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  作者: ちゅんちゅん
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第二十三話

「へーここがエアトかあ。なんか華やかだね」

「カンナブラとジャグダンの共通の玄関口だからね。交易が盛んなんだよ。それにジャグダンの影響を受けてカーニバルの飾りなんかも街中に飾られてるしね」

「だからこう、お祭り気分なんだ私。よく見てみると街の人たちも浮かれてる感じする。こういう雰囲気好きだなあ」

 ジャグダンから旅車で十五日間乗り続けて骨休めのために立ち寄ったエアトは、アキアースの言うとおりカーニバルの飾りつけなんだろう、色とりどりの花飾りで街が覆われていた。

 エアトの入り口の門なんか、アーチ状に花飾りがされてるし、文字も色んな色で書かれていて、すっごく華やかで綺麗。なんていうか、トロピカルな感じっていうのかな。

 屋台も大きな緑色の葉っぱをお皿にして焼いたお肉を置いていたり、そこにも花を飾っていたりで見た目にも食欲をそそる。

 花はもう色んな種類があって、ハイビスカスにガーベラに朝顔や向日葵みたいなのがたくさんで、その花たちの色もたくさんで。これで浮かれない人なんていないってくらい街中が明るいの。

 それにカンナブラでもそうだったけど、暑い国だからか皆薄着で。肌にタトゥを入れてる人が多いみたい。私は今、アマンダと一緒に買ったアイボリーのワンピースを着てるんだけど、これに赤のハイビスカルの髪飾りでもしたらきっと似合いそう。

「あ、あった。アキアース、ちょっと待ってて」

 私はそう言うと、小走りで雑貨屋さんに行く。ちょうどあったらいいなって思ってた髪飾りみっけ。店員のお姉さんにお金を渡してさっそくつける。

「似合うねカナ。一気に華やいだよ」

「ほんと? 実はさっきこういう髪飾りしたいなって思ってたところだったんだ。アキアースもなにか買ったら?」

「そうだなあ。じゃあこれがいいかな」

 そう言ってアキアースは羽根つきの首飾りを買ってた。茶色の小さな木の実を数珠繋ぎにして大きめの羽があるやつ。うん、似合うね。


 そんなこんなして。

 私たちはお祭り気分で屋台を巡ったりしながらその日を過ごした。次の日。アキアースがこんな依頼を見つけたの。

 エアト周辺を縄張りにしているアムルっていう魔物の討伐依頼で、これは他の冒険者の人と組んで倒して欲しいってあった。

 なんでもアムルの親玉がいるみたいで、そいつを倒すのが目的なんだって。金貨三枚の報酬ですごくいいけど、それと同時にそれだけ危ないってことなんだけど、アキアースは請けたいみたいで。

 請けるのは別に構わないけど、でも心配だな。アマンダの時みたいに私がいないときにまたなにかあったらと思うと。

「それ、私もついてくね。私がいない時になにかあったらやだから、もうそんなこと」

「あれ、そんなに頼りない俺……って言っても、実際俺も何もできなかったしな。いいよ一緒に行こう」

「あ、そういんじゃなくて……ただ単に私が悔しかっただけだから。アキアースのことは責めてないからそこは気にしないで」

 私の言い方がまずかったか。慌ててそう返したら微笑み返された。うーん、違うんだけどなあ、本当に。

 朝一番目の鐘が鳴るころにエアトの門前に集合ってあったから、急いでそこまで二人で行くと、すでに三人冒険者らしき人がいた。

「おう、あんたらもアムル討伐か」

 代表して真ん中の中年のいかつめのおじさんが聞いてきた。

「はい。他には?」

「今のところ俺達だけだな。あと三〇リ待っても来なけりゃ行くぞ」

 この中ではおじさんに従ったほうがいいみたい。私たちはそれぞれ自己紹介をして三〇リを待った。

 おじさんの名前はオルガ。右隣にいた髪の長い弓を持ったお兄さんはカイーナ。左隣の短髪のお兄さんはレグザだそうだ。オルガさんは大剣が武器みたい。レグザはアキアースと同じ長剣。

 ちなみに、三人とも二つ名持ちで、オルガは豪腕のオルガっていうみたい。その太い腕で軽々と大剣を振り回して魔物を屠ることから付けられたそう。

 カイーナは疾風(はやて)。弓を連続して流れるように射ることができるからその名がついだんだって。レグザは旋風(せんぷう)。風が回るように回転しながら複数の魔物を相手に戦いきったことからつけられたんだとか。

 二つ名っていうのは、ギルド員からつけられたランクみたいなものなんだって。強さを示す値がないから、依頼達成度や他の人から、その人の戦いぶりを聞いたり見たりして、名をつけるに相応しくなったらランクアップみたいな感じでつけられるみたい。

 私とアキアースはまだ二つ名ないんだよね。恥ずかしいから欲しいとは思わないけど。でも、他人から見てわかりやすいから、強さを示す名ってのが必要なんだとか。だから、こうして冒険者同士で同じ依頼をした時や自己紹介した時なんかは、疾風のカイーナです、みたいにしないといけないみたい。うーん、恥ずかしい。

「お穣ちゃんは魔法使いか! その年で流れの魔法使いとは珍しいな」

「カナさんがいるのは心強いですね。魔法使いがいるパーティは負け知らずという話らしいですし」

「まあそれもカナを守りきればの話だがな」

 魔法使いってそんなに珍しいんだ。そういえば、旅を始めてまだ出会ったことない。もう一つの手がかりとして、魔法使いの弟子って案もあったけど、これは難しいかも。

「カナのことは俺がきちんと守るので大丈夫です。今までもそうしてきましたので」

「うん。アキアースがいれば安心だもの。よろしくお願いね」

 そう。アキアースはいつも私を守ってくれるだから今回も大丈夫。でも、私もアキアースのこと守るからね。もうあんな思いしたくない。

 結局、三〇リ待っても誰も来なくて、この五人で行くことになった。


「いますね、アムル。数は一匹。まだ狩りの時間ではないらしい。どうします、狩りますか」

 疾風のカイーナさんがオルガさんに指示を仰ぐ。

 アムルは狩りの時だけ五匹ほどのグループで行動するみたいで、普段は縄張り内を単独行動してるんだって。今は一匹しか見当たらないから、狩るなら今がチャンスだよね。それにしても、見た目はほとんど虎と同じなんだ。色が紫だけど。私猫派だからちょっと抵抗あるなあ。

「そうだな。アムルのボスとやる前に少しでも削いでおきたい。やるぞ。俺とレグザは左右から、カイーナは後方から支援。アキアースはカナとカイーナを守りつつ周囲の警戒。カナは魔法で支援だ」

「了解」

「はい」

「わかりました」

 オルガさんの指示のもと、さっそく二人が行動した。アムル目掛けてオルガさんとレグザさんは途中まで一緒に走ってたけど、合図もなしで別れると左右から一気に間合いを詰める。二人が向かってくるのに気づいていたアムルは、レグザさん目掛けて襲いかかろうとしたけど、オルガさんがすかさず大剣を上から振り下ろしてくるのに気づいて跳び退った。

 そこへ、私の隣にいたカイーナさんがひゅんと一本の矢を素早く射掛けてアムルの右足を掠める。

「カナさん、今です」

 隣かな声を掛けられてはっとして、私は風の魔法を使うことにした。風の刃で切り裂きイメージ。切るのはそう、胴体。

「風よ、風の刃よ、アムルを切り刻め!」

 私が叫んだ瞬間に、アムルの体の回りに風の気流が目で見れるほどにびゅうびゅうとふいた。それは内側と外側とで違う回り方でかまいたちを生じさせる。

 かまいたちに切り刻まれたアムルはぎゃうと悲鳴を上げて体を捻るようにして逃れようとするけれど、これは魔法だ。私がやめない限りいつまでも切り刻む。

 けれど、それでも致命傷にはならなかった。でも、十分な隙を得ることができたオルガさんとレグザさんが止めをさして、まずは一匹目を退治することができた。

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