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知らない女の子に私は今日も100円で抱かれている~100円で抱かれる部~  作者: グナ


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雪だるまが溶けるくらいのキス

部室の窓から外を覗くと、校庭に佇んでいる雪だるまが見えた。

昨日帰ってからかなり雪が降ったんだよね

予報によるとこの一週間は降り続けるみたいだから、雪だるまくんの寿命はまだ長そう


一句思いつきそうになったが、俳句の神が降りてくる前に綾坂に話しかけられる。


「何見てんの?」

「あそこにある雪だるま」

「中々立派でしょ?」

「綾坂が作ったの!?」

「うん、クラスの子とお昼休みに作ったよ」

「そ、そうなんだ」

「明日はお城作る予定なんだ」

「雪まつりかよ」


最近の女子高生は元気良いなぁ

日本の未来は明るいかもしれない

「ナギっちも一瞬に作ろうよ」と誘ってくれたが、丁重にお断りする。私はもう若くないのだよ


外を眺めるのも飽きたので、カーテンを閉めたが、綾坂のお喋りは止まらない


「そういえば星七先輩の件どうなったん?まだ呼んでないの?」

「うん、まだ呼んでない」

「受験シーズンだから?」

「うん、流石に悪いっしょ」

「私立の女子大受けるらしいから、早めに受験終わると思うよ」

「情報ありがと、綾坂の方はどうなの?」

「なにが?」

「星七先輩に御守り渡せた?」

「う、うるさいな。それナギっちに関係ないじゃん」


綾坂は照れてそっぽを向いてしまった。

最近、綾坂のことが気になってて、向こうも満更ではないと思ってたんだけど、この反応はどういうことだろう?


やっぱり、星七先輩が好きなんだろうか?

どっちが好きか揶揄い交じりに聞いてみたいけど、今は先輩たちがいるから無理だし、後からでも勇気が出なくて無理そう


そんなことを考えている内に、部活の活動終了時間が迫ってきたので、読みかけだった漫画を棚に戻そうとしたら部室の入り口がガラッと開く


「すみません。もう閉店なんですよ」

「そうか、ではまたの機会にする」

「まだ終わってないわよ。それ止めなさい」


麗奈先輩は私からスマホを奪って流していた蛍の光を止め、帰ろうとしていたポニテを呼び戻した。

結構前に、ボランティア部で抱くって約束したから来たんだろうな

今からポニテの相手するのだるいなぁ


「何故ウソを付いた?」

「だるいから。なんで今更来たの?忘れてるかと思ってた」

「放課後は部活があるから行けない。今日は雪で部活が早く終わったから来れた」

「部活後に抱いていいなら、あの時、抱かれてたら良かったじゃん」

「あの時は試合後だから汗をかいていた。今日は軽い室内運動だけだったから汗をかいていない」


そんな気になるものなんかな?

試しに嗅いでみたら、ポニテに押し退けられてしまう


「な、なにをする!?」

「別に変な匂いしないよ」

「お前には常識というものが無いのか?」

「がっはっは!そんなものは無い!」


略奪したお宝に囲まれて酒飲んでる山賊みたいに豪快に笑っていたら、奥から「早くなさい」とクレームが飛んできたので、ポニテの前に缶を出す。


「じゃあ100円入れて」

「なぜ金を払う必要がある?」

「私のこと抱くんでしょ?」

「抱くのになぜ金がかかるんだ?」


思った通りだるい展開になったよ

めんどくさくなった私は自分の財布から100円を取り出して缶に入れ、ポニテの手を取ってソファの部屋に連れ込む


「な、なぜ部室にソファがある?」


狼狽えているポニテを無視して『禁忌』が記されてある紙を見せる。

真面目な彼女のことだから『禁忌』を犯すことは無いと思うけどルールだから見せておかなければならない


「キスしてはいけないだと?こんなこと未成年なら当たり前だ」


厳格な貞操観念をお持ちですね

それをほんの少しでいいから愛花先輩に分けて欲しい


「帰る!いかがわしい!」

「ま、待ってよ!」


ソファから立ち上がってカーテンを開こうとしたポニテの腰に縋りついて止める。

こんな『お嬢様』初めてなんですけど!


「離せ!触るな!」

「人に奢ってもらっといて帰るとかありえないから!」

「お前が勝手に奢ったのだろう!?」

「勝手にじゃなくて、善意で奢ったの!」

「そ、そうか……それはすまなかった」


本当はめんどいから奢ったんだけど、純粋なポニテは私の浅はかな嘘に納得してソファに戻ってくれた。

ちょっと心が痛い


紅茶を淹れるとポニテは香りを入念に嗅いでから口を付けた。

なんの警戒してんだよ?媚薬とか入ってると思ってる?


「部活どう?」

「充実している」

「そう?物足りないんじゃない?」

「確かに練習量は物足りないと感じることはあるが、それは自主練習で補っている」

「偉いね」

「そ、それほどでもない」


偉いと言ったのは本心。

中学の時のテニス部では、周りがダラダラしているとひたすらイライラしていて、それを隠すどころか物に当たったりしてて、他人にももっと練習するように強制してしまっていた。

そんなことをしないで、ひたすら己の技術を磨いてるポニテは本当に偉いと思う


私が褒めたところで、空気が良くなった。

頃合いだと感じたのでポニテを抱きしめることにする。


「ま、待て、こういうのは順序が……」

「うるさい、黙って抱かれてろ」


文通からとか言い出しそうだから、強引に抱きしめた。

ポニテは暫く、じたばたと抵抗していたが、やがて大人しくなって、ついには私の胸に顔を埋めた。

じっとしてれば可愛いじゃん 


タイマーが鳴っても離れなかったので、背中をぽんぽんと叩いて合図する。


「はっ!?時間か?」

「うん、延長とかないからね」

「延長などしない」


じゃあ離れてくれませんかね?

ポニテの背中をバシバシ叩いてたらようやく離れてくれた。


ポニテを入り口まで見送って部室に戻ると、綾坂しかいないことに気付く


「麗奈先輩と愛花先輩は?」

「帰ったヨー」

「ええっ!?」


後輩が仕事中なのに置いて帰ったのかよ

今までこんなこと無かったのに


「愛花先輩の感じどうだった?」

「別にフツー」


愛花先輩を噛んでるってこともなさそうだな

じゃあホントに置いて帰ったんじゃん


「さっきの人、ナギっちと試合してた人だよね?」

「そうそう……って、綾坂が何でそれ知ってんの?」

「今は、結衣だよ」

「結衣……」


綾坂と瞳が重なり、お互いの瞳の色が混ざった。

今は二人きりだから恋人の時間。

私達は引き寄せられるように触れないキスをした。


「折角だからさ、ソファで続きしようよ」

「……うん」


ソファに座るや否や触れないキスの応酬が始まる。

少しでも触れたら終わりになる危ういキスを止めることが出来ない

触れるのが叶わないので、せめて気持ちだけでも伝えようと音を立てる。


何十回目かのキスの途中で、綾坂の唇を指でなぞった。

これは求愛行動なんかじゃない、醜悪な嫉妬だ

艶やかな唇が濡れてるように見えたから、星七先輩が彼女に渡したリップを付けているんじゃないかと思ってしまった。


唇をなぞり終えたが、指は離さないまま深いキスを落とす。

綾坂も私に習って指越しのキスを返してくれた。




「楽しそうね」




突然、カーテンがばっと捲られて麗奈先輩が現れる。

その表情は言うまでもない


「私も混ぜてもらえるかしら」


麗奈先輩はそう言って私と綾坂の間に無理矢理座って腕と脚を組んだ


終わったわコレ……

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