モノは大事にしましょう
部室の机に突っ伏して寝る。
昨日はよく眠れなかった。
夕方にカフェインを摂取したのもあるけど、瞳を閉じると姉のぱんつが浮かび上がってくるんだよね
一生治らなかったらどうしよう?
「起きなさい。貴女のお嬢様よ」
「ふぉ?」
麗奈先輩に声をかけられたので顔を上げると、入り口に詩織さんが立っているのが見えたので、前髪を整えながらソファに座る。
「詩織さん。あけましておめでとう」
「あけましておめでとうございます。寝ていらしたようですが、具合が悪いのですか?」
「寝不足なだけだよ」
「夜晩くまで働き過ぎでは?」
「レズ風俗で働いてないのだよ」
キレが無いつっこみをしてからあくびをする。
『お嬢様』が詩織さんだから気が楽だ
他の人だったら目の前であくびなんて出来ない
「ではどうして寝不足なのですか?」
「お姉ちゃんに栄養ドリンク貰ったんだけど、それ飲んだら寝れなくなったんだ」
メイドコスプレの件は、一応姉の名誉の為に伏せておく
あ、でも麗奈先輩には言いたいな
どういう反応するのか気になる
「……以前お会いした時から思っていたのですが、奈凪さんとお姉様は似ていませんね」
「確かに全然雰囲気違うね。あっちは生徒会長だし」
「雰囲気もそうですが、見た目も全然違います」
「そう言われるのは新鮮だなぁ」
「嫌でしたか?」
「ううん、全然」
私も似てないと思うんだけど、他人には見た目は似ていると言われることが多い
詩織さんは私と見えている景色が近いのかな?
「ところで、冬休みも海外旅行行ったの?」
「いえ、年末年始は父の仕事関係への挨拶回りに付き合ったので日本で過ごしました」
「なんか大変そうだね」
「そうですね。社交辞令ばかりで疲れました」
「お疲れ様」
お金持ちの家のお嬢様って憧れるけど、現実は結構大変そう
私みたいにコタツでお雑煮食べながらテレビ観て笑ってる方が幸せなのかもしれない
その後、暫く詩織さんの愚痴に付き合ってから抱きしめる。
「……どうして付けてくれないのですか?」
詩織さんが私の首筋を指でなぞりながら聞いてきたから慎重に答える。
ここで返答を間違えるとまたキレられると思ったからだ
……よく考えたら他の人の方が気が楽だな
「カバンに付けてるよ」
「チョーカーは首に付けるものです」
やっぱそう返されるよなぁ
ここは正直に付けない理由を言うしかないか
言う前に姿勢を変えるフリをして詩織さんの身体検査をする。
よし、刃物は持ってないな
「付けたら詩織さんの犬になるみたいでやだ」
「そういった意味はありませんよ」
「じゃあ詩織さんが付ける?」
「私は奈凪さんの犬になりたくないです」
「そういう意味じゃねーか!」
私の名前が刻印されてるから、受け入れてくれるかなと淡い期待を持っていたが頑固拒否された。
私だって頑固拒否だぞ
「どうしても付けてくれないのです?」
「うん、悪いけど返すよ」
「返す必要はありません。奈凪さんはいずれ自分で付けますから」
詩織さんは私のほっぺを撫でながら微笑んだ
その行為を受け入れてしまっている自分が怖い
愛花先輩や綾坂が触れてきそうになった時は嫌がったのに、詩織さんには抵抗感が無い
見えない首輪を付けられている気分だ
「返す必要はありませんが、罰は必要ですね」
「そ、それって」
「そうです。今すぐ付けない罰として、また奈凪さんのモノを貰いますね」
「……最初からそのつもりだったよね?」
「さぁどうでしょう?」
不敵に笑った詩織さんを更にぎゅっと抱きしめて唇を寄せると彼女も寄せてきたので、キスまでの距離が1センチになる。
綾坂の時みたいに甘い雰囲気じゃない
むしろ反対で、殺伐とした雰囲気だ
「私にその手は通用しませんよ」
諦めずに続けるが、ついに耐えきれなくなって顔を背けた。
顔が良過ぎるんだよ。コイツこそ傾国の美女だと思う
「ふふっ奈凪さんの負けですね」
「負けてない。鼻かみたくなっただけ」
「ちーんしてあげますね」
詩織さんがポケットからティッシュを出して、鼻に当ててきたので、鼻を頑張ってかむ
くしょー!『禁忌』犯させるつもりだったのに全然効かなかった。
もう撃つ手がないよ。
「貰う日はいつにしましょう?」
「まだあげるなんて言ってない」
「チョーカーを付けないお詫びを何もしないおつもりですか?」
「他のことならいいよ」
「では、チョーカーを捨てて下さい」
「なっ!?」
「付けないなら必要ありませんよね?」
「……ずるい」
詩織さんが私のお腹を摩り、おへそがある所を指で優しくノックした。
卑猥とも言える行為なのに嫌悪感は全くしない
「今のは確かにずるかったですね。奈凪さんの優しさを利用しました」
「優しさじゃない。あんな高そうな物、誰だって捨てられない」
「そうではなくて、人から貰ったものだから捨てられないのでしょう?私は奈凪さんのそういうところに惚れたのです。だから顔を寄せるような容姿を使った誘惑が効かないのです」
アラームが鳴り、詩織さんは私に小さく手を振ってから出て行った。
席に戻るなり綾坂に話しかけられる。
「ナギっち大丈夫?なんか取られるの?」
「尊厳を取られる」
「ええっ!?大変じゃん!だったら捨てちゃいなよ」
「人から貰ったモノなんだからそれはダメよ。使わなきゃ失礼だわ」
麗奈先輩の言うことは最もなのだが、やっぱり使いたくないな。
アレを付けたら心まで奪われそう
「じゃあ麗奈は私があげたもの使ってるのかな?」
愛花先輩の指摘に麗奈先輩はたじろいだ
愛花先輩のあげたものってえっちなやつだよね?
「い、今そのハナシはしてないじゃない」
「してたよ。人から貰ったモノは使わないとって話してたじゃん」
「……捨ててはいないわよ」
「えーん!私のクリスマスプレゼント使ってないんだー!」
明らかに嘘泣きなのに、麗奈先輩は動揺を隠せない
この人、愛花先輩相手だと弱いな
「つ、使ったわ!!」
麗奈先輩が真っ赤な顔しながら叫ぶように答えると、愛花先輩は嘘泣きを止めてガタッと身を乗り出した。
「どうだった?気持ちよかった?【自主規制】ッた?」
そんなん聞くなよ
「【自主規制】で、【自主規制】だったけど、【自主規制】したわ!!!」
答えんなよ




