屋上にて
放課後、綾坂の誘いを「後で行く」と断って屋上に向かう
憂鬱な気分で階段を上がり、屋上に出る扉の前まで来たが怖くて開けられない
トゲが付いた鉄球を振り回してる剛の者がいっぱい待ち構えてたらどうしよ?
そうだ、扉をちょっとだけ開けて確認しよう
そんで剛の者どもが居たら階段を駆け下りて生徒会室に飛び込もう
姉を頼るのは嫌だけど、この際仕方ない
「ひっ!」
扉を少し開けると悲鳴が上がった。
私からじゃない、待ってた相手からだ
距離は離れているが、視力には自信があるから相手が誰なのかすぐに分かった。
あれはブレザーちゃんだ
私がポニテとテニス対決をした時にブレザーを預けたテニス部員。
名前を知らないからブレザーちゃんと呼んだ
……分かったぞ
ブレザーちゃんは私をテニス部に勧誘するつもりなんだ
恐らく部長に頼まれたのだろう
別れ際に「いつでも待ってるよ」と言われたのを覚えている。
テニス部に入るつもりはないけど、このまま帰るのは誠実ではないので、何故か慌てているブレザーちゃんの近くに寄る。
ボコられる心配がなくなったから大分気持ちが楽になった。
「悪いんだけど……」
「そ、そうですよね!」
同じ青リボンの一年生だから、タメ語で話しかけたんだけど敬語で返される。
気が弱そうだな
断りきれなくて仕方なく勧誘に来たっぽい
「うん、テニスはもういいかな」
「えっ?」
「テニス部の勧誘じゃないの?」
「……そ、そうです」
やっぱり当たってた。
もう断ったから用事は済んだよね?
「待って下さい!」
屋上から出ようとして扉に手をかけると大きな声で呼び止められたので驚いて振り向く
まさかまた対決展開?
入部を賭けて屋上でテニスするのか?
……ここだともっと風が強いからやだなぁ
「す、好きですぅ!!」
ブレザーちゃんは両手で顔を隠しながら叫んだ
人違いじゃないのか、辺りを見回したが誰もいない
こ、告白?
この子にブレザー預けただけだよ?
会話するのだってこれが初めてだ
とゆうか私が告白されるなんてなんかの間違いじゃないの?これ夢?
「ウソついてすみません!告白したくて呼び出しましたぁ!すみません!すみません!」
願わくばラブホに入る前に戻ってくれと思いながら、頬を抓ったが普通に痛かった。
げ、現実ぅー!?
えええー私が告白されてるーー!?
「好きです!好きなんですぅ!好きですみません!」
聞こえてないと思ったのか、ブレザーちゃんは更に告白を重ねてきた。
逃げる選択肢はない、彼女に返事をしないといけない
「ご、ごめんなさい!」
「そ、そうですよね……」
「本当にごめん」
「い、いえ、私なんかが告白してすみません」
顔を隠しながら項垂れてしまったブレザーちゃん
その様子に居た堪れなくなって近寄る。
い、いや
抱いちゃダメだろ!
告白エアプ過ぎて対応が分からない!
結局、ブレザーちゃんが泣き止むまで側にいた。
なんて声をかけたら良いか分からなかった。
ボランティア部の部室に行くと、綾坂に「ナギっち遅い」と言われたので軽く謝ってから麗奈先輩と愛花先輩の様子を観察する。
二人は何事もなかったかのように喋ってたから安心した。
家に帰って、夕ご飯を食べて自室でゴロってるとスマホが鳴ったので確認すると珍しく麗奈先輩からLINEが来ていた。
告白されたのがバレた?
いや、告られるのは『禁忌』じゃないよな
―愛花のこと噛んだでしょ?―
既読を付けた瞬間に麗奈先輩から電話がかかってくる。
「もしもし」
「噛んだかしら?」
「……噛みましたよ」
「そうだろうと思ったわよ。愛花の雰囲気が明らかに軽くなってたから」
「あの状況だと私が噛むしかなかったじゃないですか」
「いつ噛んだのよ?」
「日曜日ですよ」
「学校だと私にバレるから外にしたワケね」
「それはどうか分かりませんけど」
「……これから貴女が噛むつもり?」
「私が説得して麗奈先輩に噛んでもらうように頼みますよ」
「説得は私がするわ。貴女は自分のことに集中なさい」
「どうやって説得するんですか?」
「それは今から考える。とにかく貴女は勝手なことをするな。ずっと面倒見る気がないなら無責任よ」
じゃあ私はどうすれば良かったんだよ!
あのまま見て見ぬふりをするなんて出来なかった。
日曜日に噛まなかったら愛花先輩自身が今日『禁忌』を犯していたかもしれない
今から考えるとか言って問題を先延ばしにしている麗奈先輩の方が無責任だ
元はと言えば別荘で先輩がやらかしたからこうなったんだろ!
それを言ってやろうと思ったが、ドアが開いて邪魔が入ってきた。
「奈凪ちゃん。今日も一緒にお風呂入りたいな…」
「貴女、まだ姉妹で入浴してるの?」
「うえっ!?」
最悪な会話を聞かれてしまった。
姉に向けてしっしっと出て行くように合図したが出て行ってくれない
「……誰と電話してるのかな?もしかして愛花先輩って人?」
何か勘違いしてらっしゃるー!?
「麗奈先輩だよ。部活について話してるだけだからお姉ちゃんはあっち行って」
「丁度良かったわ。夜奈と代わってくれるかしら?」
渋々、姉にスマホを渡して、会話の内容に耳を澄ませていると、麗奈先輩が姉をサッカー観戦に誘ってるのが分かった。
麗奈先輩から誘うのはどういうことなんだ?
姉のことが好きなの?愛花先輩のことはどう思ってんの?
もう何もかもわかんなーい!
「奈妓ちゃん、お風呂で騒ぐとまたのぼせちゃうよ?」
姉のおっぱいを見て気づく
いつの間にか一緒にお風呂に入ってた。
……最悪




