↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/46

年末年始はなんやかんやでゆっくりは寝れない件

 カーテンの隙間から初日(はつひ)が入り込む。肌を突き刺すほどに冷えた部屋。

 朧げながら意識が眠りから覚めていく。しかし、布団から出るのは極めて困難な空気。毛布と布団にくるまった上にもう一つの毛布に抱きついてぼんやりと過ごす。




 目を閉じているのも疲れてきたが布団からは出れずに暇になってきた頃、朝っぱらにも関わらず、元気な足音が近づいてくる。

 その足音の主はノックをせずに部屋に入ってきた。


「に!い〜〜〜!朝だよ!」


「寒い」


 眠気を一切感じさせない玲衣(れい)はカーテンを開け始めた。


 瞼を閉じても貫通してとても眩しい光が差し込んできた。俺はほぼノータイムで抱き枕代わりの毛布に顔を埋める。


「起きて!朝ごはんできてるよ!」


「んー、あと10分だけ」


「それ絶対寝るじゃん!にい起きて」


「寒い」


 玲衣は「にいはしょうがないなぁ」と聞こえそうなため息をついて俺に近づいた。

 そして勢いよく掛けている布団を引き剥がす。


 一般的な寝方の人ならば掛け布団を掴んでいるため抵抗できる場合が多いだろう。だが俺は両手両足で抱き枕代わりの毛布を抱いているため無抵抗に引き剥がされた。

 寒さにびっくりして手足が緩んだ隙に抱き枕代わりの毛布も取られる。


 寒さに身体を丸める俺の肩を玲衣が揺らす。


「に〜い、初詣行くんでしょ?遅れちゃうよ?」


「寒い。あったまってきたら起きる」


 寒さに震えながら壁の方を向く。

 その様子を見た玲衣はなにやら声を出しながら考える仕草をした(と思う)。


 (やばい、寒すぎて正直動きたくなってきた。早く暖房とストーブがガンガン効いたリビング行きたい………。でもここまでして寒いからと動き出すのもなんか恥ずかしい。玲衣に絶対揶揄われる)


 頭の中で意地を張った後悔をする事数秒、俺の背中側のベッドが沈んだ。


 背中越しでも玲衣の気配が近づいてくるがはっきり分かる。

 俺の背中の近くに玲衣が寝そべる。


 俺は犬ではないから匂いでは判別できない。大きな音が聞こえたわけでもない。壁の方を向いている為、見えていない。味がする訳でも無い。

 だけども首筋に当たる息、心地良い温かさの体温と雰囲気で動きが手に取るように分かる。


 少しづつ強く感じる玲衣の息。距離が近づくにつれて俺の鼓動は部屋中に響いても不思議じゃないほどに大きく、そして速くなる。


「寒いなら私が温めてあげる」


「っっっ!」


 悪魔と天使の交じった、男にとって良いところ取りをした表情で玲衣が囁く。

 その言葉は耳が溶け、全身の力が抜ける魔力のようなものが宿っている。


「否定しないってことはやっちゃうよ?」


「あっ…、いや…」


 否定しようとしても先ほどの囁きの威力は凄まじく、声になりきらない言葉しか出せなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。