈凪センパイのヘンタイ」
「ええっ!?」
みうはジト目で私を睨みながら離れた。
理不尽過ぎるでしょ
「『禁忌』に部員が嫌がる所は触らないって書いてありますよね?」
「『触らない』だからね。『嗅がない』とは書いてないよ」
「『禁忌』に書かれてないことはして良いってことですかぁ?」
「そうだと思うよ」
「……ふーん」
みうに抱きつかれたので、匂い嗅ぎを再会するのかと思ったがそれは違った。
「じゃあ奈凪センパイとえっち出来るね」
驚愕して息が止まりそうになった。
で、出来るワケないだろ
部員は恋人を作ってはいけないって『禁忌』あるし、キスをしてはいけないって『禁忌』もある。
……ん?
恋人じゃないなら良いのか?
キスしないなら良いの?
嫌がらなければ良いってこと?
……考えてみれば今まで『禁忌』に書かれている行為以外をして麗奈先輩に怒られたことは無かった。
おでこやほっぺにキスしてもお咎めなし
なら『禁忌』に書かれていないセックスはあり?
私の思考がまとまる前にタイマーが鳴った。
みうが紅茶セットを持ってカーテンの外に出たので、それに続く
「最後のは良かったわ。そろそろデビューね」
「頑張りまーす!」
耳元で囁かれた言葉は他の部員には聞こえなかったらしく、麗奈先輩は最後に抱きついた時に嗅がなかったみうに合格判定を出した。
「次に来る『お嬢様』の相手をしてもらうわ」
「はーい!」
……麗奈先輩にセックスは『禁忌』に入りますかとか聞けるハズないよな
バナナはオヤツに入りますか?みたいなノリじゃ絶対聞けないよ
「ナギっち変だよ」
「な、なにが?」
「クンクンされるの嫌じゃないの?」
綾坂に私の異変を見透かされたと思ったが、それは違うらしく少しほっとする。
「綾坂は嗅がれるの嫌なの?」
「え、嫌に決まってんジャン」
「そうなの?」
「そうだよ!キモいじゃん」
「貴女、その認識を改めなさい」
麗奈先輩にも指摘されてしまったけど腑に落ちない
触られたり見られたりするのは嫌だけど嗅がれるのは別に良くないかな?
『お嬢様』にやるのは失礼だからそれをするなってハナシだと思ってたけど、キモいからするなってこと?
みうは可愛いからキモくはないけどな
「私も奈凪ちゃんと一緒で平気だよ」
あ、私ヤバいんだ
愛花先輩と同じ認識とか絶対ヤバい
一刻も早く治さなきゃ
そう決意したところで、部室の扉がガラッと勢いよく開いた。
「奈凪!ウチの部員を横取りしただろ!」
突然の来訪者の正体はポニテだった。
走って来たらしく、息を切らしている。
「ちょうど良いのが来たわね。貴女の出番よ!みう!!」
「みぅ〜!」
麗奈先輩がビシッとポニテを指差すと、みうが元気良く飛び出した。
ポケモンバトルかな?




