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元カノで今カノ

夕飯が終わり、いよいよ三者面談かと思ったが部長はまた綾坂姉の部屋に入って行った。


「ナギっち先にお風呂入る?」

「結衣が先に入りなよ」


自分の家だと気にしないが、人の家で一番風呂を頂くのは気が引ける。


「……じゃあ一緒に入る?」

「なんでだよ!」

「恥ずかしいの?」

「そういう問題じゃない!」


綾坂を押してお風呂に向かわせた。

他の女と一緒に入るのおかしいだろ

そんな子に育てたつもりないよ


クッションの上に座って綾坂の帰りをじっと待つ

カノジョ発覚前だったらベットの上に寝転がってスマホいじってたけど今はそんなこと出来ない


「お待たせー」

「うん」

「うん、じゃなくてさ、カノジョのパジャマ姿の感想は?」


動揺していて気づかなかったが、綾坂は私があげたモコモコパジャマを着ていた。

お風呂上がりだから髪を下ろしたギャップも相まって凄く可愛く見えたが、そんなことは言うべきじゃない


カノジョとしての感想なんて言えない

それは本当のカノジョに言ってもらうべきだ

今日で恋人のフリは終わりにしよう


「その件のことなんだけどさ」

「どの件?」

「恋人のフリの件」

「〜〜っ!」

「……それがどうしたの?」


顔を曇らせた綾坂が続きを促してきたが、それどころじゃなくなった。


今なんか会話の途中で「〜〜っ!」って、変な声混じったよね?

もしかしてお化け?

綾坂家って幽霊出るの?神社でお札も買っとけよ!


聞き耳を立てると、隣の綾坂姉の部屋から聞こえてきていることが分かって安心する


……なんだ綾坂姉と部長の話し声か

さっきまでは聞こえなかったからゲームでもして盛り上がってるのかな?




「【自主規制】っ!!」




あ、これ喘ぎ声だわ……

違う意味で盛り上がってたわ


最悪な形で真実が判明した。

綾坂姉と部長が居る部屋からそういう声が、聞こえてくるってことはあの二人が付き合ってたんだ


部長の恋人の綾坂さんって綾坂姉のことか

綾坂姉妹揃って女の子が好きって色々な意味で大丈夫なのか?

あ、ウチの姉妹もそうだったわ


「チッ!またかよ!」


特大の舌打ちをした綾坂が、壁を蹴ろうとしたので慌てて止める。


「止めないでよ」

「悪いじゃん」

「蹴らないともっと大きくなんの!」

「まだ第1形態なのかよ」


綾坂が蹴ると、ようやく声が収まる。

聞こえてきたのは主に部長の声だった。

王子様系なのに受けなのかよ


「それで?」

「え?」

「恋人のフリについて何か言いかけてたじゃん」

「こ、これからもよろしく!」


精一杯笑顔を作りながら親指を立てた。

勘違いしててごめん


「良かった。ナギっちが真剣な顔し【自主規制】ら別れ話かと思った。こちらこ【自主規制】しくね。恋人のフリして【自主規制】だったりしないよね?もし嫌だっ【自主規制】ら言ってね。ナギっちの負担【自主規制】たくないからさ。あとこの際だから言う【自主規制】ど、困ってることがあっ【自主規制】出来るだけ打ち明けて欲しいな。私に解決出来るかどう【自主規制】からないけど、出来るだけ【自主規制】なりたいんだ。だか【自主規制】遠慮なく私を頼ってね。私はナギっ【自主規制】ノジョなんだからさ」


あーなんかいいこと言ってるぽいけど、喘ぎ声で全然頭に入ってこないわー

もう一回蹴ってくれる?

てか、再開するの早過ぎ


卑猥な声から逃げるように部屋から出てお風呂に向かう

戻ってきたら終わってますように




「ナギっち遅い」

「ごめんあんまりいいお湯だったから長居しちゃった。温泉引いてる?」

「そんなワケないじゃん」


耳をすませてみたが、喘ぎ声は聞こえない

終わったらしくてほっとする

あんな卑猥なBGMを聴きながら寝るなんて考えられない

ラブホの方がまだ健全だ


「てか、ナギっちやる気あんの?」

「そ、そんなつもりない!」

「折角のカノジョとのお泊まりなんだよ?」

「いやいやいや!流石にそこまでは!」

「可愛いパジャマくらい持ってきてよ。それ普通のパジャマじゃん。やる気感じられない」

「ご、ごめん」


そっちかー!

頭がピンクに染まってたからやる気を変な意味に変換してたよ

なんか今日全然会話が噛み合わないな


「しょうがないなぁ……」


綾坂は呆れたように呟いてから引き出しからフリルが付いた可愛いパジャマを出してきた。


「これ貸してあげる」

「綾坂のサイズだと私には小さくない?」

「ゆったりしてるから大丈夫だよ」

「胸とか苦しくならない?」

「〇すぞ」


〇害予告されたので、仕方なく着替えた。

フリルなんて私には似合わないよ

こんなことになるなら、自分好みの可愛いパジャマを買っておくべきだった。

買おうと思ったけど、綾坂と二人ならいっかと思い直してやめたんだよね


「カノジョのパジャマ着るってカップルの王道だよね!」

「そうかなー?」

「そうダヨー」


ベットを背にして並んで座ると綾坂は二人のパジャマ姿を何枚も自撮りした。


「もっと寄ってよ」

「くっつき過ぎじゃない?」

「恋人なんだからくっついて当然だよ」


写真を撮り終えると、綾坂は私の肩に頭を預けてきた。

不思議と穏やかな気持ちになる


「……ナギっちってどんなタイプの子が好きなの?」

「修学旅行か!?」

「今、そういうノリじゃないから真面目に答えて」


ノリを間違えた私は好きなタイプについて考える

うーん、『お姉さま』に惚れたってことは年上が好きなのかな?

いや、年上だからとかじゃなくて私は『お姉さま』の優しさに惚れたんだ


「優しい人かな」

「つまんな」


私を一蹴した綾坂は、立ち上がって本棚からファッション誌を持ってきた。


「この中だったら誰がいい?」


渡された雑誌をパラパラと捲る

みんな大人っぽくて全員お姉さん系に見える

これって女子大生が見るような雑誌だよね


「みんな同じに見えるんだけど?」

「おっさんかよ」

「ええっ!?」

「じゃあボランティア部で好きなタイプは?」

「うーん」


みんなの顔を思い浮かべる

全員美人だけど、誰がタイプかと聞かれると困る

答えに窮した私は冗談を言って誤魔化すことにした。


「傾国の美女の私かな!」

「……寝よっか」


綾坂は冷めた目で私を一瞥してからベットに入った。

「つまんな」で良いからなんかつっこんでくれよ

マジでナルシストみたいになるだろ


なんとなく予想していたが、一緒のベットで寝ることになった。

綾坂が言うには恋人同士が同じベットで寝るのは当然らしい

オフでも徹底してますね

ストイックな俳優みたい


綾坂は寝る時、少し明かりを付けておくタイプで、隣で横になっている彼女の顔がぼんやりと見えている。

顔を見合わせているのが恥ずかしくなった私は寝返りを打って背を向けた。


「顔見えないじゃん」

「寝顔見られたくない」

「傾国の美女なんだから大丈夫だよ」

「それ言わないでよ」

「自分から言ったんじゃん」


無理矢理、向き直される

さっきよりも顔の位置が近い

同じシャンプーの香りがする。


綾坂の顔がさらに近づいてきて、チュっと触れないキスを落とされる。

瞬きする間もなくもう一度されたので、思わず身を捩ると首に手を回され何度も繰り返された。


「〜〜っ!」


えっちな声がした

私と綾坂の声じゃない

隣の部屋からだ


また始まったの!?

今の状況でこれ聴くのすっごくまずいんだけど!


離れようとしたが、綾坂は逃がしてくれない

触れないキスの嵐は止まらない


綾坂は私のことを信用してるからこういう遊びをしてるんだろうけど、喘ぎ声を聴きながらこんなことをされると流石にえっちな気分になる。


もう止めて欲しいけど、声を失ったように声が出てこない

えっちな気持ちになってるから止めて欲しいなんて言ったら恋人のフリどころか友達も止められてしまいそうで怖い


目を閉じて湧き上がる感触に耐えていたら、顔が離れた気配がしたのでそっと目を開ける。


「んっ、、、」


いきなり首筋にキスを落とされたので思わず声が出た。

今までみたいな触れないキスじゃない

それは首筋から伝わる熱い感触が物語っている。


キスは首筋から首に移り、だんだん上がっていく

顎にキスされほっぺにもキスが落とされようとした瞬間、勝手に手が出て綾坂を突き放した。


数秒間、無言で見つめ合う

月明かりに照らされた綾坂の顔は酷く悲痛な表情をしていて、居た堪れなくなった私は彼女を引き戻す


ちゅ


初めて私から触れないキスをした。

恥ずかし過ぎて視線を逸らしていると、綾坂は長い触れないキスを返してくれた。


夜が明けるまでひたすら私達だけのキスを繰り返す




カーテンから漏れた冬の日差しによって目を覚ました。

隣の綾坂はすぅすぅ寝息を立てている

起こさないように彼女の髪を優しく撫でてからベットから降りて汗ばんだパジャマから私服に着替えた。


言っとくけどなんかあったとかじゃないからね!

朝チュンじゃないから!


トイレに行きたくなって廊下に出ると、隣の部屋のドアが開いて部長が出てきた。


「おはよう。いい朝だね」

「お、おはようございます」


綾坂が壁蹴ったから喘ぎ声がこっちに聴こえてたの知ってるくせに、なんでそんなに爽やかな笑顔を向けれるんだよ


「あ、奈凪ちゃんおはよ!」

「……おはようございます」


綾坂姉も出てきたから挨拶した。

お前もなんでそんなに平然としてるんだよ

最近の高校生ってこうなの?


綾坂姉の声もちょっと聴こえてたからね!

私はまだ良いとして、妹に聴かれるの気にならなのかな?


戻ってくると綾坂は起きていた。

まだ眠いのか目を擦っている


「おはよ」

「……して」

「なんて?」

「おはようのちゅーして」


ベットに腰掛けていた綾坂に触れないキスをした。

明るいから昨夜より恥ずかしく感じる


「新婚みたいだね」

「……あっそ」


照れ隠しに連れない返事をして、畳んで置いたパジャマを返そうとしたが、綾坂は受け取ってくれない


「それ洗って学校で返して」

「えー、めんどくさい」

「いいから、教室で返してね」


綾坂から借りたパジャマを持って帰路に立つ


昨夜の私は魔法をかけられたみたいに綾坂を本当の恋人だと錯覚してしまった。

いや、おはようのキスまでしたから魔法はまだ続いている


「はぁ……」


白い息を吐く

綾坂は幼い時から付き合いがあるから、私のことを今更好きになることはないと思うけど、私はその限りじゃないんだよなぁ


綾坂に恋愛対象だとはっきり伝えるべきだろうか?

引かれるかもしれないけど、どっかで言わないとな。

でないと、どっかで『禁忌』を犯してしまいそうだ


「だだいま」


帰ってくると、姉が私に駆け寄ってきてまたクンクン嗅いできた。


「……他の女の匂いがする」

「おかえりでしょ」


そりゃ綾坂の家に泊まったんだから他の女の匂いはするだろ

泊まるの言ってたよね?

お姉ちゃんとは恋人のフリしてないからね!

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