気まずい空気を変えるにはどちらかは勇気を持たなければならない件
熟れたトマトのように顔が真っ赤になっていることを自分で嫌というほど感じる。身体中から変な汗が大量に吹き出る中、恥ずかしさを堪えて振り向き、玲衣の背中を見て声を出す。
「玲衣。話したいことがあるけど良い?」
玲衣は背中越しにこちらを向いて小さく頷いた。
「この雰囲気で朝ごはん行ったら義母さんと父さんまで気まずくなるよね?多分」
俺の言葉にリラックスしたのか晴れやかな笑顔で答えた。
「いーや!母さんは積極的にいじってくるよ」
「ああ………よくよく考えたら父さんも気が付かなそうだよね?」
父さんは息子の俺や義娘の玲衣、妻の義母さんの事が大好きで愛しているのは身に染みるように伝わってくる…が、楽観的すぎるというかめちゃくちゃ鈍感というか。義母さん曰くそこも良いところの一つらしいが。
………あれ?そう考えたらあまり問題無くね?………でも今年の父さんは違うかもしれないし雰囲気を改善するに越したことはないよね?
「確かに父さんも気にしなそうだね。母さんとは違う意味で」
玲衣がしっかり引き継いでいる義母さんの悪戯っぽい笑みを浮かべた様子をしっかりと想像出来た俺は苦笑いが溢れる。
「それでさ、さっきまでのことを一回忘れていつも通りに接しようよ。せっかくの新年の食事は俺たちも楽しくしたいしさ」
「そ、そうだね」
普段に戻ってきたものの、まだぎこちない返事をする玲衣。気持ちを入れ替えるためにお互いに背中を向け、何回か深呼吸をした。
ああ言ったけども急に切り替えるの、俺は無理だよ。最大限の努力はするけれど。
心を整えて振り返った瞬間、玲衣が俺の胸目掛けて飛び込んできた。
「にい〜〜〜!」
突然の豹変ぶりに驚きつつもしっかり反応し、ベッドの方へ背中を倒しながら身体全体で受け止める。玲衣も俺の脇の下から腕を回し、強く抱きしめた。
一回鳩尾あたりに胸を埋めた玲衣に上目遣いで見つめられる。
完全に心を許し、リラックスしている甘えた表情が可憐な玲衣の顔を更に引き立たせている。目尻の下がったつぶらな瞳に綺麗なまつ毛が上目遣いをより心を奪われるものへと強化させた。腹にずっしりと乗った身体から体温と共に安心感が伝わってくるが、伝わるにつれて身体が疼いてくる。
本人は兄妹のコミュニケーションだと思って全く気にしていないのがタチが悪い。自分だけゾワゾワしているのは義兄として申し訳なさが溢れてくるが今の玲衣相手ならば誰でも同じな気がする。
俺の心情を全く理解していないであろう玲衣は目が潰れるほど眩い満面の笑みを浮かべた。
「にい、おはよ!」
(ああ………)
脳内を支配していた煩悩を一瞬で焼き払われた俺は玲衣に負けないくらいの笑顔で答えた。
「おはよう、玲衣」
どうも、海万です。本業やお盆関係で忙しく、1ヶ月近くも更新できませんでした。しかし最近、某縁結び系と某100人出る系のラブコメを読んだのでモチベはめちゃくちゃあります。スローペースになるかもしれませんが気長に待っていただけると幸いです。




