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第一回奈妓ちゃん裁判

「意外と律儀ね」


翌日に部室に行くと、麗奈先輩に変な言葉をかけられた。

部活サボったのに律儀とは?


「どういう意味ですか?」

「退部の挨拶に来たのではなくて?」

「辞めませんけど」

「あら、そうなの」


なんでそんな話になってるのか分からない

麗奈先輩の様子から冗談を言っているように見えないから本当に意味が分からない


「そーでーす」


隣に居た綾坂がぶっきらぼうに答えて自分のいつもの席に座った。


「ちょっとフクザツだけど、私はまだ二人と一緒に居れて嬉しいな」


愛花先輩が紅茶を淹れてくれた。

私と綾坂が辞める相談をしてたと思われてたのかな?


「もし辞めるなら代わりの人を連れてきてくれないかしら?」

「だから辞めませんって」

「もしものハナシよ。春で星七先輩が卒業すると、私と愛花だけになって運営出来なくなるから、二人揃っていきなり辞めるのは控えて欲しいわ」

「ブラックバイトみたいなこと言いだした!?」


綾坂がつっこんだが、私は星七先輩が春で卒業するという言葉が引っかかった

そうだ、三年の星七先輩と一緒に居られるのはあと僅かだ


卒業式の日に抱き合って確かめるのは遅い

星七先輩が『お姉さま』で、万が一にも好きになってしまったら彼女のことを想いながらも会えない日々を過ごすことになる。


そんなのは嫌だ

出来るだけ早めに決着を付けたい


そんなことを考えていると、タイミングよく星七先輩が入ってきて、彼女は椅子に座るなり鞄からプリントを取り出した。


「愛花、これやって」

「星七先輩、後輩に課題をやらせないで下さい」


麗奈先輩がプリントを星七先輩に押し返す。

うーん、万が一にも好きにならないかも……


「私は別にいいよ」

「ほら、愛花もそう言ってんだし」

「駄目です。貴女の為になりません」

「麗奈はいつから私のママになった?」

「星七先輩、お母さんのことママって呼んでんノー?」

「パシリ1号うるさい」


星七先輩をじっと見ていたら、目が合った。

彼女は押し返されたプリントを私に渡そうとしてやっぱり止めた。

おい、どういう意味だ?


気にはなったが、星七先輩が『お姉さま』かどうかの方が気になる。

早めにやるんじゃなくて今やろう

私は財布から100円玉を取り出して缶に入れた。


皆の注目が一気にプリントから缶に移る。

最初に口火を切ったのは事情を知っている綾坂だった。


「まさか今やんの?」

「うん」

「どういうこと?」


当事者の星七先輩は意味が分かってなさそうなので、バシッと説明する。


「星七先輩が『お姉さま』かもしれません!」

「……また勘違いじゃないのかしら?」

「そうかもしれませんが、確かめておきたいんです」

「『お姉さま』だったら良いね」


そう言いながらも愛花先輩はあまり期待してないように見える。

麗奈先輩も同じ感じだ

正直、私も期待してないが、確かめずにはいられない


「行きましょう」

「どこに?」

「ソファですよ」

「なんで?」

「星七先輩が『お姉さま』かもしれないからです」

「『お姉さま』ってなに?なんでみんな知ってる感じ?ドッキリ企画?」


あ、そっからか

星七先輩は明らかに困惑してる。

先輩に『お姉さま』のこと言ってなかったみたい




『お姉さま』について説明すると、星七先輩は缶の中の100円を取り出して私の前に置いた。


「パシリ2号には抱かせない」

「な、なんでですか?」

「私のこと弄んだの忘れた?」

「ナギっち星七先輩に手つけたの!?」

「身に覚えない!」


本当に覚えがない

そもそも星七先輩と二人きりで喋ったのなんて最初に出逢った時くらいだ。

スカート捲ったり、くすぐったことを言っているのだろうか?


「私をその気にさせといてパシリ2号が突然振ったの覚えてないんだ?」

「ナギっち誘惑したの!?」

「ちょっと黙っててよ!」


めちゃくちゃ喰いついてくる綾坂を制して記憶を遡る。

さっき言ったように星七先輩と二人きりで話した時なんて出逢った時くらいだから突然振るとか無いんだけどな


……ん?

出逢った時?突然振った?


「あっ」

「思い出した?」

「あ、あの時はごめんなさい」

「今更遅いんだけど」

「え?星七先輩と奈凪ちゃんはボランティア部に入る前から面識があったのかな?」

「その時のことなら良いけど、部活に入った後の話なら詳しく聞く必要があるわね」


麗奈先輩に促されて、私と星七先輩の間に起こったことを説明する。


「星七先輩と出逢った時、赤リボンだから『お姉さま』かもしれないと思って、今みたいに100円入れて抱きしめて確かめようとしたんですけど、直前でやっぱり違うと思って止めたんです」

「端折るな。素の私を抱きたいとか口説いておきながら止めただろ」

「口説いたつもりはないんですけど」

「……奈凪さんが悪いわね」


麗奈先輩が裁定を下した。

確かに私が悪いんだけど、あの後、星七先輩は普通に接してくれたし、こんなに怒ってるとは思わなかった。


「あの……本当にごめんなさい」

「貴女何が悪かったか分かってる?」


すっかり星七先輩派になった麗奈先輩に詰められる。


「自分から抱かせて欲しいと言ったくせに、直前で止めたことです」

「星七先輩は貴女に口説かれたことを気にしてるけど、それは反省してないのかしら?」

「私なんかが、星七先輩を口説いてしまってごめんなさい」


麗奈先輩は呆れたように息を吐いてから紅茶を一口飲んだ


「貴女、今まで告白されたことは何回あるかしら?」

「え、そんなの無いですよ」

「今までと言うのは中学の時とかも含めてよ?」

「含めてますよ。あるわけないじゃないですか」

「奈凪ちゃんは中学校も女子校だったのかな?」

「共学です」


私以外の視線が幼馴染の綾坂に集まると、彼女は何故か慌てたように喋りだした。


「ほ、ホントですよーほらナギっちってパッと見はクールに見えるじゃないですか?」

「何かおかしいわね……」

「女の子にモテる顔なのかなぁ?」

「そういう顔ってもっとイケメン寄りだと思うけど」


先輩たちが私の顔について議論しだした。

どうなってんの?

星七先輩とのことで、なんで私の容姿の話になるんだ?

今日は意味わからん話が多すぎる。


「貴女の判決が決まったわ」


いつの間にか判決が決まっていた。

麗奈裁判長から判決が告げられる。


「判決、有罪、被告は罰として100人に抱かれること」

「んなっ!?」


驚いて声が出る。

星七先輩にお詫びとして何かするなら分かるが100人に抱かれることは償いにならないと思うし、ボランティア部を訪ねる『お姉さま』は一日に一人か二人しか来ないから達成するのは到底無理だ


「異議あり!」

「異議は認めない」

「異議あり!」

「黙りなさい」


唯一の味方の綾坂弁護士の異議は一蹴された。

控訴とかはない裁判らしい

独裁国家かな?


「罪を償えば星七先輩を抱くことを許可するわ」

「勝手に決めるな」

「星七先輩だって、奈凪さんと仲直りしたいですよね?」

「まぁ、それはそうだけど……」

「異議あり!」

「うっさい!!」


綾坂弁護士が頑張ってくれたけど、結局、100人に抱かれることになってしまった。

どうすっべ?

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