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アキヒトバトルアドベンジャーズ  作者: モフきのこ
第1.5章夏 『十戒』

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284/303

EX.265 「女王様の処刑場③」

「・・・・・・・・・・・・」


 身構えたがやはり追撃はやってこない。

 相手はいつも俺が罠に引っかかることを待っている。

 つまり相手から攻撃されることはない。


 ーーー本当にそうだろうか?


 ここで考えるべきは相手の能力とここで追撃しない理由。これは密で繋がっているはずだ。


 まず一つ目は能力、それは推測に過ぎないが思考系の能力かワープ系の能力。


 前者は先ほどまでの思考のノイズが理由として挙げられる。

 その場合俺の思考をジャックしているか、それとも無意識にいくべき場所を選定されているかーーーその場合俺の【ルールブレイカー】が働いてくれるはずなのだがそれが起きていない。


 後者は俺が行こうとしていることに罠を随時設置していくパターンだ。

 これだと事前に行動が筒抜けになるが、よっぽとじゃないと俺でもどこから渡されているのか気づけない。

 実際に昨日はそれで苦戦させられた。


「でもそれは理由にはならない」


 今でこそ傷がほとんど治っているが、直撃直後は文字通り身体が蜂の巣になっていた。

 俺ならば間違いなく追撃に走る。


 なのに追撃しない理由とは一体ーーー前者でも後者でもかなり攻められる構成だったはずだ。


「まあ確かに賞金首ヒーローとしては優秀ではあるけど」


 殺されないことが基本的な立ち位置のヒーローの中でもさらに異質な存在の賞金首ヒーローはさらに姿を見られてはいけない。

 ヒーローである以上顔は晒されるし、なにより人を使った復讐が待っている。

 だからこそ冷静に殺していく必要があるのだがーーー正直俺には苦手すぎる分野だった。


 そもそもある程度目立つ必要性があった俺にとっては賞金首ヒーローは肌が合わなかったと思う。


「そういえば・・・・・・」


 打つ手をほとんど無くして立ち往生していた俺はふと思い出した。

 そして俺は『カメラ』を出した。


「このノイズは脳みそのノイズとかかっているのかな?ーーーあれ?」


 俺は撮った写真を確認しようとアルバムを開く。

 すると、そこにはズラッと同じ写真が揃っていたのだ。

 オマケにそれは全て同じ時間、秒数まで重なったものがいくつも。


「もしかして全ての写真を重ねれば相手が分かる?」


 俺はさらに能力を使う。


 イメージは極薄の写真を何百枚と重ねた結果。

 すると写真は能力によってだんだん中心に集合していく。

 これが既製品だったら間違いなく不可能だったが、これは俺が能力で作り出したもの、さらに俺の能力を重ねること自体は簡単だ。


「・・・・・・あれ?あっそうか写真を重ねたところでノイズのかかった写真が生まれるだけだから、逆だーーー一枚の写真をさらに分解すればいいんだ」


 これも先ほどと同様、自分自身の能力だからこそ扱える所業。

 これを是非とも写真屋に見せて仕舞えばドロップキックは免れない。


 集中して分解速度を加速していく、今の間に敵の奇襲が来てしまっては終わってしまうからだ。


「よし、できた・・・・・・」


 俺はフォルマ内に突っ込んだ6枚の写真を見る。

 結果的にこの6枚以上は出てこなかったことから、これが限度なのではないか。


 その6枚はあそこで撮れた写真そのままが重なったものだった。

 そしてノイズだと思われた場面は、部室に置かれている機材などのズレで起きたものだった。


 ・・・・・・ん?


「そもそも放送部の機材はーーー」


 カンッ!


 空になった水筒のような音を出したのは、この戦いで何度も喰らったことのあるーーー


「ーーー爆弾!」


 俺は瞬時に顔を守るように、前方で両手をクロスする。そして思いっきり後ろに飛ぶ!


「       」


「・・・・・・ん?」


 ーーー爆弾は爆発しなかった。

 ・・・・・・不発弾だったのか?それとも今思わず飛んでしまった廊下になにかあるのか。


 ぴちゃっ


 ーーーぴちゃっ?

 俺は思わず足元を見る。

 そこには全面に整えられた液体が流れていた。


 水?いやこの匂いはーーー。


 すると突然電光灯が破裂した。


「まずい!このままじゃ着火する!」


 電光灯は俺のわずか数距離の差、手は届く!


「うぉおおおおおおおおおおおおおおっ!」


 一瞬手のひらがピリッとした。

 だが確かに火種になりかねないそれを確かに握りつぶした。


「この煙はーーーもしかしてドライアイス?」


 蛍光灯内を冷やして気温差を作り熱収縮を起こす。この電光灯が経年劣化していたらこのまま破裂してエンドーーーということだろうか。


 そして俺は地面に手を触れる。

 やはり案の定撒き散らされた液体は油だった。

 ガソリンが手に入らなかったのか、それとも俺を時間をかけてでも殺したいのか。


 それにしても相手はずっと運ゲーに勝ち続けている。

 俺が無限に残機があるとすると、相手は見つからないように隠れるスキルが尋常ではない。


 今までも俺が向かった先に罠があった。


 それは俺が単純に運が悪かったのか、それとも相手がそのように仕組んだのか、今の俺には分からない。


「ただ・・・・・・やれることはあるな」


 だが今の俺には今までの俺が残した知恵が残っている。


「写真が6枚も重なっている理由それはーーー


「ーーーもしかして!」


 これならば今までの現象に理由がつく。


「ーーーだとしたら相手は随分と危ない橋を渡り続けてるんだな」


 口から漏れたのは賞賛に近いセリフ、ただそのセリフを吐いてから唇をキュッと締め、さらなる覚悟を決めたアキヒトの顔があった。

次回:近日

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