女同士の友情はたぶん成立する
恐らくこれが麗奈先輩との最期の抱擁になるから、名残惜しくて中々離れられなかったが、先輩のスマホが鳴ったので仕方なく離れる。
電話の相手は愛花先輩で、帰りが遅いと心配した彼女に対して麗奈先輩は「今から帰るわ」と優しく告げた。
それは微笑ましいやりとりなんだけど、スマホのカバーに入っている愛花先輩の写真が気になる。
……まだ早くない?
そういうのは恋人になってからするものだよね?
近々付き合うから良いのかな?
戻る途中にあった自販機で飲み物を買ってからホテルに入りエレベーターに乗る。
その中で、私も綾坂とみうを心配させてないか気になってスマホを確認したが、既読が付いていない
え、まだお風呂入ってるの?
部屋から出る前に綾坂がみうのおっぱい揉んでたけど、そこから良い雰囲気になったとかないよね?
エレベーターから降りて、小走りで部屋の前まで行ったがドアが開かない
何度かドアノブをガチャガチャしてからようやく思い出す。
オートロックだったわ!
鍵持って行けば良かったよ
ノックをしようとしたらその前にドアが開いたので、驚いたが、タオル一枚のあられもない姿で現れたみうには、それ以上に驚かされた。
「あーやっぱり奈凪センパイだぁ」
「ちょ、ちょ、ちょ!」
みうが廊下に出ようとしたので、慌てて部屋に押し入れる。
「な、なんでそんな格好してんの?」
「お風呂入ってたからに決まってるじゃないですかぁ」
「そ、そっか」
「奈凪センパイはどこ行ってたんですか?」
「飲み物買いに行ってただけ。お風呂上がったら飲んで」
「流石奈凪センパイっす!」
みうが浴室に戻るのを見届けてから、椅子に座って自分の分のジュースを飲む。
あっけらかんとしてたからそういうことが起こったりはしてないみたい
普段は仲良いから話が盛り上がって長風呂になったんだろうな
すぐ百合妄想しちゃう頭をなんとかしないとだ
こっちではやってないテレビのチャンネルを見ていると、綾坂とみうがお風呂から上がってきた。
「奈凪センパイ、ジュース頂きまーす!」
「うん」
「飲み物なんてコンビニで買ってたじゃん。それ飲み終わってないのになんでわざわざ買いに行ったの?」
す、するど過ぎるんですけど!
将来、探偵事務所でも開けば良いと思うよ
嘘は通用しないので正直に白状しようとしたが、その前にみうが綾坂の後ろから彼女の肩を両手で掴んだ
「奈凪センパイ、綾坂センパイって髪下ろしてるとちょっと大人っぽく見えません?高学年くらいに見えますよね?」
「どういう意味だし!高学年って単語、小学生にしか使わないだろ!てか、普段は低学年に見えるってこと!?」
「そんなことないって、綾坂は中1の夏くらいに見えるよ」
「細かっ!?フォローになってないし!」
話題が移ったので、これ幸いとお風呂に逃げ込む。
シャワーを浴びながら詩織さんに付けられた名前をボディーソープでごしごし洗ったが、全然落ちない
詩織ぃぃぃッ!!
油性ペンじゃねーか!!
心の中で絶叫していると、浴室の扉がガチャっと音を立てたのでビクッとする。
「あ〜ん!なんで鍵掛けてるんですかぁ〜!?」
み、みう!?
乱入してこようとしたのか
鍵掛けてて良かった。こんなん見られたら死ねる。
「こら!覗こうとするな!ぱんつ持ってこうとするな!」
「あ〜ん!」
どうやら綾坂が連れ戻してくれたらしく、浴室が静かになる。
ぱんつ持っててないよね?
持ってかれてたらもっと死ねるんですけど
心を落ち着かせようと、腰を落として湯船に浸かったが、浴槽が思ったよりも小さいことに気づいて更に動揺した。
ウチのお風呂より小さいじゃん
こんなとこに二人で入ってたの?
……いやいやいや
女同士の友情は成立するってさっき学んだばっかじゃん
妄想するな!妄想するなってぇぇっ!!




