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前兆

次の日、朝一番に登校して自分の机に突っ伏す。

眠いけど、早起きしたのはワケがある。


「奈凪さん?今日は早いんですね」


顔を上げると委員長が居た。

真面目な彼女のことだから毎朝早く来て教室の花瓶の水を替えているのかな?


「委員長おはよ」

「えっ?」


委員長を抱きしめる。

おはようのハグだ

欧米かっ!?ってつっこみがどこからか飛んできそうだけど、ギャグじゃない

カウントを増やす作戦なのだよ


やや不自然だけど、いきなり「抱かせて下さい」と頼むよりは全然マシ

朝早く来たのは、大勢の前でやるのは恥ずかしいからだ


「きゅ、急にどうしたのですか?」

「委員長に会いたくなった」

「なっ!?」


抱きしめた理由を聞かれるとは思ってなかったので、咄嗟に誤魔化す。

委員長から離れると、何故か彼女は真っ赤になっていて眼鏡を指で掛け直した。


これでカウント2

案外いけるかも?

ボランティア部での経験が活きたのか予想よりも恥ずかしくならなかった。




「ナイスー!」

「あ、ありがと」


自信を得た私は、体育のバスケの時間にクラスメイトがシュートを決める度に抱きしめて祝福した。


みんな驚いた顔はするけど、意外と嫌そうな顔する人はいないな

思ってた以上に世界は優しい人で溢れてるのかもしれない


隣のコートを見ると、二年生もバスケをしていて、麗奈先輩が豪快なダンクを決めていた。

ちょっと引いた




あっという間に放課後

今日はかなりカウントを稼いだな

小テストの結果が良かった子に抱きついた時は流石に変な空気になったけど、私のことなんて時が経てばどうせ忘れられるから構わないさ


「進捗はどうですカナ?」


教科書を片付けていると事情を知っている綾坂が私の顔を覗きこんできた。


「順調だよ」

「ふむふむ」

「部活行こっか?」

「……忘れてるよ?」


ボランティア部で使う道具なんてないから忘れ物なんてない

訝しげに綾坂を見ると彼女は両手を広げたから意味が分かった。


「いや、麗奈先輩に部員は対象外って言われたじゃん。綾坂抱く意味ない」

「バカっち!」


判決が決まった日にとりあえず愛花先輩に抱きついたら麗奈先輩に部員は対象外と言われた。

このやりとりは綾坂も見ていたと思うのだけど忘れていたのだろうか?


「ふんっ!クラスメイト抱く意味だってないじゃん」

「そんなことない」

「どーせなら『お姉さま』候補を抱きしめた方が一石二鳥だと思うけどね。ま、どーでもいーけど」

「うっ……」


綾坂はツインテールを逆立てて行ってしまった。

確かにその通りかも


……はっ!まさか麗奈先輩は罰を与えたんじゃなくて『お姉さま』探しのアシストをしてくれた?


なんで気づかなかったんだ!

一年のクラスメイトを抱きしめても意味がない

『お姉さま』候補の二年生を抱きしめないと駄目だ

部員は対象外というのはヒントだったのかも!?


麗奈先輩、ありがとうございます

詰められてる時に嫌な上司になるタイプだと思った私が浅はかでした。


綾坂もありがとう

キミのお陰で気づけたよ

ハグくらいすれば良かったな

クラスメイトと違って綾坂相手だと気恥ずかしくて出来なかった。


攻めてやる!

最近の私は現状に甘んじて『お姉さま』探しの情熱を失っていた。

最終的に『お姉さま』以外を好きになるかもしれないけど、『お姉さま』を探し当てないと絶対に悔いが残る。


「やるぞー!」


瞳に炎を灯しながら目一杯叫んだので、まだ教室に残っていた委員長がビクッとしてこっちを見た。


「また明日ね」

「……はい」


委員長は朝に抱きしめたので、もうカウントはされないけど、ハイになっていた私はもう一度抱きしめる。

今度は彼女も背中に手を回してくれた。


「明日も……」

「ん?」

「いえ、なんでもありません」


委員長に手を振ってから教室を飛び出した私は部室とは逆の方向に走り出し、廊下で何人かのクラスメイトを抜く


走るのに夢中で背中に刺さるクラスメイトの惚けた視線に私は気づかない




これがいけなかった……

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