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知らない女の子に私は今日も100円で抱かれている~100円で抱かれる部~  作者: グナ


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100円で結構です

二月に入った。

雪だるまくんはまだ生存してる。


「こ、こ、こ、こんにちはぁ」


今日も新規客が来た

一目見た瞬間、私宛だと察して席を立つ


新規客の正体は私に告白してくれたブレザーちゃんだ

たぶん、同じテニス部のポニテがボランティア部の活動のことを彼女に教えたんだろな


職員室に怒られにきた子供みたいに震えているブレザーちゃんに近づいて微笑みかける。


「そこの缶にお金入れてから名簿に名前書いてね」

「あ、あの!」

「ん?」

「奈凪さんと……い、いかがわしいこと出来るって聞いたんですけど本当でしょうか?」

「う、うそですね」


ポニテはなんて説明したんだよ!

あの子にとっては抱き合っただけでいかがわしい判定になんの?

どちらかと言うと最後くっついて離れなかったポニテの方がえっちだと思うよ!


「そ、そ、そうですよね!すみません!すみません!」

「ちょっと待って!」

「ひっ!?」


踵を返して帰ろうとしたブレザーちゃんの腕を取る

勇気を振り絞って来てくれたのにこのまま帰すのは忍びない


「いかがわしいことは無理だけど抱きしめることは出来るよ」

「お、お願いします!」

「じゃあお金入れてくれるかな?」


ブレザーちゃんの前に缶を置くと、彼女は財布をひっくり返して全財産を缶に入れた。

……なんか懐かしいな


「いやいや、100円でいいから」

「いえいえいえ、大丈夫です」

「私が大丈夫じゃないのだよ」


缶からお札と硬貨を取り出してブレザーちゃんに無理矢理返すと、通学定期を入れてきたのでそれも返した。

どうやって帰るんだよ!


なんとか缶に100円だけ残して、ブレザーちゃんとソファに座り、紅茶を淹れながら『禁忌』を説明した。


説明してる内に紅茶を飲み干してしまったので、もう一杯淹れてあげる。

かなり緊張しているようなので、会話でほぐしてあげたいと思ったが、私の話術スキルは、そこらへんのクワ持った村人レベルなので月並みな話題しか浮かばなかった。


「テニス好きなの?」

「は、はい!下手ですが……」

「好きに下手とか関係ないよ。高校から始めたの?」

「そうです。す、すみません」


なんで今、謝ったんだろ?

この子、謝るのが癖になってる気がするなぁ


「謝らなくていいよ」

「はい、すみま……はい」


なんとか堪えたブレザーちゃんの様子がおかしくて吹き出しそうになったが、頑張って耐える。


「どうしてテニス始めたの?」

「引っ込み思案なのを変えたくて始めました」

「自分を変えるのってすっごく大変だよね。だからそれに向き合ってるのはかなり偉いと思うよ」

「そ、そんな偉いことじゃないです。すみません」

「ううん。偉いよ。エライエライ」


ブレザーちゃんの頭を撫でてあげると、彼女の頬が緩み、自分から会話してくれた。


「ご趣味はなんでしょうか?」

「お見合いか」

「す、すみません!」

「いやいや、今のつっこみだから」


再び緊張してしまったので、また頭を撫で、撫でながら趣味について考える。


趣味かぁ……

唯一、趣味と言えるモノはゲームなんだけど、それ言うのはなんだか恥ずかしい

でもブレザーちゃんにならバカにしたりしなそうだし正直に言えるかな


「ゲームかな」

「そ、そうですか……ゲーム良いですよね」

「うん、ゲームするの?」

「あまりしないです。すみません」


しないかー

勝手にちょっとゲームやりそうだと思ってたよ

大人しい子はゲーム好きって偏見だね!


気まずくならない内に話題の切り返しを図る。


「キミの趣味は?」

「わ、私は絵を描くことですね」

「え、すご。風景画とか?」

「そ、そんな凄いのじゃなくて、液タブで落書きしてるだけです!」

「凄いよ。私、全然絵心ないから尊敬しちゃう。今度見せてよ」

「……見ますか?」


ブレザーちゃんは、そう呟いてスマホを操作し出した。

あ、そっか。スマホの中に保存してあるのか


「ええー!?めちゃくちゃ上手いじゃん!可愛いぃぃッ!!」

「そ、それほどでも」


ナデナデが加速する

お世話じゃなくて本当に上手い

スマホの画面に表示された美少女の絵は儚さと美しさを兼ね備えており、凄く引き込まれた。


なんかのアニメのキャラだろうか?

この可愛い子が出てくるアニメ観たいな。


「上手すぎるって!可愛すぎてこの子に惚れちゃうかも!なんのキャラ?」

「……これ奈凪さんです。すみません」

「ええっ!?」


よく見たら同じ髪留めが付いている

……これ私かよ

自分に惚れちゃうとかかなりイタいこと言っちゃった!!


流石に美化し過ぎじゃない?

私のことが好きだからこう見えてるんだよね?

他人にこう見えてるとかないよね?

こんな儚い表情した時ないぞ


「良かったら、送りましょうか?」

「い、いや連絡先教えるのは『禁忌』になるから止めとくよ」

「そ、そうでしたね。すみません」


気まずくなってしまったので、抱くことにする

お尻を上げて距離を詰めると、意図に気付いたブレザーちゃんも寄ってくれたので、怖がらせないようにそっと抱く


「はぅぅ……奈凪さんとこうしてまた抱き合えるなんて夢みたいですぅ」


抱き合うと心の距離が近くなる

だから普段なら聞けないことを聞けた。


「どうして私を好きになってくれたの?」

「かっこよかったからです。あの試合の時に奈凪さんがラケットをビシッと向けて「全員抱かせろ」って言った時に惚れちゃいました。すみません」

「そ、そっか。ありがとう」


ポニテとの試合の時か

あれは私の中で黒歴史になってるんだけどな


タイマーが鳴り、ブレザーちゃんと一緒にカーテンを開けると、綾坂と愛花先輩が寄ってきた。


「奈凪ちゃんの絵、私にも見せて欲しいな」

「は、はい。これです」

「わぁ。そっくりだね」

「あ、ありがとうございます。すみません」

「えっちなのは描ける?」

「えっ!?」


愛花先輩をブレザーちゃんから引き離す

そろそろ警察に突き出そうかな


「ナギっちこれ持って」

「ん?」


綾坂に渡されたホウキを持ったまま固まる。

今日って部室を掃除する日じゃないよね?

なんかの罰?


「全員抱かせろってヤツやって」

「やるか!」


ホウキを膝で折ろうとしたが、折れなかった。

痛かった。


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