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100万人のプライド

10月、部室

麗奈先輩が机の上にダンボールを置いたので、勝手に中を覗き込むと色とりどりのビーズやタッセルが入っていた。


「これ何に使うんですか?」

「文化祭のチャリティバザー用よ」

「ぶーメイド喫茶やりたかったのに」


ハンドメイドのアクセサリーを作って売るらしいが、綾坂は唇を尖らせて不満を示した。

私はメイド服似合わないからやだな


「毎年これだから今年から変えることなんて出来ないわ

「メイド喫茶の収益を寄付すれば同じじゃないですか、せっかく紅茶セットがあるんだしやりましょうヨー」

「そんなにメイド服が着たいなら綾坂さんはメイド服でバザーの宣伝をしてもらおうかしら」

「独りでメイド服はイタ過ぎるんですケド!」


反対派が抑え込まれたところで作業に取り掛かる。

今日は星七先輩もいるから部員総出だ


愛花先輩に教えてもらいながら一個作ったが、なんか先輩と違って歪に見える。

私のだけ売れ残ったらどうしよ


途中で『お嬢様』が来て星七先輩が指名された。

先輩の作りかけのアクセを見ると綺麗に出来てるし、センスも良い

私が買っても良いのかな?


「星七おねーさま!私もおねーさまをオモチャにしたいです!!」

「お、おねーさんはキミと普通に愛し合いたいな」

「対等な関係は望んでいません!早く這いつくばって足を舐めて下さい!!」

「そ、それはちょっと」

「口答えするとお尻ペンペンですよ!」

「ひーん!」


タブレットのスピーカーから不穏な会話が流れてきた。

なんか変なファンが付いてるな


麗奈先輩を見たが、黙々と作業を続けているから『禁忌』ではないらしい

私も作業に戻ることにした。


「ねーナギっち、あの噂ってホント?」

「なんの噂?」

「ナギっちのお姉さんと麗奈先輩が付き合ってるって噂」


紅茶を飲んで一息ついていた麗奈先輩がブーっと吹き出して愛花先輩の顔面に直撃した。

今までの最長記録だ


「……なんでそうなってんのよ」

「孤高の生徒会長が麗奈先輩には心開いていつも一緒にいるって聞きましたヨー?」

「全くの誤解よ。付き纏われただけ」


どうやら姉は嫌がる麗奈先輩に付き纏って無理やり家に来させたようだ


「ほうほう、懐かれたのは事実なんですネー」

「奈凪さん説明してやってよ」


麗奈先輩が頭を抑えながら助けを求めてきたので、すかさずスマホを取り出して先日、撮った画像を綾坂に見せた。


「抱き合ってんジャン!?」

「奈凪ちゃんの家?私服ってことはお泊まりしたのかな?」

「してないから!!」

「ふーん、私には関係ないからどうでもいいけどね」


おやおやおや?

愛花先輩、もう恋愛しないって言ってたくせに妬いてますなぁ


「ナギっちその画像、私にもちょーだい」

「良いよ」

「良かないわよ」


わーわー騒いでいると、星七先輩がお尻を摩りながら戻ってきた。

ホントにお尻ペンペンされたんだ


「……パシリ1号と2号のせいで、私のブランディングが崩れたんだけど」

「もうその方向で行きましょうよ」

「それだと今までの格好良いおねーさんが好きなファンは納得しない」

「ファンは格好良いおねーさんより情けなーいおねーさんを求めてるみたいですけどネー」


綾坂は星七先輩のSNSの画面を見せてきた。

先輩の投稿には、またオモチャにされてるのが見たいというコメントで溢れていた。


「そんな一過性のファンはいらない。私は私のやり方を貫くから」


そう宣言してから星七先輩は配信を始めた

……ちょっとカッコイイな

先輩に初めてそういう感情を抱く

今抱いて『お姉さま』だったら惚れるかも


「百日ダイコンさんスパチャありがとー、おねーさんは踏まれても嬉しくないかな」

「安全暴走族さんスパチャありがとー、おねーさんはMなんかじゃないよ」

「給料即パチンコさんスパチャありがとー、後輩ちゃんどっちに踏まれたいって聞かれてもそもそも踏まれたくないんだから答えられないよ」


めちゃくちゃMキャラ扱いされとる!


星七先輩はVtuberじゃなかったら見せられないような顔をしながらリスナーの質問に答える。


頑張って嵐に耐えて欲しい

星七先輩の言う通りこれは一過性のものでやがては落ち着いてくると思う

こうなった元凶の私が何言ってんだってハナシだけどね!


「……パシリ1号と2号、そこに立って」


配信を終えた星七先輩に命令される。

え、ビンタされる?


嫌な予感をビンビンに感じながら綾坂と並んで立つと、星七先輩は床にスタンドでスマホを設置してから私達の前に立った。

撮影みたいだけど何させるつもりだろう?


「ちょっ!?」

「な、なにしてんの!?」


星七先輩はいきなり土下座した。

訳もわからず私と綾坂は立ち尽くす。


「踏んで」


お前の決意はなんだったんだよ!?

ちょっとときめいた気持ちを返せよ!


「さ、流石に無理ですよ。顔あげて下さい」

「いいから黙ってやれ」

「総フォロワー100万人のプライドはどこいったんですか?」

「バズる為ならなんだってやってやる」

「さっき私のやり方を貫くって言ってましたよね!?」

「臨機応変に立ち回らないと生き残れない。さっさと私の頭を踏め」


土下座しながら命令してくるんだけど!

どうしたものかと綾坂を見ると、真っ赤に染まったほっぺを両手で抑えてモジモジしていた。


「……ナギっち」

「どうしたの?」

「な、なんかゾクゾクしてきた。なんなのこれ?」

「綾坂、ダメだ!戻れ!!」


綾坂の床から浮いた脚を抑える。

このままだと祟り神になる

そっちの道には行かせない


「「後輩に踏まれて恥ずかしくないの?私だったら土下座しながら踏まれるとか絶対嫌だけどマゾおねーさんは惨めになればなるほど興奮する変態さんなんだね。望み通り私の脚抜きでは生きられなくなるほど踏み潰してあげる。後輩の足拭きマットにされて嬉しい?ざこおねーさん♡」ってセリフで綾坂ちゃんがぐりぐり踏んでみるのはどうかな?」

「愛花先輩、綾坂に変なこと教えないで下さい!」


初めて愛花先輩を叱り飛ばした。

なんでそんなセリフがすぐ出てくるんだよ。

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