16 終戦
闇を燃やす閃光、爆発。
呆然とするも、それは俺のアニマを貫くには全く足りない。
しかし、俺はそうだとしても、
「リリーッ!」
叫んで振り返るも、
「リリー! おい! 返事しろ!」
舞い上がった雪が視界を隠す。見えないことが不安を増長させる。
「なんですか、曹長」
俺の不安を吹き飛ばすように雪のカーテンを破って、リリーが五体満足な姿を見せた。
「……なんでもない、無事ならいい」
安堵に胸を撫で下ろし、俺は自分同様交信で騒いでいたシャルに無事の旨を応答する。
「申し訳ありません。情報源の自決を許しました」
「ああ」
辺りに飛び散った肉片を見た後、もう一人の情報源が這いずっていた方を見やるも、そちらにも情報源だった物しか残っていない。
「いい。俺も同じだ。意識を奪わなかったのは失態だが、ここまで潔いのも想定外だ」
「ありがとうございます」
そう。俺達の詰めの甘さもあったとはいえ、この徹底ぶりは瞠目に値する。
自身の死を一切顧みない狂信。一体、この集団の目的は何だというのか。
『じゃあな、クソトレイター』
男の捨て台詞が脳裏を掠める。その蔑称はいつも俺の胸を苛むが、それよりも男が最後に俺を見た目が気になった。今までの敵が、俺達に向けたことのないどこか優しい眼差しが。
「ところで曹長」
「ん?」
物思いから引き戻すリリーの呼びかけに顔を向ける。
するとリリーはいつも通りの何食わぬ顔で、
「先ほどは随分な慌てぶりでしたね。そんなに私のことを心配してくださったんですか?」
そんなことを宣いやがった。
「……部下を守るのが上官の務めだからな。その身を案じはする」
俺は上官として当然の答えをする。
「上官の鏡ですね」
リリーはやはり変わらぬ無表情で、
「でもそんな業務的じゃない答えを聞きたいものですが」
俺をまっすぐに見据えてくる。
「心配してくれたんですか?」
そして、同じ問いの繰り返し。
「うるさい、バカ」
俺は視線を明後日の方向に逸らす。
「申し訳ありません。でも、言ってくれないと、伝わらないこともあると思いますよ?」
絶対今、こいつ悪戯っ子の顔で笑ってやがる。
「そうかよ」
だから、俺は絶対に目を合わせまいと、振り返らなかった。
その後、司令部に報告を行えば、烈火の如きお叱りをいただいた。どう考えても非は自分にあるのでそれを受けながらも、本ターゲットの異常性だけは伝えるようにする。
そして、俺達以外の班からも同様の報告が相次いだことで、司令部もいよいよこの敵を本当に危険なものと捉えることとなる。
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