年末は罪悪感無く夜更かしできる件③
玲衣の寝息が聞こえてきて早数分、大事な事に気が付いてしまった。
すぐ隣で玲衣が寝ている今の状態で俺は昼寝が出来ない。
鼓動が耳の奥まで響き渡り、幼い頃から嗅ぎ慣れている安心する香りが鼻腔を震わせ、全身が真夏のような暑さに包まれる。
(玲衣には少し悪いが部屋に戻って昼寝しよう。最初の方は一緒に寝たし良いよね?)
玲衣を起こさないように動き出そうとした途端、右腕が持ち上げられない程の重さで抑え込まれる。
内心苦笑いしながらゆっくり右隣を見るとそこには玲衣が俺の右腕に抱きつく姿勢をとっていた。
抱き枕のように右腕に抱きつき、半分下敷きにしている。更に玲衣は自分の顔を肩口に押し付け、気持ちよさそうな顔で寝息を立てている。普段の甘えている顔とはまた違った緩い顔。その顔をはっきり見るのは初めてと言っても過言ではない。
そして何より………しっかりした下着の感触とその奥で確かにある主張しすぎない柔らかさ。下着の感触は予想でしてか無いが十中八九、いや限りなく十に近くあっているだろう。
右腕から僅かに感じる穏やかな鼓動と対象に俺の鼓動は激しい運動後に匹敵する激しさに達している。
(誰から助けて)
自分で何とかすることを諦めて他力に頼ろうと考えた時、階段を上る音が聞こえた。
(この音は義母さんだ!何とか玲衣をそっと移動させて欲しい)
「2人はどっちにいるの?」
音はどんどん近づいてくる。
しかし・・・
(この光景を見られたら………義母さんだったら絶対めんどくさくなる!)
玲衣をくっついたまま過ごす色々な意味での苦労と義母さんに見られた際の苦労、これを瞬時に天秤にかけて…考えるのをやめた。
「こっちに居たの〜、珍しいね〜」
扉を開けた義母と目がバッチリ合う。
「ど、どうしたの?」
「ブランケットを忘れていたから」
義母は一瞬驚いた様子を見せたもののすぐにいつもの穏やかな口調で話し始めた。
「お邪魔した?良泰なら心配せず玲衣を任せられるわね〜。後はごゆっくり〜」
「待って!右腕に玲衣が乗ってる。助けて」
踵を返しかけた義母を必死に呼び止める。
「玲衣の寝相が悪くなったのは良泰の影響なのよ」
は?何言ってんの?
「元々玲衣は寝相は良かったんだよ。一緒に寝た時に良泰が布団を取るからね。布団を取り返すようになっりされたりした結果段々と抱きつくいまの形に」
「本当にそうなの?」
「そうよ〜!良泰と寝る前は寝てる時に蹴られたりがっちり抱きつかれたりしたことは無かったのよ〜!」
そ、そうだったんだ………。玲衣、ごめん。
「という事で頑張ってね。良泰」
(あ、行っちゃった。じゃない待って!)
少し申し訳なさを感じる俺を置きざりに義母は扉を閉めて去っていった。




