二年生になったよ
教室のドアを開けると、去年とは違う空気が流れていた。
緊張しながら席に着き、周りをさりげなく見回すと、嬉しそうに手を取り合っている二人の生徒が視界に入ってきて羨ましくなる。
私も綾坂と同じクラスになりたかったよ
新しいクラスの中には、知っている顔もいれば全く見覚えのない顔も混ざっていて、知っている顔の中には私に告白してくれた子が何人か居て、その中の一人のブレザーちゃんと目が合うと、彼女は恥ずかしそうに顔を伏せた。
綾坂と同じクラスになれなかったのは寂しいけど、放課後には会えるから耐えられる。
告白された子と一緒なのは気まずいけど、それは前のクラスでも同じだから耐えられる。
でもこれは耐えられない
私と目が合うなり、自分のほっぺとお腹を触った詩織さんに、べーっと舌を出しながらそう思った。
野球の監督かよ。
始業式の後、詩織さんが寄ってきて、私のカバンに付いているチョーカーを触った。
「やはり運命なのですね」
「たまたまだよ」
素っ気ない反応をした瞬間、詩織さんがほっぺにキスしてこようとしたので仰け反ってノートでガードする。
マジかよコイツ!?
「ソファ以外ではしても良いのでは?」
「あれは人前ですんなって意味だから!」
思わず大声を出してしまったので、クラスの子達が私と詩織さんを見ながらヒソヒソしだした。
「奈凪さんと詩織さんってそういうカンケーなの?」
「奈凪さんって綾坂さんと付き合ってるんじゃ……」
「なんか別れたらしいよ」
「え、浮気!?」
「分かんないけど、綾坂さんが卒業式で三年の先輩に「キスさせろ!」って迫ってたらしい」
「どういうこと?ちょっと聞いてきてよ」
「やだよ〜」
「じゃんけんで負けた人が聞いてこようよ」
めちゃくちゃ噂されてるじゃん!
聞きにこられたら堪らないので、じゃんけんが終わらない内に教室から飛び出すと、そこにはクラスメイトに囲まれた綾坂の姿があった。
「あ、ナギっちじゃん。これからクラスの子とカラオケで親睦会するんだけど来る?」
「い、いや、、遠慮しとく」
断ると綾坂はクラスメイトに腕を引っ張られながら行ってしまった。
もうそんなに友達出来たの!?
出会ったその日にカラオケとか陽キャ過ぎるんですけど!!
そんなことを思いながら佇んでいると、詩織さんに腕を組まれたので、逃げ遅れたことを察する。
「行きましょうか」
「どこに?」
「ボランティア部にです」
「今日、部活無いよ」
「では貸切ですね」
「部活無いんだって」
部活の話が出たので思いついた。
詩織さんをボランティア部に誘ってみよっかな?
麗奈先輩に容姿が良い生徒を勧誘するように頼まれていて困ってたけど詩織さんなら適任だし、部員全員と知り合いだから溶け込みやすい
『お嬢様』から『部員』にしちゃえば誘惑してくることも減るんじゃないかな?
「あのさ……」
「何でしょうか?」
「ボランティア部に入らない?」
「……それはどういう意味で言っているのでしょうか?」
「そのまんまの意味だよ。詩織さんなら人気者になると思うよ」
「奈凪さん以外には抱かれません!!」
詩織さんは私から離れてぷんぷん怒りながらどこかに行ってしまった。
これで怒らすの何回目だろ?
好きな人にキレ過ぎじゃなかろうか?
「奈凪さん以外には抱かれませんだって」
「どうゆー意味だろ?」
「奈凪さんがカノジョの詩織さんに他の子に抱かれろって命令したんじゃない?」
「なんでそんな命令すんの?」
「寝取られ趣味があるんでね?」
「えーホントかなぁ?聞いてきてよ」
「じゃんけんね」
またじゃんけんが始まったので急いで逃げる。
このクラスいやぁーーー!!




