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亜人戦争  作者: ノーパクリ・ノーオマージュ
11/23

10 ハーレム班


「で、曹長は誰をご所望ですか?」


 ……ほら見ろ。ステラの残した厄介の種が見事に芽吹いてやがる。


 貼り付けた作り笑顔で、全員を代表してふざけたことを言うリリー。

 こちらを威嚇するように唸るシャル。

 恥ずかしそうに顔を俯けるソフィ。

 完全に全員が通信を聞いていたご様子だ。


 痛む頭を抱えたくなるものの、


「リリー一等軍曹、貴官と私で第一哨戒に当たる。シャーロット二等軍曹とソフィア三等軍曹は仮眠を取るように。交代は四時間四交代。本ペアで明日の日の出までの監視を行う」


 面倒なのでさっさと命令してしまう。


「イエッサー」「うわー」「は、はい」


 うわーってなんだおい、シャル。


「ほら、さっさと休め。お子様は寝る時間だぞ」

「やっぱ大人なことするつもりなんだー?」


 シャルは仰け反ってふざけたセリフを口にする。


「そうそう。だから邪魔者はさっさと寝ろよ」


 阿呆らしいので、シッシッと手を振って俺はそのバカを追い払う。


「し、信じらんない、こんなとこで! ソフィ、早くテントに逃げよ」


 シャルがソフィの手を引き、奥のテントに引きこもる。去り際のソフィの純粋な目が心に痛い。……シャルもソフィも冗談だってわかってるよな?


「それで曹長。私達は何をしましょうか?」

「うん、当然監視任務な」


 ふざけたリリーの問いかけに素で返して、俺達は背中合わせに座り込んだ。



            ※※※



 少しでも暖を取るため、リリーと俺は背中合わせで、それぞれの監視範囲を警戒する。


「で、どうして私を? 本来であれば、曹長と私が別れ、それぞれの指揮を執るべきでは?」

 流石はリリー。くだらない冗談を置いて、真っ当な質問をしてくれる。


「お前がそういう奴だからだ」

 頼もしさに口の端を吊り上げて、俺は応えた。


「と、言いますと?」

 要領を得ない俺の答えに、リリーは疑問を返す。


「まず、さっきのステラのくだらない冗談。あれのせいで他二人とはやりづらい」

 当然冗談だとはわかっていてもシャルはあの様子だし、ソフィはもうなんだか申し訳ない。


「なによりも、早急に考えをまとめておきたい。今回の事件は明らかにヤバい。だから、確かな判断ができて、意見交換もできるお前を選んだ。そういうことだ」


 リリーの言う通り指揮の問題はあるが、これだけ視界の開けた場所だ。不意の遭遇戦の可能性は低い。となれば、俺達がすぐに起きて対応すればいいだろう。


「なるほど、納得です。流石曹長」

 ヘルメットで覆われたリリーの頭が、コツンとノックをするように俺の後頭部に当たる。


「でも、勘違いしないで欲しいんですが」


 なんだ、と俺が聞くよりも早く、


「私だって、あんな話の後ではやりづらいんですよ」


 リリーらしくない、あるいはらしい弄りなのか。どちらとも判別しづらいことをリリーは言い出す。


「そりゃそうだ。俺だってやりづらい」


 だから、俺はいつも通り軽い調子で冗談として流す。


「……そうですよね。まったく余計なお節介、ここに極まれりです」

「そうだな。そんないいもんじゃないけどな」


 背と頭を預け合って、俺達はそれ以上の言葉を交わさない。それ以上、踏み込まない。そこから先に進むことは、悲しい結末しか待っていないから。


 亜人部隊の構成員には二種類いる。一に幼少期に合衆国に捕らわれた亜人で適性のある者。二に、人工的に作られた亜人だ。割合としては二の方が多く、我が班の構成員は全員がそうだ。


 そして、捕われた者や生産された者が構成員、また種々の亜人実験を兼ねるという特性を持つ亜人部隊は、志願者が入隊するわけではないため通常の軍よりも女性の占める割合が高い。しかしそうは言っても、戦闘を主目的とする以上、当然過半数は男が占める。データ上は七割程度が男だったはずだ。

 その中にあって、男が俺一人に対して、女が三人という偏った班編成は一際目立つ。


 ハーレム班(・・・・)。その編成を揶揄して、俺の班は周りからそんな風に呼ばれている。


 しかし、そう揶揄する周囲も、そして誰よりも俺達自身がこの班編成の意味をわかっている。

 これも実験だ(・・・・・・)

 オーバードーズ計画の数少ない生き残りである俺。その俺の子どもを、次なる被検体として上は欲しているのだ。


 考えたくもないが、当然俺の遺伝子を使った次世代生産は行っているだろう。ただ、それとは別に、自然分娩の子どもも欲しているのだ。

 その証拠が、この歪な班編成。加えるならアニマ戦闘に優れ、タイプ別に容姿端麗な班員。


 そんなことが、自分の家族が不幸になることがわかっていて、誰がその思惑に乗るというのだろうか。


「日が沈みますね、曹長」


 物思いに耽る俺の背で、リリーが静かに話しかけてくる。


「そうだな。流石、冬山の日の入りは早い」



 時刻は1627。早い夜の帳が訪れる。





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