年末は罪悪感無く夜更かしできる件④
義母さんが部屋から離れた後も玲衣の動きは止まることを知らない。そして俺の頭の中に響く心音も止まらない。
俺は現実逃避の為に何故こうなったか元を辿りはじめた。
〜クリスマスの少し前まで遡る〜
元の話は何からだったか思い出せない。ふとした事から寝相の会話が始まった。
「にいの寝相ってさ…言葉選ぶけど、個性的だよね」
「結構選んだな」
ソファに並んで座って特に面白くないニュース番組を見てる時、テレビを見ながら玲衣が口を開く。
俺は寝相がやや悪い。小学生時代の修学旅行だが苦言を呈されるくらいには。そして毎朝のように起こしに来てくれる玲衣はとっくに知っている。
「スキー合宿の時大丈夫?」
スキー合宿、それは毎年1月下旬に1年生が2泊3日で山の方でスキーを学ぶ(楽しむ)行事だ。
合宿の部屋は数人が畳の部屋で寝るタイプ。寝相の悪さがダイレクトに影響する。
「まあ大丈夫でしょ」
「本当に?いつも布団を抱いて起こしに行くと布団を抱いているよ?合宿では布団は1人1つなんだよ?」
玲衣の視線が右の頬に注がれる。
俺は普段2つの毛布と1つの布団を使い、毛布の1つを抱き枕のようにしている。
「大丈夫だって。部屋は暖房効いてるから掛け布団無くてもいけるよ」
「本当?」
うっ、ちょっと睡眠がうまく出来ていないが…。まあここは誤魔化…話題を逸そう。
「そう言う玲衣は大丈夫なの?」
話題を逸らす為に聴いたが今思えばほとんど玲衣の寝相を見てないな。玲衣の方が殆ど早く起きる上1人で起きられるからか。
「ふふーん!大丈夫!」
一緒にゲームで遊んでいる時にしかお目にかかれないドヤ顔を見て安心した。
〜〜〜〜〜
そして今、一緒に寝る選択を猛烈に後悔している。
いつの間にか玲衣は俺の上に完全に乗っている。
鎖骨の下あたりで緩い顔をしながら涎を垂らし、うつ伏せの姿勢で全身の体重を俺にかけている。そして先ほどまでと同様主張しすぎてはいないが先ほどよりも強く主張する胸。玲衣の右腕は俺の脇の下から背中に潜り込ませ、左腕は俺の右腕をしっかり固定しながら締め付けている。
(玲衣の寝相も最悪じゃねぇか!どこが大丈夫!だよ!いや、それよりも…今はそれどころじゃない)
落ち着こうと深呼吸をしようとしても先ほどより鼻に近くなった為に懐かしい香りと同時に強く伝わる何とも形容し難い良い匂いでもっと熱くなる。
(考えつかれた。これは無理だ。玲衣が起きるまで)
ここから無理矢理起こすのも忍びないので手を広げ(ている気分で)全身の力を抜いた。
(諦めたら眠くなってきた。この重さ、重いけど丁度良い位だな…)
閉じようとする瞼を受け入れ、微睡に落ちた。
まだ夜更かしまで行ってなくてタイトル詐欺になってしまっている…。




