普段言わない呼び方は恥ずかしい件④
誕生日を言ったことがあるか忘れましたので一応
雪蔵良泰 7月4日生まれ O型
雪蔵玲衣 9月5日生まれ A型
「それで玲衣ちゃん、なんで良泰に『お姉ちゃん』なんて呼ばせてるの?」
新しいおもちゃを見つけたような興奮の仕方で内村が玲衣に近づく。
「えっと…」
顔を真っ赤にし、明後日の方向を見て意味不明な仕草をし始める玲衣にノリノリで詰める内村。
「早くゲロって楽になりなよ」
「それは、に、にいが………」
「呼び方戻った」
「何!?」
玲衣への接し方が分からず呼び方の変化を独り言のように呟く歩夢の横でまた新しいおもちゃのような者を嗅ぎつけた内村の顔が勢いよく俺の方を向いた。
なんか嫌な予感。
「俺はこれから部屋で宿題やるから」
そう言って床から立ち上がり、痺れた足でリビングと廊下を隔てる扉へ向かう。
「おいちょっと待て良泰」
そそくさにこの場から脱出を試みるもニコニコ笑顔の歩夢に肩をガッツリ掴まれて失敗に終わった。
「私だけ恥ずかしい思いはさせない!」
歩夢に気を取られた一瞬の隙に玲衣に腕を絡められている。
赤面しながら道連れと言わんばかりの表情の玲衣。
俺は本当にゲロっても良いけどね。このノリで言わされるのがなんか癪なだけで。それに本当の事を言ったらダメージ大きいの玲衣方だと思うよ。
………あと胸がちょっと。これ玲衣は無意識だし気づいてないな。
「あはははははははは」「はっはっはっは」
昨夜からの出来事を聞き腹を抱える内村と地面に倒れ込んで床を叩く歩夢。
「お前ら笑いすぎ」
呆れた眼差しを向けるも2人の笑いは止まらない。
「だって、だって…ひー、涙出てきた」
歩夢は大袈裟に指で涙を拭う動作をする。
「玲衣ちゃんw可愛い」
「有美もうやめてよ、…にいが全部悪いから」
恥ずかしさに耐えきれなくなり俺の背中に隠れた玲衣が消え入る声を出す。
全部…とはいかないけど原因の8割位が俺にあるのはそう。
原因が自分にある手前、笑う事もできないしだからといって今玲衣を慰めてもそれは傷口に塩を塗るのに等しい。そのため俺は暫く苦笑いをするしか無かった。
みんなで4時間ほど遊び、時刻はおよそ午後6時。冬至に近い今の時期、外は既に真っ暗になっている。
「玲衣ちゃん、良泰、今日はありがとう」
「良泰、雪蔵、本当に助かった」
「有美も佐伯君もまた来てね」
あれから必要以上にいじる事も無く、非常に楽しい時間を過ごせた事もあり俺含めた4人は名残惜しそうに玄関先に出る。
「次会うときは冬休み終わりだね、玲衣お姉ちゃんw」
「それはもう忘れて!」
俺達は2人が暗い夜に消えるまで見送った。
「今日は楽しかったね、にい」
「そうだね。来年も皆んなと仲良く出来ると良いね」
「うん!」
「っっっっっ!」
今ほど夜の暗さに感謝した事はないだろう。
見慣れた筈の満面の笑みの玲衣が太陽のようにとても眩しく、そしていつまでもこの笑顔を見たいと思った。
ちょっと軽い五月病に罹って続きを書く気力がありませんでした。




