文化祭デート
文化祭当日
部室は風船やガーランドで飾り付けされていて誕生日みたいな雰囲気で、レジャーシートを敷いた机の上にはアクセサリーとブロマイドが並べてある。
何気なしにブロマイドを眺めてるとあることに気付いた。
私以外みんなサインしてる。
星七先輩はまだしも一般の女子高生って自分のサイン持ってるものなのかな?
今度私もサイン作ろうかな?
いや、する機会ないよな
「愛花、管理表の準備は良いかしら?」
「バッチリだよ」
愛花先輩は物品管理係で売れた商品を紙に記録するらしい
ん?それって……
人気投票にならない?
姉は部室に入れないからブロマイドを買うことは出来ない。詩織さんは買ってくれると言ってくれたが、破廉恥事件で好感度を下げてしまったから私のブロマイドは一枚も売れない可能性がある。
アクセサリーが売れないのはまだしもブロマイドが売れないのはへこむ
私のブロマイドだけ残ってるのを想像してしまってブルーになった。
そもそも可愛い子揃いのみんなと張り合うのがおかしいけど、それでも悲しくなるのだよめそめそ
「何をぼーっとしてるのかしら?早く姉の所に行きなさい。それが貴女の仕事なんだから」
「ふぁい」
麗奈先輩にどやされて部室から出る。
帰ってきて私のブロマイドだけ残ってたら「売れへんのかーい!」ってわざと明るく言って回収しよ
落ち込んでるのを悟られたくない
姉と待ち合わせしたのは生徒会室だ
部室に迎えに行くと言われたが勿論断った。
「止まれ」
「一般生徒は立ち入り禁止だ」
生徒会室の前まで行くと、生徒会員に止められた。
扉の左右に立った彼女たちは、手に持ったモップを互いに交差させている。
なんで生徒会室に門番がいるんだよ
「あの……生徒会長の妹です」
「会長の妹?」
「確かに似ている気がするな」
生徒会員は二人で何か話し合った後に一人が生徒会室に入ったと思ったらすぐに出てきた。
「大変失礼致しました。妹様とは知らずとんだご無礼を……」
「お、お気になさらず」
妹様って言われたの初めてだよ
門番が扉を開けると生徒会室の様子が目に飛び込んできた。
みんな頭下げてるーーー!?
姉以外、全員私に向かってお辞儀している光景に面食らう
こんなの任侠映画じゃん
「お、お姉ちゃん、こんなのやめてよ」
「お姉ちゃんの指示じゃないよ。皆が勝手にやってるだけ」
前髪の髪留めを見るまでもなく嘘だと分かるけど、それを指摘する場合じゃない
一刻も早くここを出たい
「早く行こうよ」
「折角だから生徒会室を見ていかない?生徒会って堅苦しいイメージがあるけど実際はアットホームで活動しやすい所だよ」
「い、いいから行こ」
そこまで堅苦しいイメージ無かったけど、むしろ今のでガッチガチなイメージになったよ
アットホームとか言ってるし、ブラック企業じゃん
私が手招きすると姉は低い声で「抜かりないように」と傍にいた子に声をかけてから高級そうな椅子から立ち上がった。
「やめてよ」
姉が生徒会室の外で待っていた私の手を握ろうとしてきたので振りほどく
「……恋人ごっこしてくれるって約束した」
正気か?
確かに約束したけどここでするなんて聞いてない
「ここ学校だよ?」
「他人の目なんて気にしないわ」
「私は気にするんだけど」
「お願い」
溜息を付いてから手を出すと、姉は指を絡めて握ってきた。
「ちょっと!?」
「恋人ごっこだもん」
これ恋人繋ぎってやつじゃん
姉相手にこれは恥ずかしすぎて死ねる。
思わず振り向いて門番を見ると、二人とも目を逸らした。
「まずはボランティア部に行こっか?」
「あ、いや……何か食べたい気分だなぁ。プライドポテト出してるクラスがあるからそっち行こうよ」
「でも奈凪ちゃんが作ったアクセサリー無くなっちゃうかもしれないし」
その返答は想定していたからブレザーのポッケからブレスレットを取り出す。
「そう思って用意しといた」
「えっ?」
「付けてあげる。私とお揃い」
一旦手を離してもらって姉の手首にブレスレットを付けると彼女は子供みたいに喜んだ
「わぁい!奈凪ちゃんと一緒!またお揃いが増えたね」
「……うん」
またお揃いとは髪留めのことだ
両親が私達に贈ったもので、当時はそこまで気にしていなかったが、歳を重ねるごとに重さが増していき、今では姉妹の絆を示すものになっている。
あんなことがあっても私はピンを外さなかった。
今思えば最初から許していたのかもしれない




