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年末年始はなんやかんやでゆっくりは寝れない件③

「玲衣、動くよ」


 2人で寝るには狭いシングルベッドから玲衣を落とさないよう慎重に動き出す。


 もし俺が無理に動きだせば玲衣がベッドから落ちてしまう。しかし、俺を信頼してくれてか力を入れることも抜くこともしない。そもそも俺が解こうと思えば簡単に解くことが可能な緩い拘束なこともあるが。


 腕を使ってゆっくりと上半身を起こした。


「「あっ」」


 バランスを崩し、玲衣に覆いかぶさるように見つめ合う。


 玲衣の綺麗な色白の肌がみるみる赤みを帯びる。

 顔と顔の距離は僅か20センチ。

 玲衣の細かな息遣い、上がる体温、極僅かな視線の動きまで全てを感じる。


 玲衣の全てが分かるということは俺の全ても分かるという事でもある。

 緊張感が高まり、心臓の拍動に合わせて視界が大きく揺れる。


「にい……………」


 この至近距離でなければ聞き取れない漏れ出た吐息のような声。

 強烈な毒のようなものが耳から入り、ただでさえ朝で力の入りにくい体が蕩けた。


 体が蕩けたことにより顔と顔とがさらに接近する。


 もう玲衣の顔の全てが見えないほどの距離。

 俺も吃驚したが、玲衣は俺の何倍も動揺を見せた。


 恥ずかしそうに目線を外し、赤く染まった腕で顔を隠す。その狂おしいほど魅力的な仕草は俺の心に火を付けると同時に冷静さも取り戻してくれた。


「っ!!!ごめん!」


 思考する暇が出来た瞬間、慌てて身体を起こす。


 まだ、玲衣は顔を隠している。

 緩いパジャマを着る腕で隠された目を見て真摯に謝った。


「…良いよ」


 未だ真っ赤に熟れたいちごのような顔を隠しながら羞恥心が混ざった声で答える。


 その動きもブラックホールの如く俺の全てを吸い寄せる妖艶さ、可愛さ、愛おしさがあり、再び全身の体温が大きく上がった。

 呼吸が激しく乱れ、頭がくらくらしてくる。


 (お、お、お、お、落ち着け〜。こういう時は一旦離れよう。この目眩が治ったらすぐにベッドから離れよう)


 玲衣の顔から目を逸らし、肩で息をする。


「にい」


 今玲衣の言葉を聞けばどうなるか想像できない。しかし、義兄(あに)として聞くことができる範囲の玲衣の言葉を聞かないフリはできない。


「にい…、にいなら…何されても良いよ」


 俺の中で何かが切れた音がした。


 もう一回玲衣の顔を真っ直ぐ見る。

 ゆっくりと玲衣の大福みたいなスベスベもちもち肌を触れていく。


「にい………」


 色気が溢れ出るトロンとした目。

 今度は目を逸らさない。

 強い意志で見つめ続ける。


「玲衣」


 名前を口に出す。

 心を整える為に目を瞑り強く息を吐く。


 全てを受け入れるような表情に変わる。


 そして、玲衣の顔を強めにつまんだ。


「にい!やめてやめて!」


 予想されてなかった事をされた玲衣は大きな声と身振り。いつも通りの義妹(いもうと)の玲衣に戻った。


 心の底からホッとして玲衣との身体を離してベッドに腰をかける。


「なんでにい何もしないの!?男子高校生ならイタズラの一つや二つするでしょ!」


 とても可愛らしい顔でアピールしてきた。


「にいの意気地なし!ヘタレ!根性無し!」


 玲衣の言葉に耳を貸さないようにさっと背中を向けて玲衣が投げ捨てた布団を拾う。


 ジト目に晒される中、恥ずかしいから正面切って言えないが玲衣の為、自分の決意の為に震えながら口を開く。


「そのさ……、俺な(・)ら(・)良いじゃなくて、………俺が(・)、俺だ(・)け(・)が(・)良いって言うなら…考えなくもない」


 (はっ、恥ずかしい!何これ、めちゃくちゃ恥ずかしい。さっきの玲衣の気持ち少し分かったかも)


 耳が人生で一番熱くなる。

 ジリジリと感じていた玲衣の視線も外れた。

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