年末は罪悪感無く夜更かしできる件⑥
俺と玲衣は少し気まずかったものの、全体的には和気藹々と和やかな雰囲気の夕食を終えた。
中途半端な昼寝の影響で眠たかった俺は早めに就寝準備を終わらせて自分の部屋のベッドに寝転がる。
身体の火照りを感じながら何も考えずに天井を見つめる。体が寝るモードに移行してきた時、携帯が揺れた。
起き上がるのもだるくなっている為無視する。
しばらくしてもう一度携帯が揺れる。これもベッドから離れたくないので無視する。
数分の後、今度は断続的になり始めた。
先ほどから俺に連絡をしている人はよっぽど何かあるらしい。
重い身体を起こし、スマホの画面を見ると『佐伯歩夢』を示している。スマホをベッドに投げつけようと振りかぶったところで止めた。
このまま携帯が鳴り続けるのも鬱陶しいので電話に出る。
『出るのが遅い!しかもLIME無視して!』
「お前は彼女か」
開口一番よく分からない事を言い出す親友に溜息をして返す。
『ん???お前の彼女は玲衣だろ?』
マジで何言ってんだコイツ。と喉まで出かけたが余りにも当たり前のように言う歩夢の雰囲気に押されて留まった。
「で、何の用だ?もう寝るとこだったから」
こんなくだらない事のために眠たい体を起こされたと思うと無性に少し腹が立ったのでぶっきらぼうに言う。
『嘘だろ!?年末なのに!』
「マジで切るぞ」
『ああ、待て待て待て!言いたい事伝えるから!』
必死な様子に溜息を吐いた。
『俺って明日誕生日じゃん?』
「そうだな」
佐伯歩夢の誕生日は1月1日、しかも午前1時過ぎの生まれらしい。
否定することも無いのでテキトウに相槌を打つ。
『だからさ、年明けたらすぐ祝ってくれ』
何言ってんだコイツ
「俺の話聞いてた?寝るって言ってるだろ」
側から見たら険悪な雰囲気かもしれないがお互いのただのじゃれ合いの一貫で日常の風景である。
『まあ、寝られると良いな。俺は玲衣が寝させないにジュース1本』
「おい勝手に始めるな。あとなんでそう思う」
『クリスマスの玲衣の行動で。って事でよろしく!良いお年を!』
「切りやがった………」
その場で大きく身体を伸ばして再びベッドに寝転んで目を閉じた。
もう一回体が睡眠モードに移行し始めた頃、ノックがなる。
次は誰だ…。寝るところだったのに。
「にい、入って良い?」
玲衣か。
重い瞼を開け、時計を見る。時計は午後11時を指していた。
「良いよ」
特に断る理由が無かったのでベッドに入ったまま許可を出す。
「にい!一緒に年越しそば食べよ!」
夕食時の気まずさを忘れたかのような笑みで言ってきた。
「寝てる」
「良いじゃ〜ん、年末なんだし!」
肩を大きく揺らされる。
たまらず重たい瞼が軽くなった。
「これから時間かかるでしょ?」
身体を伸ばしながら適当に言う。
瞼が軽くなったとは言え一度入ったベッドからは出たく無いのでそれっぽい理由を作ろうとする。
俺の言葉を聞いた玲衣は自信たっぷりの可愛らしいドヤ顔で返事した。
「もうカップ蕎麦作り始めてるよ」
マジかよ…。まるで俺がこうなる事を予想したかのような行動。玲衣でなきゃやんないね。
「こんな可愛い妹が困ってるよ?私女の子だから全部食べられな〜い」
このまま抵抗しても無駄と察した俺は玲衣と一緒に部屋を出た。
ついにエピソードタイトル回収できる…かも?




