年末は罪悪感無く夜更かしできる件⑤
遅れました
「んあ、………目が重い」
電気無しでは生活できない暗さ、あまり馴染みのない部屋で目を覚ます。
浅い睡眠の時特有の眠気と瞼のだるさが襲う。
(そうだ。玲衣の部屋で寝てたんだった)
ぼんやりと顎を引き、鳩尾の方を覗き込むとそれは気持ちよさそうな顔で寝ている玲衣の顔がある。
(玲衣、不安定で固い俺の身体の上で良くこんなに眠れるな…)
目を覚まして少し、暖房と寝息しか聞こえない時間は終わりを告げた。
緩やかな寝息が止まり、目を開けた玲衣と目が合う。
締まりのない顔の玲衣は俺の鳩尾周りに何度も顔を擦り付けた後、もう一度俺と目を合わせた。
「にい?」
「玲衣…おはよう」
(思えば玲衣の弱ってない時の寝起き顔を以前に見たのはいつだろう…基本玲衣の方が早起きだし、俺が起こしに行かなくても勝手に起きるからね)
未だ夢から覚めてないトロンとした目の玲衣は不思議そうに辺りを見渡す。俺の上半身に手を着いているその姿は可愛さと同時に妖艶な雰囲気を醸し出している。
急激に身体が熱くなってきた。こちとら男子高校生、このシュチュエーションはまずい。
「玲衣、取り敢えず降りてくれない?」
倒れるように頷いた玲衣は転がるようにして左隣に寝そべる。そして俺の左腕を抱き締めながら再び目を閉じた。
(あっ、また寝ちゃった。寝るのは構わないけど俺の腕を掴むのはやめてほしい。特に今、右手痺れて動かせないから本当何も出来なくなる)
右手に残る痺れを感じながら暗い天井をただ眺める時間が流れる。
(玲衣って寝起きと寝相、こんなに悪かったんだ…。10年以上一緒に暮らしているのにぜんぜん知らなかった。玲衣の知らない一面を知れたと考えればこの何もしてない時間も悪くなかった…のかも?)
満足に右腕が動かせるようになった頃、こちらの部屋に近づく音が聞こえてきた。
「入って良い〜?」
義母さんがドアの前でノックする。
「寧ろ入って玲衣をお願い」
気持ち良さそうに二度寝に入った玲衣を起こすのも忍びないが時間も時間なので少し大きい声で返事をする。
返事を聞いてドアを開けた義母さんと目が合った。
義母さんは驚いた様子も見せず俺に質問する。
「良泰、玲衣を起こせる?」
「試したけどダメだった」
「そう。分かったわ」
穏やかな表情のまま返事をした義母さんはスタスタと玲衣の枕元まで移動して身体を揺すりながら声をかけはじめた。
「玲衣〜、もうご飯よ、起きて」
「ん〜〜〜」
可愛らしい唸り声を出して顔を二の腕に押し当てる。
義母さんが玲衣を揺らす振動が左腕を通じて伝わってくる。
「お兄ちゃん大好きなのは分かったけど、お兄ちゃん困ってるよ」
「ん〜、にい?」
「そう、にい。お兄ちゃんの腕をまず離そうね」
薄目を開けた玲衣はゆっくりした動作で俺の腕を解放した。
夢うつつのまま目を擦る姿はいつもの元気に満ち溢れた姿とは違った可愛さがあり、非常に絵になる。
(義母さん凄い。あっという間に玲衣を離した)
玲衣の瞼が少しずつ開いていき、目が合った。
「に、にい!?」
「お、おはよう。よく寝たね」
なんて言えば分からなかったので取り敢えず寝起きの挨拶をする。
玲衣は暗闇の中でも分かるくらいに顔が赤く染まっていき、声にならない声を上げている。
「良泰、ご飯だから先に行きましょう」
「えっ、ああ」
義母さんは有無も言わせぬまま俺を起こし、背中を押して部屋から出した。
「玲衣も早めに来てね」
夕食時、あまり目を合わせてくれなかったのは言うまでも無い。
まだお昼寝(夕寝)ですけど…。タイトル詐欺も良いところです。予定では2、3話くらいでお昼寝終わる予定でした。




