17 西暦2223年1月20日 0800
ついにこの日が来てしまった。
変わり映えない雪山の監視任務から解かれる身としては長くは感じたが、今日のことを思えば永遠に来ないで欲しかった。
『コマンドポストよりウィリアム班。グッモーニン。変わりはなし? どうぞ』
オペレーターのステラがまたぞやふざけた交信をしてくるが、これも緊張を誤魔化そうとしてのことだろう。
「ウィリアム班よりコマンドポスト。グッモーニン。お山は変わりなく、世はこともなしだ。どうぞ」
クリスマスの着任以来、戦闘は初日の一度きり。他はドローンでの様子見があったのみだ。
『そう、それは退屈だったでしょう。そんなあなたにハッピーなお知らせよ。今日のジェームズ新大統領の就任演説が無事に終われば、任務は終了よ』
無事に終われば、ね。言わずもながな匂わせに、どうしたって苦虫を嚙み潰した心境になってしまう。
「なるほど。では無事に終わらなかった場合は?」
『とりあえず別命あるまではそこで待機、援軍の侵入阻止。何か起きたら、即下山。現場に急行してもらうから準備しといてね』
「……俺達、ほぼ一ヵ月間、任務で雪山篭りだったんだけど?」
『ご愁傷様。事と次第によってはもう一ヵ月追加プレゼントもありうるから覚悟しといてね』
これが冗談じゃないから笑えない。人権のない国家の犬なんざ最悪だ。
「何事もないことを祈ってるよ」
『ええ、私も。次に交信する時は任務終了の連絡だといいわね』
「まったくな。それじゃあ、またな」
『ええ、また』
どうか今日一日が無事に過ぎますように。そんな儚い願いを胸に、俺はようやく明るみ始めた朝焼け空を見上げた。
現在時刻は0802。就任演説は1200。
何もない雪山には慣れたはずだが、これからの四時間はことさら長く感じそうだった。
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