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亜人戦争  作者: ノーパクリ・ノーオマージュ
17/23

16 終戦

 

 闇を燃やす閃光、爆発。


 呆然とするも、それは俺のアニマを貫くには全く足りない。

 しかし、俺はそうだとしても、


「リリーッ!」

 叫んで振り返るも、

「リリー! おい! 返事しろ!」

 舞い上がった雪が視界を隠す。見えないことが不安を増長させる。



「なんですか、曹長」

 俺の不安を吹き飛ばすように雪のカーテンを破って、リリーが五体満足な姿を見せた。


「……なんでもない、無事ならいい」

 安堵に胸を撫で下ろし、俺は自分同様交信で騒いでいたシャルに無事の旨を応答する。


「申し訳ありません。情報源の自決を許しました」

「ああ」

 辺りに飛び散った肉片を見た後、もう一人の情報源が這いずっていた方を見やるも、そちらにも情報源だった物しか残っていない。


「いい。俺も同じだ。意識を奪わなかったのは失態だが、ここまで潔いのも想定外だ」

「ありがとうございます」

 そう。俺達の詰めの甘さもあったとはいえ、この徹底ぶりは瞠目に値する。

 自身の死を一切顧みない狂信。一体、この集団の目的は何だというのか。


『じゃあな、クソトレイター』

 男の捨て台詞が脳裏を掠める。その蔑称はいつも俺の胸を苛むが、それよりも男が最後に俺を見た目が気になった。今までの敵が、俺達に向けたことのないどこか優しい眼差しが。


「ところで曹長」

「ん?」

 物思いから引き戻すリリーの呼びかけに顔を向ける。

 するとリリーはいつも通りの何食わぬ顔で、

「先ほどは随分な慌てぶりでしたね。そんなに私のことを心配してくださったんですか?」

 そんなことを宣いやがった。


「……部下を守るのが上官の務めだからな。その身を案じはする」

 俺は上官として当然の答えをする。


「上官の鏡ですね」

 リリーはやはり変わらぬ無表情で、

「でもそんな業務的じゃない答えを聞きたいものですが」

 俺をまっすぐに見据えてくる。

「心配してくれたんですか?」

 そして、同じ問いの繰り返し。


「うるさい、バカ」

 俺は視線を明後日の方向に逸らす。

「申し訳ありません。でも、言ってくれないと、伝わらないこともあると思いますよ?」

 絶対今、こいつ悪戯っ子の顔で笑ってやがる。

「そうかよ」

 だから、俺は絶対に目を合わせまいと、振り返らなかった。




 その後、司令部に報告を行えば、烈火の如きお叱りをいただいた。どう考えても非は自分にあるのでそれを受けながらも、本ターゲットの異常性だけは伝えるようにする。


 そして、俺達以外の班からも同様の報告が相次いだことで、司令部もいよいよこの敵を本当に危険なものと捉えることとなる。




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