EX.275 「隠された秘密①」
俺たちはユウキに言われるがままに走り出す。
「ユウキは一人でもなんとかやれる奴だ。俺たちがヘマしたら後で相当どやされるぞ」
「分かってるよ!なあアキヒト気になったことがあるんだがいいかーーー?」
「いきなりなんだよ!俺が答えられそうな内容で頼む!」
「それは知らんけどーーーさっきの女と言いガトリングガンと言い古すぎやしないか!」
「古いって何がだ!ファッションセンスがか!?」
確かに言う通りさっきの女のファッションセンスは時代を先どったか昔に遡ったかーーーとにかく今のセンスでは無かった気がする。
「いやそうじゃないよ!」
そうじゃなかったみたいだ。
「ガトリングガンを発射した仕組み。ありゃ赤外線センサーによって操られていたんだ!今だと魔力検知式のがほとんどじゃないか!」
「古きを大事にしてるんだろ!まあだからこんなことになってるかもしんないけどーーー!?」
曲がり角を進もうとした瞬間、悍ましい殺意を肌に感じ足を止めた。
「ーーー止まれトモキ」
なんだ今の殺意は、やけに黒すぎる。
本来であれば殺意というのは色んな色が混ざり合って結果的に黒くなっている。
普通はそんなもので、俺が今まで戦ってきた敵も全て似たようなものだった。
だからこそ純黒というよりも、紺や墨のようなものであった。
だが、ここまで一点の曇りのない黒は見たことない。
アキヒトは考える。
常に第六感はけたたましいほどのアラートを発している。これ以上進めばまともでは済まないと。
「ここは俺がなんとかするか」
「本気で言っているのか?こういうのはオレたちがーーー」
「何言ってんだよトモキ。俺たちは基本的に全員平等だ。リーダー命令なこれ」
それが矛盾してんだろ、とトモキは笑って銃で天井を弾いた。
見てみれば人1人は入れるであろう穴だ。城のバランスが崩れないように調整したんだろう。
「死ぬなよアキヒト」
「俺が死ぬかよ。なんか分かったらすぐメールな」
「おう」
トモキは壁を蹴って穴を掴んで上へと進んでいった。
これまで戦ってきた何者も全て地上で戦ってきた。
だとすると必要な情報はきっとこの城に詰まっているはずーーーなのに最初の地鳴りは?
「もっとやべえのが地下に眠ってるかもな、あっち行っておくべきだったか?」
「どうだろうかヒーロー。キミは一体何を考えて動いているんだい?」
「ーーーまあようやく顔を見せてくれたか」
・・・・・・なんだこの顔は?
アキヒトを困惑させたのは、謎の人物の顔が歪なほどまでに建設されていたからだ。
医療用のボルトがあちこちに差し込まれていたこと。
さらにその上で包帯とよく分からないレザー製の何かで顔を包んでいたことだった。
「これかい?これはただの医療用マスクだよ。これが無くては生きていけない」
「結構おしゃべりなんだな。それ、どう考えても弱点だろ。それともーーー油断して欲しいのか?」
「油断じゃないし、私がわざわざ戦わなくとも十分知りたい情報は集まった。ここからは私にとってのエクストラゲームだ」
「さっさとこんなの終わらせて家に帰りたいんだよ。せっかくここの珍しそうな食い物の堪能できなかったしさ」
「珍しい?・・・・・・ああ、確かに珍しいとも。もう二度と味わえない秘境だったんだ」
だってーーー
「!?」
肌に触れ続ける殺気の中に違和感を感じた。
だから一瞬早く気づけた。
その一瞬があれば俺は動ける。
アキヒトは伏兵に対して咄嗟に反撃した。
軽かった、アキヒトは思った。
その正体に気付けば、多少は手加減出来たかもしれないーーーだが、
「子供・・・・・・?」
アキヒトがその正体に気づいたのは蹴り飛ばした後だった。
アキヒトよりも一回り小さい身体。
服の上でも分かるほどの身体の薄さ、その上枯れ木のようだと思えるほどの細い腕。
「キミにはこの子が丁度いい。試してみたまえ天音、彼がーーー奴こそがトップヒーローだ」
「・・・・・・うるさいなぁ先生。痛いんだよ、思いっきり蹴られたんだ、見てただろ」
「ああ、痛いだろうが、遥か上に挑むことで見える景色もある。能力も使っていいよ」
「ーーー先生は?」
「キミが死なないように働くだけだ。素直にやりたまえ」
「・・・・・・・・・・・・」
一体どんな会話だろうか。
まるで俺がサンドバッグにされているみたいだ。
ーーーそれにしてもさっきは思っていたよりも蹴りすぎたと思っていたが、どうなっているんだ?
「ーーー・・・・・・能力か?」
「それは君が察したまえ。私はキミの先生ではない」
・・・・・・子供の方よりも大人の方が邪魔だな。
「悪いがさっさと倒して進ませてもらう。こっちもまだまだやることがあるんでね」
「ーーーへえ、どんな?」
「さあね。俺はあんたの先生じゃないんだ」
「ふうん、言ってくれるね。それじゃあやろうか天音。準備はもうできてるんだろ?」
「はあ・・・・・・人使いが荒いーーーでしょ!」
アキヒトは天音と呼ばれた少年が駆け込むまでの瞬間、散らばった仲間たちのことを考えた。
ーーーみんな気をつけろ。この国には思っているよりもめんどくさいのが揃っているぞ!
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「痛ってえ!」
山本は骨の瓦礫に包まれた身体を起き上がらせる。
鍛え上げた頑丈な身体は、吹き飛ばされた今でも不備なく動いている。
「それにしても不覚だ、あの程度の風に吹き飛ばされるなんてーーー鍛え方が甘かったか」
「あれで鍛え方が甘いんなら全員甘いです」
「良かった君たち無事かい」
バウワンがニコッと笑う。
砂煙に汚れた程度でなにも支障はなさそうだ。
ーーーつまり残念ながら、この場で異端なのはハルトになってしまっている。
「ホントに不服この状況」
吉田さんか智樹さんのどちらかがいてくれれば共感してくれるというのに、とハルトはぼやいた。
「ユウスケさんは?」
「もう突っ込んでる」
止めたんだけどね、とバウワンさんは乾いた笑いを見せる。すみませんこのチームでは割と普通なんです。
「ーーーだとしたらこの鉄を打つ音は戦ってる音だったのか」
「それよりもこの距離でも風が凄いな。中心で戦い続けるのも大変だぞ」
「まずは翼をなんとかしないとね」
ここで取り敢えずぶった斬ってくれるムーンフェアリーが居ないのが痛いな。いやあれも何でも斬れるというカタログスペックの割に斬ってるところの方が少ないんだけど。
「取り敢えずおれが思いっきり蹴ってみます。吹き飛ばされたら受け止めてください」
ハルトは二度踵で蹴る。
そして、クラウチングスタートの要領で、身体を伸ばし飛び出した!
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王見の間。
端的に言えば王を謁見できる場と言えばいいだろうか。
トモキにとっては二度目、その一度目が星王宮だというのだからおかしいにも程がある。
自分は恵まれいるのか、はたまたおかしな星の下で生きているのかは分からないが、こんな経験何度もするべきではないのは事実だ。
「ーーー・・・・・・誰だ?」
トモキは愛銃で王が座るべき椅子に座る人物を指す。
トレンチコートにボーラーハットを身につけた謎の人物。
顔は霧でよく見えない。いや、もしかしたらあの霧自体が顔なのかもしれない。
「初めまして。セブンウォーリアーズの一人、オカダトモキさん。私は『フレイブ』のNo.4、ゴードンですーーー以後、お見知り置きを」
次回:6月3日




