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女だらけの王様ゲーム

髪を乾かしてから脱衣所を出る。

夕食まで自室で休憩することになった。


自宅よりも柔らかいベットに寝転がりながら姉からのメッセージに返信する。

心配しすぎだ

私のこと戦場カメラマンかなんかだと思っているのだろうか?


いや、姉の心配は怪我とか病気とかそういうことだけじゃない

彼女が杞憂した通りのことが起ころうとしている。


今夜、詩織さんの部屋に行っては駄目だ

『禁忌』だからじゃない、他に好きな女がいるのに詩織さんの部屋に行くのは道理が合わない


そう固く決心していたところで、綾坂に呼ばれたので自室を出た。

夕食の時間になったらしい


白いテーブルクロスを敷いた長いテーブルの上に前菜が置かれる。

こんなん想定してない

金持ちが庶民を招待する時は、自分がどのレベルの財力なのか伝えるべきだ

少なくともこれは花輪くんレベルを超えている。


てか、パジャマで来ちゃったんですけど!

みんな私服だからかなり場違いに見える

中学の修学旅行の集合場所にジャージで行ったら、みんな制服だったこと思い出したよ。


ぎこちなくナプキンを巻いてからフォークとナイフを手に取った

テーブルマナーを予習してくれば良かったな

麗奈先輩あたりがフィンガーボールの水をがぶ飲みして空気を壊してくれんかな?


作法が分からないので、前に座ってる詩織さんを盗み見ながら真似をすると、時折彼女と目が合って、妖しく微笑まれた。

い、今はえっちなこと考えてないんだからね!ぷんぷん!!




緊張の食事が終わった後、詩織さんが「映写室があるのでそこで映画を観ませんか?」と皆を誘った。

綾坂は喜んだが、星七先輩が口を挟む


「折角、女子が集まってるのにそれは勿体ない」

「勿体ない?」

「うん、勿体なくない遊びをしよ。パジャマに着替えたらおねーさんの部屋に集合ね」


星七先輩が自分をおねーさん呼びしてる時点で悪い予感がする。


私は既にパジャマを装備しているので星七先輩の背後について行って彼女の部屋に入ろうとしたが「着替えられない!」と言われてしまって閉め出された。


暫く扉の前で待ってると、中から「入って良い」と聞こえてきたので部屋に入った。

みんなも入ってきて思い思いに座る


麗奈先輩だけ体操着だ

もうこの人にはなにも期待しない


「『女子高生だけで王様ゲームしてみた!?』」


星七先輩がいきなりカメラに向かってタイトルコールをする。

悪い予感は当たった。


「そんなの聞いてないんですケド!?」

「この部屋に入った時点で拒否権ないから」


どうやら拒否権はないらしい

星七先輩は綾坂を軽くいなした。


「『禁忌』は超えない範囲にして下さいよ。あと、映像は投稿する前にチェックさせて下さい」

「一度やって見たかったんだよね。楽しみだなぁ」


麗奈先輩と愛花先輩は結構乗り気だ


「王様ゲーム?」


詩織さんは王様ゲーム自体を知らないらしい

流石ガチお嬢様


星七先輩が王様ゲームを詩織さんに説明する


「そんな!奈凪さんが私の目の前でケダモノに弄られるなんて!!」

「興奮すんナ!」

「『禁忌』は超えないって言ったでしょ」

「ケダモノって私達のことかなぁ?」


詩織さんがルールをなんとなく理解したところで、みんなで円になって座ると、星七先輩が割り箸を握った拳を前に出してきた。

これ家で用意して来たんかな?


「私が王様だぞ!えっへん」


最初に王様になったのは愛花先輩だった。

可愛く腰に手を当てている。


「愛花先輩で良かったー」


綾坂の顔が緩む




「じゃあ一番が三番に【自主規制】して」




星七先輩が無言で割り箸を回収する

彼女にも良識はあったようだ


「冗談なのになぁ」


冗談に聞こえなかったわ!

愛花先輩はつっこみづらいからあんまボケないで欲しい


「最初の王様はおねーさんだー!」


星七先輩が割り箸を挙げる

さっきのシーンはカットするらしい


「二番が三番の膝の間に座る!」


可愛い命令だ

実は常識人ポジションなのかもしれない


「お腹触らないでよ」

「気にしてんの?」

「してないけど嫌」


二番が綾坂で三番が私だった

お腹に手を回したら怒られた。

なんか綾坂が私の妹になったみたいでくすぐったい


「はい、次行っくよー」

「え、もしかしてこのまま?」

「うん、そうだよ」


綾坂が私を椅子にしたまま続行されるらしい

冗談で後ろ頭を嗅いだらツインテールでビンタされた。


「あ、私が王様だ」


綾坂が王様になったので、彼女の両手を掴んでバンザイさせると、ツインテールで往復ビンタされた。


「うーん、じゃあ一番が五番を抱きしめる」


綾坂も可愛い命令をした。

昼休みの教室でブラを見せてきたとは思えない


一番が麗奈先輩で、五番が星七先輩

抱きしめられた星七先輩は「また後輩ちゃんに好かれちゃいましたー」と戯けた。


先輩たちも抱き合ったままゲームは続行される

可愛い命令だと思ってたけど二組が密着してるのやばくない?

どっかで歯止め効かなくなるぞ


「またおねーさんが王様だー!」


麗奈先輩に抱きつかれながら星七先輩が宣言した

私も王様やってみたい

眉毛片方剃るって命令するんだ


「二番が四番のおでこにチュー」


星七先輩!?

いきなり飛ばしてきたな

牙を研いでたってこと?


「奈妓さんの前で辱めを受けるとは…」

「どっちかと言うと辱めを受けるのは私なんですケド!?」


二番の詩織さんが四番の綾坂に近づく

麗奈先輩が何も言わないから『禁忌』ではないらしい。

綾坂が逃げようとしたので、お腹に手を回してガッチリホールドする。

全裸で抱き合うより良いと思うけどな


「前髪上げんな!」

「前髪上げないと出来ません」

「ムード出るだろ!」

「意識しなければ良いのです」


そのまま詩織さんは綾坂のおでこにキスをした。


「わーん、私のファーストおでこがー!」

「ファーストおでことかあるんだ……」




その後も星七先輩が王様になると必ずどこかにキスさせる命令になった。

私も一度、王様になったが眉毛剃りは却下された。


「またまたおねーさんが王様でーす!」


おかしい、星七先輩が王様を引き当て過ぎてる

だいたい二回に一回は引いてる印象だ


星七先輩は自分のクジを引いてからみんなに出している。

先輩が割り箸を用意したから何か細工をするのは容易だ

やっぱ常識人キャラじゃなかったよ。


「あのさ、提案なんだけど」


星七先輩が少し低い声で切り出した。

おねーさんモードじゃない


「ここから先は撮影止めてやらない?」


瞬時に全員が意味を理解する。

撮影は苦手だと感じていたが、それはいつしか防波堤になっていた。


「……そろそろお開きにしましょう」

「麗奈のビビリ」

「これ以上は危険だと言っているだけです」

「じゃあ最後の命令だけ良い?」

「あまり変なことは言わないで下さいね」


麗奈先輩の言う通りだ

星七先輩がイカサマをしているのは恐らくみんな気づいている

気づいているのに気づいてないフリをしている

命令が過激になることを期待してしまっている

ここで止めておかないと、取り返しが付かないことになるかもしれない


「最後の命令、三番が四番の指を舐める」


私と愛花先輩の目が合う

この命令だけは他の人に当たって欲しかった。


膝立ちで近づいてくる愛花先輩

エグい下ネタを言ってた癖に指を舐められるだけでそんな恥じらいだ顔してたら勘付かれるよ


差し出された指が私の顔の前で止まった。

背中越しに抱いていた綾坂が首の角度を変えて、その指を眺める


舌を出した時に微かに音を出してしまった。

目の前の綾坂に聞かれたかもしれない


高鳴る動機を抑えながら指を舐める

経験を悟られるから勝手に横を舐めたり咥えたりしない

そしてもう一つ注意することがある

絶対に愛花先輩と目を合わせてはいけない

あの時、先輩と目が合ったのがスイッチになった

ここで暴走させるわけにはいかない


愛花先輩の指がぴくっと跳ねる

その直後、頬に風を感じた。


「……何してんだよ綾坂」

「ナギっちが真っ赤だから冷ませてあげようかと思って」

「歯磨きした?」

「はぁ!?どーゆー意味ですカナ!?」


どっと笑いが起こる

あっぶねー!

愛花先輩の指が跳ねた瞬間、目を見そうになったよ

綾坂が息を吹きかけてくれて助かった

今日は助けられてばっかりだ


「はい、引いて」


完全にお開きの雰囲気だったのに星七先輩がまた割り箸を出してきた。

今のじゃ納得出来なかったってこと?


「もう終わりにしましょう」


麗奈先輩が抗議する

星七先輩に抱きついたまま言ったから別れ話みたいだ

なんか絵になるな


「これ、王様ゲームじゃないから、部屋割りだから」

「部屋割りなんて既に決まってますよね?」

「折角、女の子が集まってるんだから一緒に寝た方が得、別々に寝るなんて勿体無い」


少し前の私なら部屋が人数分あるのに、一緒に寝るのは逆に勿体ないだろって思ってたけど、今は星七先輩が言っていることがちょっと分かる。


「番号順に同部屋、五番は王様と一緒の部屋。私は一番最後に引くからイカサマは無し」


刑事さん!この人イカサマ認めましたよ!

糾弾してやろうと思ったが、詩織さんの手が伸びてきてクジを引いた。


「奈凪さん!私は五番を引きましたよ。絶対に王様を引いて下さい」

「そんなん言われましても!」

「ヤンデレちゃんの愛は通じるかな?」


星七先輩が割り箸を握り直してから私の前に出してきた。

微妙に高い一本を引く


王様だった


……財閥令嬢ってガッツポーズするんだ

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